【CP有閲覧注意】日下部「はぁ? 呪いのビデオ?」🎲②

  • 11◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:32:25

    篤寛が仲良く呪われた叡智ビデオを鑑賞するSS+ダイススレの続きだよ☆
    スレ主が叡智修行僧なのと意地悪なダイス神のおかけで今のところA(アクション)V(ビデオ)SSスレと化してるよ☆

    ★基本呪い(モブ)攻め。篤寛どちらも叡智な目に遭うよ
    ★同僚篤寛だけどダイス値次第で篤寛成立展開になるよ

    無理だと思った人はブラウザバック☆
    する人はいないと思うけどこのスレの外部転載・動画化はしないでね☆

  • 21◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:34:20
  • 31◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:35:27

    【ルール】

    ① 呪い VS 日下部・日車 の対抗ダイス

    ② 個別スキル適用

    ③ 呪い値:日下部・日車合計値 で勝敗判定→ Writening

    ④ 個々で呪いに対抗できなかった分の値ー共通スキル適用値を精神汚染値として各々に蓄積

    ⑤ 次へ


    ③補足

    合計値・個人値共に勝利した時だけ毒牙にかからず済むよ☆

    呪い<合計値 でも

    呪い>個人値 の場合 負けた方には差分値だけ叡智な目にあってもらうよ☆

    Writeningのパスワードは OK18 だよ☆

  • 41◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:36:36

    【スキル】


    【日下部】

    ★死んでも守るぞ!

    自身>呪いの場合、差分÷2を日車の数値にプラス。日車自身の値が既に呪い値を上回っている場合は日車の精神汚染を回復

    ★★簡易領域・拡張

    自身<呪いの差分が5以内の場合、差分を自身の値にプラス


    【日車】

    ★有罪! 没収! 死刑!

    自身>呪いの場合、呪いの値-5。差分30以上なら-10、50以上なら-15

    ★★才能の原石

    スキル★を連続使用時、自身と日下部の精神汚染を10回復


    【両者共通】

    ★共闘

    呪い<二人の合計値の場合、上限を20として差分÷2値を各々汚染回復

    ★★完勝

    呪い<二人の合計値かつ両者共に呪いの値を上回っていた場合、各々の精神汚染値を10回復


    【精神汚染】

    ★汚染50以上でスキル発動判定ダイス追加(1=発動 2=不発)

    ★★汚染60以上で自身のダイス上限値-10、70以上で上限値-20のデバフ

  • 51◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:39:41

    前回までのAV鑑賞記録

    一本目:時間ストップ・透明人間(両者敗北)
    二本目:言葉責め・脱衣(両者勝利)
    三本目:緊縛(日下部敗北)
    四本目:コスプレ(両者勝利) ←ここのダイス結果SSから今スレ

  • 61◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:44:21

     
    ***

    視界にまず飛び込んできたのは、巨大な振り子時計だった。
    四方をビル壁に囲まれたアトリウムの一画に鎮座するそれは、なかなか有名な新宿にある某ビルのシンボルだ。そのまま視線を上へとずらせば、吹き抜けの先の空中回廊が見える――はずだったのだが、日下部の目に映ったのは巨大なカボチャ頭だった。月明りを受けて妖しく輝くジャック・オー・ランタンだ。

    「……あ~、アレが今回の”核”かね?」
    「ハロウィンが題材の作品だったからな。今回、君の獲物は?」

    背後から声をかけてきた日車へ、日下部は肩越しに振り返ってニヤリと笑った。
    トレンチコートをさっと後ろへ流し、愛刀の健在を示す。

    「どんな格好させられるんだとビビってたが、蓋を開けてみりゃいつも通りで武器まである。今回は楽勝だな。さっさとあのカボチャ頭を叩き割って帰りましょうや」
    「概ね同意見だが、楽勝と断言するのは早計だ」

    言うが早いか、日車が宙のカボチャ頭へとガベルをぶん投げた。

    コンッ。

    「…………?」
    「軽ぃな」

    豪速で着弾した割には随分と可愛らしい打擲音がアトリウムに響く。実際、カボチャには傷一つ付いていなかった。
    もう一発、とばかりに日車が投擲モーションに入った、その時だ。

  • 71◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:45:41

    『……ク………………リー……………が……』

    微かな声と共に、カボチャ頭のくり抜かれた目鼻口から赤い光が溢れ出す。

    「君の発言は所謂フラグ、というものだったのでは?」
    「俺のせい? いきなりガベルぶん投げたお前にも責任あるんじゃねーかなぁ!」
    「君がさっさと叩き割ろうと言ったんじゃないか」

    どんどんと強さを増す光に目を眇めながら身構える。
    と、突然カボチャ頭が燃え上がった。炎を纏ったままのそれが、元気いっぱいお馴染みの台詞を吐く。

    『トリック♡オア♡トリートォ!!! 悪い子はいねがぁあああ!!!!』

    「なんっか混ざってねぇ??!!! っておわっ?!」
    「!? これ、は」

    ポン、ポポン、と軽く空気の弾ける音と共に、一帯が様変わりしていく。
    吹き抜け空間には蜘蛛の巣のように張り巡らされた鎖。その網目に結ばれ垂れ下がる何本もの縄の先、不気味に軋みながら人魂に彩られた真っ黒い棺が揺れている。フロアの床も気がついた時には未舗装の土へと変わり、さらにそこから十字架と蝋燭が生えて西洋式の墓地となっていた。いや、それよりもなによりも。

  • 81◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:49:57

    「やっっっぱこうなんのかよクソッタレ!!!!!」

    日下部は叫びながら視界を邪魔する包帯の一部を引き千切った。
    スーツにトレンチコートから一転、その身は包帯でグルグル巻きにされている。所謂ミイラコスだ。といっても何故か腹や胸は剥き出しで手足の肌色も窺える、露出の高いミイラだが。

    「まぁ良い、布面積としちゃあ十分だ! バニーだかミニスカナースとかじゃなかっただけマシだと思って」

    さっさと片付けるぞ、と一歩後ろの日車へ視線を投げた日下部は、そのまま固まってしまった。
    日車も同じように包帯で体を覆うミイラコス、だった。ただし、日下部と違い日車のそれは――

    (ミニスカ……)

    腰から下の包帯がヒラヒラと白いチュールドレスよろしく揺れている。丈が短いせいで腿までガッツリ見えている上に、足元を見れば白いハイヒールだった。
    自身の有様に呆然としていた日車が、日下部を見た。
    日下部はサッと目を逸らした。

  • 91◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:51:50

    「…………何故、君はスカートでもヒールでもないんだ……?」
    「と、とりあえずやるぞ日車!」
    「下半身がスースーする…………公然猥褻罪、とまではいかずとも、軽犯罪法違反ないし迷惑防止条例違反……」
    「公共の場じゃねぇから気にすんな! 何ならやってはいけないと思い込んでたチャレンジだと思え!!!」
    「これは思い込んでいたことではなく正真正銘やってはいけないことだろう……!」

    悲痛な声を滲ませながらも、日車の振るうガベルは容赦がない。頭上の棺桶から躍り出てきた骸骨剣士を横薙ぎに吹き飛ばしバラバラにする。
    抜刀し同じように骸骨を数体切り伏せた日下部は、次いで足元の土が盛り上がるのを認めて舌打ちをした。

    「下だ!」

    地中から伸びた青白い手を鞘で弾き飛ばした日下部の一方、日車は這い出た腐乱体の目玉へと、白いヒールを突き立てる。そのまま踏み抜かれた生ける屍の頭部は、熟れた果実のように跡形もなく爆ぜた。

    「いったそぉ…………ちゅーかお前、よくそれで動けるな……」
    「動き、にくい!」
    「と言いつつ廻し蹴りしてんじゃねーよ。気にするなとは言ったがちょっとは恥じらった方がいいんじゃねー、の、っと!」
    「これは、キルトだ。キルトの下に何も身に着けないのは伝統であり、普通、だ!」

    だから恥ずかしくなどない、と自己暗示を試みているらしい日車に同情しつつ、襲い来る骸骨とゾンビを背中合わせに捌いていく。さして手強くもない相手だが、不死の僕たちは地中と頭上の棺から湧き続けてキリがない。いつかの法廷のように、大元を断つべきだった。

  • 101◆t5cbBAr95b.r26/08/12(水) 16:56:43

    チラ、と肩越しに投げた視線がかち合う。
    頷き合ったと同時に二人揃って跳躍する。日車はそのまま空気の面を捉えて宙を駆けあがり、日下部は敵の群れと距離を置いた場所に着地した。

    「シン・陰流――簡易領域」

    地上にひとり、す、と刀を収めて腰を落とした日下部に、今が好機とばかり骨と腐乱体が押し寄せる。
    日下部の体が四方から迫る敵の影に覆い隠され、その蛆のわく指先が、錆びた剣の切っ先がその身に触れる――

    「居合、夕月」

    キン、と澄んだ抜刀音。
    全自動反射で迎撃する日下部の太刀筋が、薄皮一枚の距離にまで肉薄していた不死の群れを悉く、一瞬で切り刻んだ。

    「日下部!」

    灰と化した一団。次が来るより前に、頭上から振り子よろしく現れたガベルの頭へ飛び移る。見る間に柄は縮み、アトリウムの中程に張り巡らされた鎖の上まで日下部を運んだ。

    「よっし、このまま一気にてっぺんまで」
    『トリック♡オア♡トリートォ!!! 良い子にしとるかぁあああ!!!!』
    「――っぐ」
    「またかよ???!!!!!」

    火の粉を振り撒きながら放たれたカボチャ頭の雄叫びに、ポポポンポン、と軽やかな破裂音が重なった。

  • 11二次元好きの匿名さん26/08/12(水) 20:18:51

    >>9

    伝統だから普通で恥ずかしくない理論好きw

  • 12二次元好きの匿名さん26/08/12(水) 20:20:12

    なまはげ…?

  • 13二次元好きの匿名さん26/08/12(水) 23:41:05

    保守

  • 14二次元好きの匿名さん26/08/13(木) 01:37:43

    ミイラコスイラの日車可愛かったのにやってること容赦なくて笑う
    アツヤは流石1級呪術師最強カッコいい〜〜!!けど続きで恥ずかしコスもしてほしいぞ頼むスレ主必要だろ!!

  • 15二次元好きの匿名さん26/08/13(木) 09:39:15

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん26/08/13(木) 17:39:57

    ミイラコスの日車さんが白いハイヒールで踏んだ腐乱体の目玉は僕です
    死ぬ前に絶景が見えました。ありがとうございました

  • 17二次元好きの匿名さん26/08/13(木) 21:14:14

    >>16

    俺はあと数mmアツヤの尻に届かず切り刻まれた腐乱体...良かったな羨ましいぞ!!

  • 18二次元好きの匿名さん26/08/14(金) 01:56:16

    日車ヒールでも動けるの流石
    日下部も体幹良いから普通に動けそうではある...あっ自分は日車さんの回し蹴りを頂いた腐乱体ですチラリズムが最高でしたありがとうございました

  • 19二次元好きの匿名さん26/08/14(金) 07:48:37

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん26/08/14(金) 16:45:29

    >>16

    >>17

    >>18

    まとめて成仏してクレメンス

  • 21二次元好きの匿名さん26/08/15(土) 00:05:38

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん26/08/15(土) 08:24:56

    ほしゅ

  • 23二次元好きの匿名さん26/08/15(土) 17:58:51

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん26/08/15(土) 21:30:19

    保守

  • 251◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 00:35:09

    体調不良でダウンしてたよ夏風邪には気をつけてね☆
    コメ♡でスレ保守してくれる皆に感謝を☆ 俺も腐乱体になりたい……明日は更新します!!!!!

  • 26二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 04:12:05

    スレ主大丈夫か!?
    回復したのならなによりだけど無理はしないでくだされー!
    とはいえ明日(今日)の更新楽しみにしてます!!

  • 27二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 10:55:28

    私は日車のスカート(キルト)になりたい…ビリビリに破かれてもいいから

  • 28二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 11:08:41

    スレ主お大事に……。待ってるよ

  • 29二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 20:16:15

    保守

  • 301◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 20:22:25

    破裂音が響いた次の瞬間、日下部のミイラ衣装はメイドへと変わっていた。
    頭には白いフリルのヘッドドレス、太い首筋にもやはりフリフリのチョーカー。
    ミニスカ丈のメイド服は胸元がぱっくり開いたフレンチスタイル。腰はコルセットで締め付けられ、スカートの裾から見え隠れする下着はフリル付きジョックストラップである。逞しい脚も黒レースのガーターで彩られ、黒のハイヒールは筋肉の重さで悲鳴を上げているような気がした。

    「……よぉ~しわかった。日車、速攻であのカボチャシメるぞ」
    「片づけを頼んだら部屋ではなく人の掃除をしそうなメイドさんだな」
    「おまえだって中華マフィアの幹部だろうが……!!」

    唸りながら愛刀を振りぬけば、動きに合わせてミニスカートが揺れる。
    突っ込んできた人魂を断ち切って灰に変えつつ、日下部は風通しの良すぎる臀部を嘆かずにはいられなかった。

    「マジでどこ需要なんだよこれは!!」
    「穿いてはいるのだから問題ないだろう」
    「こんなん穿いてねぇのと一緒だっちゅーの!!! つーかお前のそのチャイナドレスも大概スリットがヤバいしなんなら下の紐パン透けて見えるくらい薄い生地なのにな~んでそんな涼しい顔してんだよ!!」
    「穿いているからな」
    「最初ので羞恥心バグってんじゃん!!!」
    「適応力が高いと言ってほしい」
    「いくら何でも高過ぎだろうが…………!!」

    流石は覚醒後二月足らずで宿儺相手に生き残った天才、というべきなのか、揺れる鎖を足場に、剥き出しの腿もなんのその、日車は棒状に伸ばしたガベルで淡々と空飛ぶ箒を墜としていく。黒のドレスと白い肌のコントラストが目に眩しい。

    (俺に比べると細いし毛も薄いせいで割と見られるのがなぁ。何ならメイドもコイツならそこそこ似合いそうな気が――いやいや俺も大概バグってんな?!)

    日下部が自身の思考にツッコミを入れた、その時だ。
    頭上で呪力が膨れ上がった。

    『トリック♡オア――』

  • 311◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 20:30:02

    「「させるか!!」」

    同時に叫び、日車はガベルを、日下部は咄嗟に叩き折った箒に呪力を込めて投擲する。
    しかし日下部の放った箒は人魂によって阻まれ、日車のガベルは最初の一撃同様、カボチャ頭の表面で軽い音を立てただけだった。

    (打撃は無効化すんのか?!)

    『――トリートォ!!! お祈りしたかぁあああ!!!!』

    雄叫びと共に其処彼処から火柱が上がる。
    次々と焼き切れる鎖から鎖へと跳躍しながら、日下部は日車と視線を交わした。チャイナドレスから白い軍服姿となった日車が、鎖の上から中空の影へと身を躍らせる。近世ヨーロッパの軍装を思わせる、タイトなフロックコートの裾が翻った。

    (まあそうなるわな!)

    「――おい! こっちだカボチャ野郎!」

    注意を惹きつけるよう声を張り上げ、日下部は抜身の刀身を渾身の力で投げつけた。いつの間にかフレンチメイドも軍服に変わっていたらしく、バサリと外套がはためき、飾緒の端が視界で揺れる。
    月明りを反射しながら、放たれた白刃は軌道に飛び込む人魂や箒を断ち切っていった。
    勢いを殺さぬまま、切っ先がカボチャ頭に迫る――

    「ハッ」

    日下部は笑った。刀身が突き刺さる直前、するりと身を躱したカボチャ頭がくり抜かれた目を日下部に向けて嘲笑する。だが。

    「余裕ぶっこいてんじゃねぇよ、まぬけ」

    カボチャ頭より余程凶悪な笑みを浮かべた日下部の視界には、映っていた。
    標的をすり抜けた白刃を、ガベルに代わって手中に収めた日車の姿。
    純白の軍衣を翻し、淡く月光に照らされた男が日下部の刀を高く掲げる。
    燃え盛るカボチャ頭のさらに上から、落下の勢い諸共、日車が刀を振り下ろした。

  • 32二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 20:42:53

    >>31

    二人の共同作業……これ実質ケーキ入刀では?

  • 33二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 20:45:42

    ひええ戦闘描写格好良すぎる…!
    セクシーミイラコス・エロカワメイドさんとセクシーチャイナ・最後に軍服とかこんなに贅沢でいいんですか!?
    ご馳走さまです…!

  • 341◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 20:47:18

    『ト、トリッ……ク♡……オアァ……………………!!!』

    弱々しい声は最後まで紡がれず、燃え盛るカボチャ頭は爆散した。

    「っ!」
    「日車! って、なんだこれ、菓子ぃ?!」

    キャンディにマシュマロ、クッキーにチョコ。閃光に呑まれる日車へと駆け寄ろうとした日下部の目の前を、滝のように降り注ぐ菓子の山が遮る。人魂や箒、中空の足場となっていた鎖も次々に菓子へと姿を変えていき、伏黒の脱兎よろしく降り注ぐ食べ物に半ば押し流される形で、二人は地上へと落下した。そして。

    「ピョン! ――ピョン??!!」
    「うにゃぁにゃ…………にゃ――?」

    菓子山からなんとか這い出てお互いの無事を確認した二人の目に映ったのは、露出の高い黒猫衣装に猫耳かぎ尻尾の日車と、一応大事な部分だけは隠れている逆バニー姿の日下部だった。

    (おおぉ……一回真っ当な服を挟んだせいでダメージがデケェ…………っつーかさっきのピョンって何? 俺の口から出たの? マジで?? 日車だけなら笑えたのに勘弁しろよなクソが……!!!)

    『トリック♡オア♡トリートォ♡』

    苦虫を百匹ほど噛み潰した顔で黙り込む二人の間の菓子山から、不意に掌サイズのジャック・オー・ランタンが飛び出した。キャラキャラ、呪力共々小さくなったカボチャ頭が笑声を響かせ回転する。

    「……………………」
    「……………………」

    日下部と日車は視線を交わし、拳を固めた。

    「ピョン!!!!!!」
    「シャ――ッ!!!!」

    怒りの咆哮が甘い香りの充満するアトリウムに響く。
    カボチャ頭の弾ける音に、カチリ、巨大な振り子時計の針が時を進める音が重なった。

  • 35二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 20:47:52

    >>30

    軽口叩く余裕あるコンビネーションバッチリな最高のおっさんコンビをありがとう

    この二人カプとしても大好きだけど普通にかっこいいんだよなぁ!

  • 361◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 20:49:47

     
    ***

    見慣れた室内に、四度目の残穢。
    日下部が瞬いた先で、ゆっくりと日車が振り返る。

    「……………………」
    「……………………」

    お互いに、どんな格好をしていたかには触れない。
    そう取り決めたものの、記憶の有無については確認すべきなのだ。それは勿論、「覚えてる?」の一言で済む話であり、何なら互いの表情で察することも可能ではある、のだが。

    じっと真顔のまま見つめ合うこと十数秒。
    結局、二人はどちらともなく、無言の内に尋ねることを選択した。

    日車は頭上に両手を掲げた、ウサギ耳で。
    日下部は胸の前でゆるく両手を握った、猫の手で。



    両者は同時に、頭を抱えて蹲った。

  • 37二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 20:53:42

    >>36

    このおじさんたち伝え方が可愛すぎる

    戦闘はあんなに格好良かったのに!

  • 381◆t5cbBAr95b.r26/08/16(日) 21:08:11

    ということで四本目完了☆ コメ♡本当にありがとう!!!!!!
    コスプレ案ひとつひとつはじっくり書けなかったけど画像検索しながら篤寛にこれ着てほしいあれも似合いそうと妄想するのめちゃくちゃ楽しかったし軍服は18~19世紀初頭ヨーロッパが癖だったよ☆
    あれは脱がせたくなるやつ……

  • 39二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 22:11:55

    >>31

    外套付きの軍服とか体格のいい二人ならめちゃくちゃ似合ってるだろうなぁ……!コスプレえちとか全然興味無さそうな二人だからこそ、カプ成立後にあの格好エロかったなぁとかふと思い出して悶々として欲しい……

  • 40二次元好きの匿名さん26/08/16(日) 23:04:55

    前スレで日車さんは日下部さんに軍服が似合いそうって言ってましたがどうですか!格好良かったですか日車さん!

  • 41二次元好きの匿名さん26/08/17(月) 07:32:31

    ほし

  • 42二次元好きの匿名さん26/08/17(月) 13:10:06

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん26/08/17(月) 13:19:38

    全乗せ特盛コスプレ祭りだ〜!!わーい!!
    全部見れてくれて嬉しいよスレ主!!ありがとう!!
    これはどれもイラストで見たいよ…
    今回は2人とも記憶あるんだね…2人は嫌かもしれないけどこちらは美味しい状況です、ご馳走様です

  • 441◆t5cbBAr95b.r26/08/17(月) 20:28:35

    ひと足先にダイス君五本目のAV内容よろしく☆ dice1d3=2 (2)


    1)大人の玩具☆

    2)青空保健体育☆

    3)高級風呂☆

  • 451◆t5cbBAr95b.r26/08/18(火) 00:30:39

     
    ***

    「お前さん、そんなん飲むの?」

    高専敷地内の自動販売機前で、日下部は訝しんだ。
    ブラックコーヒーを手にする日車は見慣れたものだったが、今その指先が押したボタンはコーラのペットボトルである。

    「昨日はすっかり失念していたが、やはり映画にはコーラとポップコーンが必要ではないかと」
    「AVは映画じゃねぇだろ。ポップコーンだってねーし」
    「代わりにメントスを用意してきた」
    「おいやめろ、大惨事案件じゃねぇか!」
    「ふふ、冗談だ。実は半年ほど前に虎杖たちとやって痛い目を見たからな。二度はしない」
    「お前らなにしてんの? 馬鹿なの?」

    堅実にいつもの缶コーヒーを手に、日下部は心底呆れた。
    聞けば日車の「やってはいけないと思い込んでいたことチャレンジ」に対する、虎杖・伏黒・釘崎の持ち込みグレ企画だったらしい。

    「メントス以外も色々試したんだ。というより、メントスコーラに代わるものを見つける、が本題でな。駄菓子が山ほど用意されていて驚いた」
    「マジで何やってんだか……で、結果は?」
    「結局メントスコーラが最強、という結論に至った」

    そう言って、両手でそっと支えたペットボトルを見つめる日車の横顔は、ほのかな微笑に彩られている。

  • 461◆t5cbBAr95b.r26/08/18(火) 00:39:54

    (……自分なんかが彼らの青春に割り込むべきではない、とかなんとか、昔は遠慮してたからなぁ。ガキ共と馬鹿やれるようになったのは良いっちゃ良いんだが)

    日下部は音を立てて缶コーヒーのプルタブを開けると、ひと口含み、眉を顰めた。
    散々日車のグレに付き合わされてきたせいだろうか。
    そこに自分が居合わせなかったことに、ほんの少し、ほんの少しだけ、不満めいたものがある――気がした。

    「――あ~…………、っつーか、座ってビデオ見てるだけだっちゅーのに、疲れるもんだな」

    近くのベンチに腰を下ろし、日下部は奇妙な胸の苦みを振り払うよう目を閉じ首を回す。
    ゴキバキ、派手な音が未だ静かな朝の高専に響き渡った。

    「映像を見るだけでも体力は使うぞ。領域内でも五感はあるし――内容が内容だからな。疲労を覚えるのは当然だ」
    「それはまぁ…………そうですね………………」

    つい先程まで強制参加させられていた季節外れの仮装必須ハロウィン会場に、思わず目が遠くなる。
    単純な脳疲労プラス精神的疲労――まさにそれこそが、揃って部屋を後にし、一時休憩を挟むに至った由縁である。お互い記憶もあるのでそのまま五本目を見てもよかったのだが、どうしてもリセットしたいことが多過ぎた。

  • 471◆t5cbBAr95b.r26/08/18(火) 00:41:29

    「日下部。今、思い出したんだが」

    気兼ねない沈黙を共有したまま数分。
    蓋を開けず炭酸飲料の泡を見ていた日車が、不意に口を開いた。
    微笑が消え、眉間に皺が寄っているその顔に日下部は軽く眉を上げる。

    「五つでひと組の呪具があっただろう。報告書ナンバー二〇一六〇〇二一五で捕縛された呪詛師が使用していたものだ」
    「それで”はいはいアレね”ってなるわけねーだろふざけんな。っつーか二〇一六って四年前じゃん。何でお前が――ああいや、書庫で読んだのね。え、もしかして過去の報告書全網羅とかしてんの? こっわ」
    「流石に全ては把握していない。学長権限でもないと読めないものもあるしな」
    「学長代理の席ならいつでも譲ってやるぞ」
    「俺には荷が重い。君の実力と人柄あってこそだからな」
    「…………冗談はさておき、その呪具がどうしたよ。五つひと組で四年前っつーとあれか? アンカーボトルみたいな?」

    日車の率直に過ぎる言葉に顰め面で缶コーヒーを傾ける。空だ。
    仕方なく上着のポケットを探り棒付き飴を取り出した日下部は、日車の呆れた視線に気づいて下唇を突き出した。

    「……なんだよ」
    「四年前と五つひと組の呪具、だけで察する君も大概だと思っただけだ。――詳細は覚えているか」
    「都内五か所に打ち込んで呪力を集めてたやつだろ。個別にぶっ壊して溜め込んでた呪力を放出させるはずが、結局五か所に散ってた呪力を最後の一か所へ集束させちまって――」

    日下部は言葉の途中で口を噤んだ。日車の言わんとしていることに気づいてしまった。
    それは今まさに見ている、呪いのビデオにも通ずることだ。

  • 481◆t5cbBAr95b.r26/08/18(火) 00:46:08

    「十本のビデオに分散していた呪力が集束する可能性。過去の事例を思えば、十二分にあり得るのではないか、と」
    「面倒事は勘弁してもらいたいんですけど……」

    日下部はため息をついた。
    四年前の案件は最終的に、集束した呪力につられた一級二体を含む、呪霊の大討伐となった記憶が薄っすらとある。

    「被呪者の回復が認められた以上、続けないという選択肢はない。それで呪いが強まったとしても、高専内でなら対処は可能だ。その為の俺と君でもある。ただ」
    「問題は収束点が別にあった場合だな。わかった。伊地知から各地の窓へ、警戒度高めるよう伝えてもらう」

    言いながら携帯電話を取り出し、連絡を入れる。ワンコールで出る伊地知は流石補助監督の鏡である。

    「すまない、日下部。杞憂であれば良いのだが」
    「用心に越したこたぁねぇでしょ」
    「それは……そうだが」

    通話が終わった途端申し訳なさそうに声をかけてきた日車の眉尻は、普段以上に下がっていた。
    日下部はその様子に、ふと既視感を覚える。
    無言のまま瞬きもせず、こころなし首を傾げ、身長差からやや上目遣いに日下部を見るその馬鹿でかい三白眼。
    ぼんやりと重なる輪郭を辿って、記憶の中からようやく掬い上げたそれは。

    「――にゃあ?」

    「~~~あちらのことはっ! 忘れろと言っただろう!!」
    「い゛っ?!! おま、脛を蹴るな脛を!!! 違うって! 今のは昔近所にそういう名前の黒猫がいたのを思い出しただけで、あっちでニャーニャー言ってたお前とは関係な、やめろ悪かったガベルを出すな!!!!」

  • 49二次元好きの匿名さん26/08/18(火) 07:49:25

    >>48

    優秀な二人にカッコイイ~ってなってたら最後のギャップでやられた

    でっかいお目目のネコチャン……

  • 50二次元好きの匿名さん26/08/18(火) 11:52:22

    メントスコーラ皆でやってるのかわいいねぇ~〜~!!!
    日車の仕草が本当に若人たちを尊んでる感じで良い...尊いのはお前もだよ日車ぁ~〜〜!!!
    ところで日下部それは独占欲というものじゃないかい?ん?素直におなり?
    は〜~〜おっさんのモダモダは健康に良いですなぁ!!!

  • 51二次元好きの匿名さん26/08/18(火) 18:15:21

    日下部は日車のグレ企画に付き合ってあげてたんだね!どんな企画をしていたんだろね?メントスコーラみたいなのは虎杖達がやりそうな企画ではあるけど

    あとあっちでのコスプレ日車を見れたそれこそグレ企画では絶対できないだろうから、それは日下部の特権だよ。まぁ日下部の尊厳も無くなったけどね
    ドンマイ!

  • 52二次元好きの匿名さん26/08/18(火) 18:15:55

    青空保健体育⭐︎ってなんだよ…楽しみすぎる

  • 53二次元好きの匿名さん26/08/18(火) 23:24:07

    青春モノか?それともさっきやったから別で教師モノ?

  • 541◆t5cbBAr95b.r26/08/19(水) 04:17:19

     
    ***

    部屋に戻り五本目のパッケージを開けた日下部は、日車と顔を見合わせた。
    お互いに険しい顔で、黒塗りのディスクにじっと目を凝らす。

    マジック☆ミラー号でイクッ♡ 異世界ムチ無知娘に青空性教育♡♡

    タイトルのせいで非常に気が散るが、確認したいのは製作者の正気ではなくそこに宿る呪力だ。
    顰め面のまま、日下部は首を傾げた。

    「……微妙に、一本目に比べりゃ強くなってる……か?」
    「……何とも言い難いな……」
    「まぁまだ半分残ってっからな。とりあえず進めていきましょーや」

    これ以上肩を並べてAVディスクと睨めっこを続けるのも不毛というものだろう。日下部はさっさと円盤を手に取りセットする。
    五回目の注意喚起と呪いの声に続き現れたのは、荷台にマジックミラーをはめ込んだ魔改造キャンピングカーだった。

  • 551◆t5cbBAr95b.r26/08/19(水) 04:19:07

    「……剣と魔法の世界? ならキャンピングカーではなく馬車の荷台にでもセットを組んだ方が良かったのでは? マジックミラーの原理を魔法と説明するなら余計に、車の異物感が凄まじいのだが」
    「普通の映画ほど金かけられるもんでもなし、この為だけにわざわざ馬車用意して改造して、なんてできねぇだろ」
    「車を改造する方が高くつかないか」
    「……あー……」

    (こいつ、もしかしてマジックミラー号って知らねぇ? いや知らんか。AV見たことなかったんだもんなぁ)

    視聴したことはなくとも人気ジャンルのひとつとして知っていた日下部は、改めて日車のAV鑑賞履歴がこんなニッチで埋められて大丈夫なのだろうかと心配になった。
    とはいえこの車は使い回すから良いんだよ、とは後が怖いので勿論言えず、黙ったまま画面を見る。

    「彼女は女性剣士……? にしてはあまりに軽装だが。筋肉も……いや、これはファンタジーで、フィクションだったな」
    「普通の村娘にしときゃお前みたいなのに突っ込まれずに済んだのになぁ」
    「呪力強化があるといっても、筋力が物を言う世界だと実感したからな。君は気にならないのか」
    「言っただろ、AVなんて頭空っぽにして見るもんだって」
    「これが例えば時代劇やアクション映画だった場合は?」
    「それは……まぁ、多少は」
    「そうだろう」
    「なんでドヤ顔なんだよ」

  • 561◆t5cbBAr95b.r26/08/19(水) 04:23:07

     

    ***


    女剣士にエルフに踊り子。

    異世界らしい面子との絡みを終えて暗転するまでの二時間少々、幾つのツッコミが交わされただろうか。


    「とりあえず三人とも別人設定のくせに同じ女優なのはどうなんだっつーな……マジで低予算すぎんだろこれ」

    「座学としての性教育シーンは評価したい。避妊具の重要性や性病のリスクについては仕事柄熟知しているだろうし、製作者側にはああいった情報をこそ積極的に発信してほしいものだな」

    「AVで真面目な保健体育の授業に一時間尺使ってんのは本来評価するとこじゃねーんだよなぁ……」


    よっこいせ、と立ち上がった日下部は、プレイヤーの前へと歩を進める。


    「そんじゃ、いきますかね」

    「ああ。頼む」


    カチリ。



    ***


    呪いのAV五本目 dice1d100=57 (57) + dice1d40=11 (11)


    日下部      dice1d100=81 (81)

    日車       dice1d100=82 (82)

  • 571◆t5cbBAr95b.r26/08/19(水) 04:43:30

    コメントありがとうございます青空保健体育はMM号でした……
    寝落ちして変な時間に起きたので……投げたんですがね……
    ダイス神が全く微笑んでくれなくて俺は……今度こそアクションビデオではなく叡智なAVを……辛い辛い辛い何でダイスが!! 明け方に俺がダイスなんて振らなければ!! やめろ!! 考えるな!! このまま叡智な展開にならずに終わったとして!! それは「正しいスレ」か!? 考えるな!!! 俺は、こんなに、(ダイスが)弱かったのか!!

    おっと錯乱したよ☆
    とりあえず続きのAV(アクション・ビデオ)頑張ります……

  • 58二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 07:54:22

    相変わらず二人の会話が可愛い
    ドヤ顔ひろみ……ひろみの思考回路にツッコミ入れつつ完全に理解しているアツヤ……

  • 59二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 08:22:07

    呪力増強があってなお勝つとか一級と一級相当強すぎぃ!
    コメディ的な掛け合いじゃれ合いも可愛くて美味しいけどAVくんはもっと頑張ってくれ
    やくめでしょ

  • 60二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 11:10:25

    このレスは削除されています

  • 61二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 11:39:30

    このレスは削除されています

  • 62二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 12:01:10

    MM号でえろんえろんになっちゃう二人見たかった...
    でもダイス神の導きならしゃーないよスレ主!俺はスレ主のかわいくて強強篤寛AV(アクション・ビデオ)大好きです!!!

  • 63二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 13:49:07

    なんでだよ…ダイス…

  • 64二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 19:01:37

    日下部さんはちょいちょい意識してる感出てるけど日車さんはどうなんだい
    めちゃくちゃ頼りになって優しくて気の置けない同僚止まりなのかい
    序盤でちょっとえっちぃ夢は見てたけど本人の認識では罪悪感からの悪夢だしな……

  • 65二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 19:14:09

    >>57

    えちえちも勿論ウェルカムだけど、スレ主が書いてくれるアクションラブコメ大好きだよ!

    同僚以上カプ未満という一番わくわくする期間の二人をじっくり見せてもらえて幸せ

  • 66二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 22:38:37

    某ETDトリオのスレの時も思ったけどエロダイスくんどこも数字弱すぎる!!

  • 67二次元好きの匿名さん26/08/19(水) 22:58:35

    >>57

    無念のあまり小僧化してて申し訳ないが笑ってしまった

    つまり百折不撓ってことだな?!今後の展開に期待してる!!

  • 681◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 07:15:11

     
    ***

    鬱蒼とした森。木々の合間から覗く空は明るいが、空気は重く澱んでいる。
    時に鼻腔を掠める饐えた鉄錆の臭いにも怯まず、日下部はただ走っていた。人の気配を、日車の呪力を探しながら。

    「――退け!!」

    茂みから飛び出してきた複数の小鬼――この世界観ならゴブリンと呼ぶべきだろうか、醜悪な魔物をツヴァイハンダーで一掃する。
    断末魔はすぐに背後へ遠ざかる。ファンタジー世界よろしく漆黒のマントを翻しながら、日下部はひたすら先を急いでいた。呪力を足に込めて可能な限りの速度で森を駆け抜ける。手を覆うガントレットは早々に外して捨てたものの、革製の衣服に膝上までを覆う鎧がやたらと重くもどかしい。

    (何処だ日車、何処にいる)

    日下部の焦燥を煽るように、いつかの日車の声が甦った。

    『俺は地下牢にいた。君の姿はなかった。君も同じように捕らわれているのかと探し回っていた折、君の呪力を頭上で感じた。ガベルで地盤に穴を開けて地上へ出たら、縄で縛られ吊るされた君がいた』

    (散らされてこっちはAV内容とは関係ないところにいる。条件が一致し過ぎなんだよ、クソが。早く、アイツを見つけねぇと)

    ギリ、強く噛み締め過ぎた奥歯が音を立てる。
    日下部の脳裏に、今度は家入との会話が過った。

  • 691◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 07:27:16

    『――日下部さん。もし今後日車さんが”そういった”目に遭った場合、勿論私も尽力しますが、日車さんのフォローをお願いします。本人に記憶が残らずとも、なかったことにはならない。見えない傷が一番厄介ですから』
    『お前、今回見えない傷を負った俺にはあっさり問題なしの太鼓判押したくせに……』
    『ついこの間まで真っ当な世界で真っ当に生きてきた真っ当な人と、生まれてこのかたずっとイカれた世界のイカれた最前線で戦ってきて今尚生き残っているイカれた人。同列に扱えるわけがないでしょう』
    『俺は最前線じゃなくて教職選んだ、しがない普通の人間なんですけど?』
    『白々しいですね。わかってるくせに』

    (そうだよわかってる――言われるまでもねぇ)

    いつかは煙に巻いた言葉を、胸中でごちる。
    日下部は自分たちとは――自分とは違う日車の真っ当さを、知っていた。
    出会って直ぐに気が付いたし、この一年半でその思いはますます強まった。
    時に凡人とは一線を画すその頭脳で、或いは斜め上の馬鹿真面目さで、凡夫の目からは奇行以外のなにものでもないことをしてみせたとしても。
    それでもイカれた世界に引きずり込んだ羂索や呪術界を呪うのではなく、ずっと自分自身の弱さを呪っている日車寛見という人間。その稀有な心根を知っていた。

    (これ以上アイツに、余計な傷を抱えさせるなんざ御免なんだよ……っ)

    両手剣の柄が軋むほど強く手を握った、その時だ。

  • 701◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 07:31:00

    「――っ!」

    日下部は足を止めた。
    息を詰め三時の方向を見て――気が付けば地を蹴っていた。

    「日車!」

    日車の呪力を、見つけた。
    一直線にそこを目指す。ぬかるみも下草も太い木々も、その加速を妨げることはない。
    どんどんと近づく見知った呪力――そこに知らない呪力も混じっていることに気付いた瞬間、日下部の心臓がド、と大きな音を立てた。

    「――日車!!!」

    日車の呪力が瞬間的に膨れ上がる。そして、破壊音。
    切り開かれた森の一角。急に開けた視界で、強すぎる陽射しと爆風が日下部を襲う。
    小石や木片、陶器の欠片がパラパラと降り注いだ。

    「――おい! ひぐる、」

    探し人の名前を最後まで紡ぐことはできなかった。
    空き地の中央、そこに建っていたのだろう丸太小屋の残骸。
    全壊したその中に、蹲る影があった。普段のスーツ姿ではなかったが、それは確かに――日車だ。
    黒いフード付きのローブを頭からすっぽりと被り、こちらに背を向けている。その生地が重く濡れそぼっているのが、距離はあってもはっきりと分かった。その液体が、ぬらぬらと妖しく光るのも。
    そして、風に乗って流れてきた、独特の生臭さ。

    (……おい、おい。違うだろ。何で、こいつが)

  • 71二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 13:05:58

    ハス

  • 72二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 18:37:24

    今度は日下部が日車を探す展開なんだね
    生臭い液体って血…?だとしても返り血だろうと変に安心できる二人組
    続きも楽しみ!

  • 73二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 21:41:31

    >>72

    ぶっかけられた(意味深)かと思ったけど血か!ひっどい勘違いかもしれん

  • 741◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:02:57

    「…………? くさか、べ……?」

    不意に、黒い塊が動いた。
    のろのろと上体を起こし振り向いた日車の目が、日下部を捉えて瞠られる。

    「――日下部!」

    立ち上がりかけた体が傾ぐ。
    そこでようやく、日下部は体の動かし方を思い出したように日車へと駆け寄った。

    「日車、お前――」
    「日下部、無事だったんだな。良か、」

    ゴホ、と咳き込んだ日車の言葉が途切れる。日下部は屈んでその背を擦ろうとしたが、直前で日車に止められた。
    汚れるから、と伸ばされた拒絶の手から、どろりと粘り気のある液体が滴る。日下部は思わず視線を逸らした。

    「日下部」
    「……無理して喋らなくていい。あと、ローブ脱げるなら脱げ。俺のマントやるから」
    「ああ……いや、いい。ローブは脱がない。断固拒否する」
    「おう。――おう?」

    思いの外強い拒絶とその言い草に、日下部は一度逸らした視線を日車へと戻した。
    濡れたフードの影から日下部を見上げる、仏頂面。
    顔にも粘液が付着し酷い有様ではあったが、その三白眼に宿る光は見慣れたものだ。普段と変わらぬ、頑固で面倒な、馬鹿真面目なその目に想像していたような翳りはない。
    よくよく見ると、水が滴りところどころ粘液が糸を引いている点を除けば、ローブの下の衣服にも特段乱れたところはなかった。

  • 751◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:06:53

    (……あー……っと? なんかエロいことされてナニ塗れになって呆然自失……かと思ったが、大丈夫そう、か? あんだけ色々、必死になって――全部俺の、早合点?)

    流石に格好悪すぎだろ。
    直前までの己を省みて沸々と湧き上がる、安堵以上の、羞恥。
    これ以上ないほど渋い顔になる日下部の前で、日車はごそごそとローブ下の衣服を探り――眉間の皺を深めて固まった。小さく溜め息をつくと、日下部が羽織ったままのマントを無言で手繰り寄せ顔を拭う。どうやら結局、他に適当な布が見つからなかったらしい。

    「日下部。地下だ」

    そうして幾分身綺麗にしたところで、日車が唐突に言った。

    「――はい? 地下?」
    「今回の核だ。”初代魔法の鏡号”がここの地下にある」
    「初代……魔法の鏡号? は? っつーかそれ誰に聞いたの?」
    「魔法の鏡第二号保持者。自称愛の伝道師」
    「なんて?」
    「二号は既に破壊し、自称愛の伝道師も騎士団に突き出した。あとは初代魔法の鏡号を壊せば戻れるはずだ」
    「はー、待て待て。情報が多過ぎる……!」

    日下部はこめかみを押さえた。やはり色々と、想像していた感じと違う。

    「日車、頼むからちょっと、最初から、順を追って説明してくれませんかね……?」

    日下部の懇願に、わかった、と日車が小さく頷いた。

  • 761◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:36:56

     
    「まず俺は、”巡礼の一団”、端的に言えば移動式見世物小屋隊商の檻車にいた」
    「はぁ??!!」
    「手枷で呪力が使えなくてな。檻車の見張りを説得して解放してもらった」
    「見張りを、説得……?」
    「その後は護衛の傭兵たちを迎撃しつつ、虱潰しに残りの檻車を確認・破壊していったが君の姿はない。聞けば俺がいた檻車は隊商の第三隊で、本隊には全面ガラス張り、檻部分が宙に浮かぶ特別檻車――魔法の鏡号があるという。俺は傭兵隊長に本隊までの案内をお願いした」

    最後の台詞と共に一方の口角を上げたその顔は、完全に悪い弁護士だ。どんな風に「お願い」したのやら、権威主義に選民思想、腐った頭のお偉方相手にキレた日車の舌鋒を知る日下部は、ヒクりと頬を引き攣らせた。

    「だが本隊の魔法の鏡号にも君の姿はなかった。そこで一団の主たる自称愛の伝道師に面会を求め、名前や特徴を挙げて君の居場所を尋ねた。が、わからない、そんなチンピラゴリラは知らない、の一点張りだ」
    「おいコラちょっと待て! お前俺のことどんな風に話した!? 悪口のオンパレードでもなきゃチンピラゴリラ呼ばわりはされねぇだろ?!」
    「話の腰を折るな日下部。説明を求めたのは君だろう」
    「俺が悪いの……?」

    抗議をひと睨みで切り捨てられ、理不尽、の三文字が脳裏に浮かぶ。
    続けるぞ、と口を開く日車に、日下部はしょっぱい顔で頷いた。

  • 77二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 22:38:31

    >>75

    日車のために必死になる日下部ほんま好き

    格好悪くないよ、さらけ出してくれ!

  • 78二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 22:39:58

    このレスは削除されています

  • 791◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:40:15

     
    「同じような見世物隊商があって、君はそこに捕らわれているのかもしれない。そう思って他にガラス張りの檻車を有する団体がないか問い質したが、魔法の鏡号は特許物で他にはない、と返された」
    「特許……ああうん、すみません続けて下さい」
    「嘘をついている、少なくとも何かを隠しているのはわかった。ので、尋問を重ねたところオリジナルである初号機が別にあると判明した」
    「マジか…………」
    「そこに隊商から通報を受けた騎士団員がやってきたので、俺たちの行動は正当防衛であること、自称愛の伝道師による行いは略取・誘拐罪並びに人身売買罪、売春防止法違反と児童福祉法違反・労働基準法違反等々に当たると訴え納得させた」
    「通じるのか現代日本の法観念……」
    「自称愛の伝道師とその一派を騎士団に引き渡し、ここを目指した。道中魔獣を捕まえることができたのは幸いだったな。おかげで馬よりもかなり早く移動できた」
    「魔獣はタクシーかよ……」
    「丸太小屋の中から地下に下りようとして――トラップが発動した」

    突如現れた魔物を小屋ごと吹き飛ばしたところに、日下部が駆けつけた。そういうことらしい。
    びしょ濡れなのもぬめりも臭いもスライムの体液、とのことで、実際日車が顔を拭った日下部のマントは、しっかりと同じ生臭さになっていた。

  • 80二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 22:46:11

    チンピラゴリラはちょっとガラが悪いみたいな紹介の仕方したのかな
    結局日下部のマントで顔拭っちゃうのといい、対日下部にだけ特別遠慮がない日車ほんと可愛い

  • 81二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 22:51:12

    特徴は…チンピラゴリラだな。みたいな説明したのかもしれない

  • 821◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:53:32

     
    「ご説明どーも。あー……、蹲ってなんかぼーっとしてたのは? まさか怪我してんじゃねぇだろうな」
    「していない。あれはその……異世界という設定が、反映されているらしく」
    「?」
    「ここでの俺は、人間ではなく半獣なんだ」
    「はんじゅう……?」
    「獣の性というか……特性のせいで、どうも、水に弱くなっているらしく」
    「はぁ」
    「爆散したスライムの体液を頭から被って、パニックになって……呪力を放出し過ぎて、その、一時的に動けなくなっていた」
    「……………………」

    心なし目元の赤く染まった日車に、日下部は全て察した。

    (つまりこいつまた猫耳になってんのね…………道理でフードすら取らねぇわけだ)

    盛大な溜め息をひとつ。そして。

    「!? 何をするんだ日下部!!」

    日車のフードを鷲掴んで引き摺り落とす。
    日下部の視線の先、予想に違わぬ黒い猫耳が、ピョン、と元気よく立ち上がった。

  • 831◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 22:55:45

    「おい、日下部!」
    「うるせぇ紛らわしい真似しやがって!!! 心臓に悪いっつーんだよクソ、何かあったのかと思っただろうが!!!」
    「アラフォー男の猫耳だぞ、仕方がないだろう! それに君ばかりだと思うな。俺だって、檻車の何処にも君の姿がなくて気が気じゃなかったんだ。離れた場所にオリジナルがあると知って俺がどんな思いだったと……! 俺はまた、今回も、また……っ」

    不意に、日車の声が揺れて途切れた。
    ぐ、と唇を噛んだかと思えば、俯いて日下部の視線から表情を隠す。ただ日下部には、見えない日車の表情も、途切れた言葉の続きも何となく想像がついた。何せこの男は、真っ当なのだから。

    「……また、なんです」
    「……なんでもない」
    「無理があるだろ。猫耳ぺしゃんこになってんぞ」
    「やめてくれ。だから嫌だったんだ」

    両手で顔を覆い溜め息をついた日車に、日下部もまた息を吐く。
    知らず伸びた手でその黒髪を撫でかけて、指先を握りこんだ。
    逡巡の結果、その手は少し位置を下げ、秀でた額へのデコピンに落ち着く。

    「っ! ~~~日下部!」
    「そろそろ動けんだろ。さっさと地下行って噂のオリジナル、ぶっ壊しましょーや」
    「……デコピンをする必要が何処にあった?」
    「イカ耳が見たくて、つい?」
    「……やはりチンピラゴリラじゃないか」
    「お前マジで一回グーで殴らせろ」

    そう言いつつ、立ち上がった日下部が日車へと差し出したのは、拳ではなく開いた手のひら。
    日車は眉を顰めたまま口を開き――だが結局、何も言わずに立ち上がった。自分よりも少し大きく、武骨な日下部の手を取って。

    無事で、良かった。

    その囁きは、日下部のものだったか、日車のものだったか。
    互いに聞かせる意図もなくただ零れ落ちた安堵。それは風に運ばれ、本人の耳にすら届くことなく溶けていった。

  • 84二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 22:56:11

    撫でろ…ッ!
    撫でろアツヤ…ッ!!

  • 851◆t5cbBAr95b.r26/08/20(木) 23:08:55

    ということで初号機破壊は割愛して五本目完了だよ☆
    いつものA(アクション)V(ビデオ)のはずが今回はAパート少なめただのビデオになりましたごめーーーん!!!(美しい本気の土下座)(五本目MM号ネタへの未練が強すぎた)(だって強化ダイスも入れたのにぃ!)
    そしてコメ・♡してくれる皆に感謝を☆ 俺の栄養です……本当にありがとうございます五体投地……!!!!!
    スレ主のメンタルはアイスなので百折不撓はできないが完走まであと五本……AVネタ探しつつ頑張るぞ☆
    あと次の高専パートでは日車視点もちょっと入れられたらなと思ってるよ☆

  • 86二次元好きの匿名さん26/08/20(木) 23:33:06

    >>83

    心がぽかぽかする篤寛をありがとうございます本当に……

    日車さんも心配してたんだねぇ……そりゃそうだよね

    自分よりも相手が辛い目に遭うほうが嫌な二人よ

  • 87二次元好きの匿名さん26/08/21(金) 07:48:39

    お耳ぺしゃんこ…
    猫耳の表情豊かな日車可愛い…
    口では殴らせろとか言うのに差し伸べる手が優しい日下部も解釈一致
    大好き

  • 88二次元好きの匿名さん26/08/21(金) 09:23:27

    今度のダイスが楽しみだな、ダイス神が微笑んでくれるといいけど…

  • 89二次元好きの匿名さん26/08/21(金) 16:44:59

    手を繋ぎましたねヤッター!
    なんかこう、お互いにカッコ悪いとこ見せたくないのに素が出ちゃうみたいな……いいよね……

  • 90二次元好きの匿名さん26/08/21(金) 23:36:25

    保守

  • 911◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 01:15:21

     
    ***

    見慣れた高専の一室で、二人は顔を見合わせる。
    お互いの視線には相手が確かに記憶を保持しているのか――本当にあちらで何事もなかったのかを探る色があった。
    無言の攻防めいたそれに溜め息をつき、終止符を打ったのは日下部だった。

    「言っときますけど、俺はしっかり記憶あるからな。森の中駆けまわってただけって話しただろ。疑ってんじゃねーっつの」
    「……君を疑っているわけじゃない。自分が何か見落としていないか心配なだけだ。それと俺だって覚えているからな。あれだけ詳細に説明したというのに、まだ何かあったとでも?」
    「それは普段の行いのせいじゃないですかねぇ、自称負傷なしの反転常習犯さんよ」
    「……そういうところがチンピラゴリラだというんだ」
    「次それ言ったら本気でグーパンするからな黒猫ちゃん――ってガベル投げんなすみませんでした!! おい馬鹿やめろ、モニターに当たったらどうすんだよ!!」
    「君が避けなければ当たらない……!」
    「俺に当たる方が駄目だろ!!」

    「日車さんお邪魔しまーす! ってあれ?」
    「お? なんだどうした、痴話喧嘩かぁ?」

    ガベルを振りかざす日車と、それに両手を上げて制止を請う日下部。
    二人は突然の来訪者に、そのポーズのまま固まった。
    現れたのはシン・陰の門弟にして今は補助監督業に精を出す三輪と、パンダだった。

  • 921◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 01:18:33

     
    「何やったのか知りませんけど、早く謝った方がいいですよ日下部さん」
    「そうだぞ日下部。仕事手伝ってもらえなくなっても知らね~ぞ~」
    「お・ま・え・ら・は! なぁ~んで俺が悪いっつー前提なんだ。あとノックと同時に入ってくんなノックの意味がねぇだろうが」
    「ちゃんとTPOは弁えてますよ」
    「だよなぁ~」
    「今ここでも弁えろや……!」

    舐めやがってこのクソガキ共は、と日下部の大きな溜め息が落ちる。

    「――で? どうした。何か用か」
    「何か用かじゃないですよ! 日下部さん、冥冥さんからの連絡無視したでしょう!」
    「げ。アイツに買収されたのかよ」
    「人聞きの悪いこと言わないでください! 末席とはいえシン・陰の門弟である私が、シン・陰の未来にかかわる話と聞いて知らんぷりできるわけがないでしょう! そもそも大の大人が電話にすら出ないってどうなんですか? おまけに日下部さんは一応、名目上、仮にも当主なんですよ?!」
    「お前ほんっと俺のこと舐めくさってやがるな」
    「だから連絡取って下さい! 今すぐ! 私のスイーツバイキングがかかってるんです!!!」
    「やっぱ買収されてんじゃねぇかよ三輪ぁ……!」

    ドスの利いた声を出しつつ、日下部は諦めたように一度眉間を揉んだ。
    パンダの首を掴んで持ち上げると、そのまま日車の眼前にぶらさげる。反射的に両手を出し、日車はおっかなびっくり小さな温もりを胸に抱いた。

    「悪ぃ、ちょっと外すわ」
    「あ、ああ」
    「ごゆっくり~」
    「ゆっくりして堪るかめんどくせぇ」

    三輪と連れ立って日下部が部屋を出ると、後には困惑顔の元弁護士と、その腕の中で暢気に手を振る、一匹のパンダが残された。

  • 931◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 01:21:38

    振るの忘れてた☆ ダイス君六本目は? dice1d3=3 (3)


    1)大人の玩具☆

    2)高級風呂☆

    3)おくすり☆

  • 94二次元好きの匿名さん26/08/22(土) 07:55:29

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん26/08/22(土) 09:16:39

    黒猫ちゃん呼びするアツヤ!?!?イイ!!?!!
    ガベル日車と制止アツヤのくだりとかスレ主の書く2人の距離感が好きだ…
    パンダ抱えてる日車かわいいね

  • 96二次元好きの匿名さん26/08/22(土) 17:22:35

    ほしゅ

  • 97二次元好きの匿名さん26/08/22(土) 17:38:56

    >>69

    日車寬見の真っ当な心根を尊ぶイカれたアツヤ好き...呪術界では真っ当枠なんだけどね

    おまけに本人にはそんな素振り見せずにハ〜ヤレヤレしてるお前にやれやれだよ好き!!

    日車視点楽しみ待機

  • 981◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 20:48:14

     
    ***

    パンダを抱えたままソファに腰を下ろしかけた日車は、机上に鎮座する本来の卑猥さを取り戻した五本目のジャケットに気付き、心臓が止まりかけた。
    素早く膝を伸ばし、ローテーブルに背を向ける。

    「どうした日車、座らないのか?」
    「…………君さえよければ、このまま抱きしめさせてもらっても構わないだろうか」
    「お? 日車もパンダの愛らしさにメロメロ?」
    「そんなところだ」
    「なら仕方ねぇなあ」

    アニマルセラピーだ、撫でてもいいぞ、と続けるパンダの言葉に甘えて背を撫でれば、日車の口角は自然弛む。

    「落ちついたか? なんかガベル振り上げてたけど」
    「……見苦しいところを見せて、大変申し訳なかった……」
    「いやいや、そんな真剣に謝るなよ。むしろもっとやってくれていいんだぞ。普段一線引いてる日車が遠慮してないのも、面倒くさがりの日下部が進んで尻尾踏みに行ってるのも、傍から見てる分には面白いからな」

    くふくふと笑うパンダに、日車は眉尻を下げた。
    面白がられるのも困るが、それ以上に。

    「皆に、一線を引いているつもりはないのだが……不快な思いをさせていただろうか」
    「ん? あ~、違う違う。今のは俺の言い方が悪かったか。一線って言っても冷たいとか他所他所しいとか悪い意味じゃなくて、親しき中にも礼儀ありの方。その点二人はお互い遠慮ないよなあと思って。やっぱ年近いのもあるのか?」
    「それは――どう、だろうな。俺の方は確かに……その、何かと甘えてしまっているという自覚はあるが……」

    日車はそっと、歳の近いその男を見送った扉へと視線を向けた。
    パンダ曰く日下部は「進んで尻尾を踏みに行ってる」らしいが、それは気安さよりも気遣いからくるものだ。日車はそう認識している。
    日下部は、日車の抱え込んだものを吐き出させるのが上手い。
    それは揶揄いや呆れ交じりの時もあれば、こちらを逆撫でするような辛辣さを孕む時もある。だが、何れも日車を慮っての言動であることに変わりはなかった。

  • 991◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 20:56:48

    (気が付きもせずにただ享受した優しさは、きっと数知れない。返しきれるものではないにしても、こうも一方的なのは……もどかしい)

    「……不甲斐ないな」
    「ふがいない?」

    ぽつりと漏れ出た呟きを拾われて、日車はハッとする。
    腕の中のパンダが、不思議そうに首を傾げて日車を見上げていた。

    「――気にしないでくれ。何でもないんだ」
    「……そうか。そうだよな。小さくなって任務にも行けないし、本当に俺は不甲斐ないパンダだよな……」
    「待て、違う。君のことではないんだ。今のは俺自身のこと、で」
    「ほうほうなるほど。日車は日車のどこを不甲斐ないと思ってるんだ? もしかしてあれか? 自分ばっかり日下部の世話になってる~とかそういう?」

    日車は目を瞠った。それを受けて、パンダは得意げに頷きを返す。

    「さっき”俺の方は”って言ってたからな。パンダはパンダだけど、ちょっとは人の機微もわかるんだ。というか悠仁たちも言ってたけど、日車、マジで自己評価低いんだなあ」
    「……俺の自己評価が低いというよりも、君たちが過大評価してくれているのだと思うが」
    「俺たちのは正当な評価だよ。んで、俺から見た感じ、心配ないと思うぞ。日下部だって日車に甘えて――ん? 甘えてる? はちょっと違うか?」
    「そうだろう」
    「甘えの一種ではあると思うんだがなあ。ほらすうっっご~く格好つけてるし! で、見栄も張ってるだろ?」
    「わざわざ取り繕わずとも彼は十分に格好のつく男だし、見栄とはむしろ無縁なタイプじゃないか?」
    「! 日車それは……そういうことなのか?」
    「そういうこと……?」
    「あ~、いや、今はまだいいや。こっちの話。……とにかく、日下部が他の誰よりも日車を信頼してるのはパンダでもわかるぞ。もっと自信持って大丈夫だ。パンダが保証する」
    「……そうか。そうだな。ありがとう」

    他の誰よりも、というパンダの言葉に異論はあったが、それは呑み込んで礼を言う。
    日車を励まそうとしてくれるパンダの心は素直に嬉しい。感謝の意をこめて頭を撫でると、パンダの鼻からふすふすとご機嫌な鼻息が漏れた。

    と、唐突に扉が開いた。

  • 1001◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 20:58:42

     
    「はー、疲れた。日車、おまちどおさん」
    「ちょっと日下部さん! 人にはTPOとか言っておいて、ノックすらしないってどういうことですか!」
    「うるせぇ、任務でこの部屋詰めてたさっきと中断した今とじゃ状況が違うだろうが状況が。それこそTPOだっつーの」

    屁理屈! と抗議する三輪を無視して部屋に入った日下部は、預けた時同様の無頓着さで日車の腕の中からパンダを摘み上げた。そのまま後ろ手に放り投げる。

    「日下部!」
    「おお?」
    「わっ! ちょっと危ないじゃないですか日下部さん!」
    「別に落っことしても死にゃあせんだろ。ほら、用は済んだんだからさっさと帰れ帰れ」
    「お~、じゃあ戻るか。日車、またな~」
    「ぬぐぅ。……日車さん、お邪魔しました! 引き続きお仕事頑張って下さい!」
    「あ、ああ。ありがとう。君たちもな」
    「はい! ありがとうございます!」
    「日下部はサボるなよ~」
    「さっさと行け!」

    日下部のしっし、と犬猫を追い払うような手振りを最後に扉が閉まり、室内はようやく静けさを取り戻す。
    宣言通り、中断の時間は長くなかった。ものの五分というところだろう。

    「良かったのか? 随分早かったが」
    「本当なら一分で終わったんだよ。三輪が横からギャーギャー口挟むから長引いた」
    「彼女もシン・陰の一員だ。色々と心配なんだろう」
    「アイツの心配はスイーツバイキングだけだっつーの。――さ、そんじゃ続きといきますか」

    日下部がローテーブルのDVDへと手を伸ばす。
    日車はその様子を見ながら、パンダの言葉を思い出していた。

    『日下部が他の誰よりも日車を信頼してるのはパンダでもわかるぞ』

  • 1011◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 21:01:49

     
    信頼。
    一定の信頼を預けてもらっていることは確かだ。それすらわからないほど鈍くはない。だが。

    (俺は、それだけではなくて。俺でなくてもいいとは言ったが、許されるのなら他でもない俺を、頼ってほしい。誰にも見せないような弱い部分でも、俺だけには見せられるような。それくらいの信頼を――……)

    日車はそこで、自身の思考に眉を顰めた。

    (……何だ? 何か、違和感が。ずっと彼に助けられているばかりだから。だから報いたいと、力になりたいと思っていて。それで頼られたいと思うのは、まだしも……)

    それが何故、一定の信頼以上を欲しがることになる?

    「――日車? どうした。難しい顔して」

    ハッとして声の方へと視線を向ける。日下部がDVDのパッケージを手に、日車を訝しげに見つめていた。

    「す、まない。少し、考え事をしていた」
    「……パンダに何か、変なことでも言われたか?」
    「いや、言われた……のは言われたが、変なことではない。励まされただけだ」
    「励まされた?」
    「……俺は、自己評価が低いと。もっと自信を持っていいと」
    「あー、それは確かに。っつーか虎杖だか星だかにも同じこと言われてなかったか? それも一回二回の話じゃなくて、何べんも」
    「黙秘する」
    「肯定と同義のやつじゃん」
    「うるさい。さっさとセットしてくれ」
    「へいへい」

    喉を震わせ笑う日下部を、日車は睨みつける。
    この一年半ですっかり慣れ親しんだ二人の空気――気付けば日車が捉えたはずの違和感は、その心地よさに紛れ、意識の端からすり抜けていた。

  • 1021◆t5cbBAr95b.r26/08/22(土) 21:10:42

    コメ・♡してくれる皆に心からの感謝を☆
    今日中(寝るまでは今日だよ)には多分いけると思うのでダイスはもう少しお待ち下さい……!!!
    次こそかっ飛ばせよ六本目!!!!!(素振り)

  • 103二次元好きの匿名さん26/08/22(土) 21:31:33

    尊い…会話が尊い…!

  • 104二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 01:27:05

    日下部だけでなく日車からもかなり矢印向いてて楽しい〜!
    高専メンツと仲よさげなのも好き…スレ主毎回ありがとう

  • 1051◆t5cbBAr95b.r26/08/23(日) 03:59:51

     
    ***

    日本の果てまでイってキュン♡ ~国内でイチバン盛りアガル⤴キメせく総集編~

    (タイトルで何となく察しちゃあいたが……)

    再生からまもなく画面に現れた見覚えのあるスタジオとテロップに、日下部は叫んだ。

    「モロ番組パロじゃねぇか……!」
    「番組パロ?」
    「あー、お前さんは知らねぇか。地上波でやってんだよ、こういう番組が」
    「……深夜枠でも少々問題があるのでは」
    「安心しろ。ゴールデンで流せる健全な内容だよ、元ネタの方はな。しっかし映画パロが色々あんのは知ってたが、AV業界はこんなもんまでパロってんのかよ」
    「君は映画パロディものが好きなのか」
    「違ぇわ! 知ってるイコール好みってわけじゃないでしょうが」
    「そういうことにしておこう。……日本各地のお祭り競技に参加して負けたら罰ゲーム? これは元の番組にもあるのか」
    「本家は世界規模でやってたな。罰ゲームは……どうだったっけか」
    「蕗キャッチ」
    「へ~……っつーか普通にガチで参加してんのか。受付からかよ」
    「虎杖と禪院なら優勝確実だな」
    「場外アウトか蕗が砕けて終わりじゃね?」

  • 1061◆t5cbBAr95b.r26/08/23(日) 04:02:00

    ***

    「なかなか良い飛距離だと思ったが、表彰台には届かなかったか」
    「五位入賞なら上々だろ。っつーかフキ汁美味そうだな……って、お? おお? 何だどうした、何で急に脱ぎだした?!」
    「そういうビデオだからでは?」
    「…………完っ全に失念してたわ。そーいや俺らAV見てたんだったっけ…………」
    「これが罰ゲームということなら、優勝していた場合はどうしたのだろう」
    「流石にそのへんは大丈夫だろ。本気で勝ちに行くAV女優がいるかよ」

    ***

    「………………優勝、しやがった…………」
    「では罰ゲームはなしか。……ん?」
    「お祝いと称して飲ませたな。どっちみちヤんのかよ……いやAVだからそれでいいんだけどさ」
    「いいわけがないだろう。口約束でも債務不履行は成立する。これは完全に信義則違反だ」
    「フィクションフィクション」

    ***

    「…………なあ、これ何個目の祭りだっけ」
    「七つ目だな」
    「俺ちょっと便所行きたいんですけど」
    「ああ、なら一時停止をしておこうか」
    「それやって、早送りした時みたいに無効になる可能性は?」
    「……何とも言えないが、最悪の事態になるよりはマシだろう」
    「それはそうなんだが……あ゛~~、流石にもう終わるんじゃねぇかと思うと……」
    「……………………」
    「待て待て、無言でペットボトルを差し出すな。流石にここに出すとか……って、しかもまだ中身残ってんじゃねぇか! せめて空にしてから寄こせよ!」
    「普段炭酸飲料に縁のないアラフォー相手に随分と酷なことを言う」
    「お前の方がよっぽど酷だろうが」

  • 1071◆t5cbBAr95b.r26/08/23(日) 04:11:11

     

    ***


    「お、終わった…………!!! 四時間とかマジで頭おかしいだろ製作者!!! しかもほぼお祭りドキュメンタリー!!!!!」

    「取り出す前に行っておくか?」

    「あー、いやいーよ。そこまで切羽詰まってねぇし、間ぁ置いて結局やり直しなんざ御免だ」

    「それならいいが……ところで日下部」

    「おうよ」

    「今回の核は、何だと思う」


    ソファから立ち上がりプレイヤーの前に立った日車が、振り返って問う。

    日下部は少し下唇を突き出し、無駄に大作だった作品を振り返った。映像内で取り上げられていた祭りは、全部で八つ。

    場所も内容も様々だが、どれも最終的には薬を使ったお楽しみプレイへ、という流れだ。


    「……テーマ的に一貫してんのは薬だし、そっちじゃねぇのか」

    「では第一目標は薬、ないしその製造元の破壊だな」

    「祭りのシンボルだったらめんどくせぇな~~~」

    「そちらの可能性も考えて行動しよう。では、いくぞ」

    「はいはい、どーぞ」


    カチリ。




    ***


    呪いのAV六本目 dice1d100=37 (37) + dice1d50=12 (12)


    日下部     dice1d100=96 (96)

    日車      dice1d100=52 (52)

  • 1081◆t5cbBAr95b.r26/08/23(日) 04:15:46

    😇😇😇

  • 109二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 09:23:10

    ええ…

  • 110二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 09:28:13

    おっさんズつおい
    ぽっと出のえーぶい呪霊が勝てる相手じゃなかったんや
    (この覚醒間もないのに90台叩き出し続ける元弁護士は……?)

  • 111二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 09:39:12

    AVくんもっと頑張れや案件でもあるけど1級2人も毎回お強いんだよね
    今回はアツヤがヒロミにいいトコ見せたくて頑張ったんだな…って萌えに変換するぜ

  • 112二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 10:13:58

    あと4本が…四天王がいるからな…!!
    それまで無傷!!最強!!!
    だった2人が突然のヤバヤバ呪ビデオくんにあへあへにヤラれてしまうのも秒読みかもしれない…!!!

    それはそれとして二人は最強!!呪ビデオなんて全て完全粉砕するのが紳士の嗜み!!なところも狂おしいほどすこすこなのでどんな結果でも美味しいです

  • 113二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 10:54:49

    おしがましてるのは鍵か…?これからの展開に影響したらいいなぁ

  • 1141◆t5cbBAr95b.r26/08/23(日) 12:42:57

    コメ・♡ありがとうダイス神にゲラゲラゲラされてぺっしょぺしょな不甲斐ないスレ主だよ☆
    ダイス値でもしんおま&才能の原石な二人に加えてここまでくると呪AV君篤寛ハッピー強火担疑惑……おまえは呪いだよ役割を果たせ
    おしがまは日車単独敗北に向けたスレ主の素振りでした☆ 全力で空振りして今泣いてるよ!!!!!
    あと玩具と風呂と……まだ探し中だけど何か2つ、そうだ! 四天王だ!! ということで奴らに後を任せたいと思います
    こんなスレに付き合ってくれてる皆にマジで心からの感謝を!!!!! ありがとう☆☆☆

  • 115二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 13:37:49

    四天王あと残り二人誰だろうな

    日活ロマンポ○ノみたいな人妻もの?
    昼下がりの熟れた団地妻でも退廃的な雰囲気で若者を誘惑する魔性の人妻でも貞操観念高そうな未亡人でも何でも似合うね

    人間牧場で搾乳もの?
    ミルクを出すには🌱付けして妊娠出産を経る必要があるからね
    それに性的刺激でミルクが噴き出しちゃうのは実際にあるみたいだよ
    (農家さんが牛のお尻の汚れを拭いてたら気持ちいい場所まで刺激しちゃって、牛さんがミルクぶしゃぁしちゃうし次から期待した目で見られるようになっちゃったってエピがある)

    エッなマンガでよくある「オラッ催眠!」系?
    常識改変、性格改変、意識そのまま身体だけ思い通り、どんなパターンも美味しいね
    解除してから催眠中の自分の行い自覚させるターンがあっても美味しい

    完全本人の素人もの?
    本人が自分の意志でAV受け手側に堕ちちゃったなんて尊厳破壊増し増しだね
    まずは自己紹介から始めよっか、ちゃんと最中には名前たくさん呼んであげるからね
    日下部はアツヤで呼び捨てかくん付けさん付け迷うけど、日車はひろみちゃんだなちゃん付け似合いすぎる

  • 116二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 15:11:07

    あとは...触手とか、壁Siriとか?

  • 117二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 21:54:11

    懲りずにこの後もビデオ見る時おしがまして欲しいな…どこかでホームランが出たら最&高

  • 118二次元好きの匿名さん26/08/23(日) 23:32:52

    もしも催眠モノだったら催眠モノはダイス値強そう(偏見)

  • 1191◆t5cbBAr95b.r26/08/24(月) 01:07:47

    コメ・♡ありがとう☆
    今日は所用で何にも書けなかったので続きはまた明日以降投稿するよ☆
    そして叡智の猛者方四天王考察ありがとう! 修行の身なので勉強になります……伝説のETDスレとできるだけ被らないようにと思って悩んでたんだけど、おかげで十本目までいけそうだよ☆
    後はダイスの出目次第!!!!!

  • 120二次元好きの匿名さん26/08/24(月) 07:51:33

    >>105

    ダイスは残念だったけど仲良し篤寛のやりとりかわいい…!!

    続き楽しみにしてるよスレ主〜

    あと今回のAVタイトル過去一好きです♡

  • 121二次元好きの匿名さん26/08/24(月) 07:57:12

    >>105

    AVだし任務中で二人とも真面目なんだけど、同じ番組に色んなツッコミ入れながら見てるのお家デートみたいな雰囲気でいいな

  • 122二次元好きの匿名さん26/08/24(月) 16:12:46

    わくわく保守

  • 123二次元好きの匿名さん26/08/24(月) 20:42:34

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん26/08/25(火) 01:04:54

    一応保守

  • 1251◆t5cbBAr95b.r26/08/25(火) 02:10:25

     
    ***

    首筋に痛み。
    次いで聴覚が捉えた機械音声に、日下部の意識は覚醒した。

    『続イテ二本目ノ注入ヲ開始シマス。ワッショーイ♡』
    「――っざっけんな!!」

    うつ伏せ状態から寝返りを打ち、迫ってきていた金属アームへと回転の勢いそのまま蹴りを叩きこむ。
    床からホースのように伸びていたアームの前方が砕け、先端のシリンジと注射針が諸共落ちる。
    無機質な床に金属と硝子片、明らかに怪しい緑色の液体が飛び散った。
    間を置かず転がって、距離を開けつつ跳ね起きる。そこは全面真っ白の、無機質なドームだ。
    日下部の視線の先、晒された断面部分からコードを垂らした状態で停止したアームが一本――そしてその隣で、無傷のアームが一本、こちらを窺うように揺れている。先端のシリンジは空だった。

    「クソが」

    妙な熱を孕む首筋に手をやれば、耳裏の下に小さな凹凸。静脈に何かを打たれたらしい。
    体の異変は首の熱のみ。ならば動けるうちにと腰を落とした日下部は、次いで目を見開いた。
    眼前で揺れるアームの、その向こう。
    うつ伏せに倒れる見知った姿と、その頭上に蠢く三本のアーム。

    「――日車!」

    愛刀の柄へと伸ばした指先が空を掴むのに舌打ちひとつ、日下部は直近のアームを引き千切って駆けていた。
    足は止めぬまま、手中の残骸へと呪力を込め全力で投げつける。
    それは日車の首へと迫っていたアームを的確に捉え、吹き飛ばした。
    火花を散らした一本が力なく項垂れるのに、残りの二本が一斉に投擲方向へと鎌首を擡げる――その時には既に、日下部は間合いに入っていた。
    左右の手で掴み上げた二本を引き寄せ、胸の前で纏め上げる。
    そのまま一本背負いの要領で負荷をかければ、ミシリと悲鳴を上げた次の瞬間、アームは根本付近で分断されて瓦解した。

  • 1261◆t5cbBAr95b.r26/08/25(火) 02:12:06

    「日車! おい、日車!!」

    傍らに膝をつき確認した首筋には、膨らみが二つ。
    悪態をつきながら肩を揺さぶると、小さく呻き声が返る。

    「……日下部……?」
    「薬を打たれた。二本だ。何か異変は」

    ぼんやりと日下部を見返した日車の目が、薬という単語で焦点を結んだ。

    「っ! 君の方は、」
    「こっちは一本だけだし今のところ何ともねぇよ。俺じゃなくてお前自身の心配をしろ」
    「俺は……大、丈夫だ。ありがとう」
    「礼は良いから正直に話せ。どんな小さな違和感でもだ」
    「…………首筋に、熱。身体的異常として認識できるのは今のところそれだけだ。後は、少し……」
    「少し?」
    「…………不安感? の、ようなものが。強い気がする」

    手を貸して立ち上がらせた日車のその大きな三白眼が、言葉を裏付けるように揺れ動く。
    手を離した日下部のトレンチコートの袖を控えめに引き、日車はなおも続けた。

  • 1271◆t5cbBAr95b.r26/08/25(火) 02:13:39

     
    「君は本当に、平気なのか」
    「……二本打たれてるせいでお前の方が効きが強いのかもな。それか打たれた薬がそもそも違うか」

    日下部は少し離れた場所に飛散した液体を見やる。
    床にピンクの染みを作っているそれは、あと一歩で日車に注入されていたものだ。
    他二本に付属していたシリンジは空で、どんな液体が入っていたのかはわからないが。

    「……最悪は何とか阻止できた、と思いてぇな……」

    ひとりごちた、その時だった。
    真っ白な空間に、色が溢れる。
    天井から降り注ぐ七色のライト。そしてゴウン、と唸る巨大な駆動音。

    「っ!」
    「日車!」

    突然せり上がった足元に、日車の体が傾ぐ。
    その腕を咄嗟に掴んで引き寄せた日下部の前で、地響きを立てながら別の場所も次々と形を変えていった。
    そうして床が、壁が変形し、最後にドームの天井中央がパカリと開けば、日下部たちのいる場所を起点に屋根まで続く螺旋階段の完成だ。いや、大きさを思えばループ線と言った方が適当か。
    そして――

    『コレヨリ祭リヲ開催シマス。皆サン一斉に――』

    ――ワッショーーーーイ♡

    ふざけた機械音声と共に、ドン、と和太鼓の音が遥か頭上より木霊した。

  • 128二次元好きの匿名さん26/08/25(火) 08:30:44

    格好いいぞアツヤ

  • 129二次元好きの匿名さん26/08/25(火) 13:39:48

    わくわく保守

  • 130二次元好きの匿名さん26/08/25(火) 20:53:33

    どんな注射なんだろうか…楽しみすぎる

  • 1311◆t5cbBAr95b.r26/08/25(火) 23:57:14

     
    「あっちの思惑通りに動くのは癪だが……行くしかねぇか」

    和太鼓とお囃子、色とりどりのスポットライトが降り注ぐ中、日下部は呟いて腕の中の日車を見た。
    不安げな眼差しで見上げながらも頷いた日車を促すよう背を叩き、共にスロープへと一歩を踏み出す。
    瞬間、何かをくぐった感覚があった。

    「結界か――って、うお!」
    「っ! 日下部、これは……!」

    螺旋を描く一本のあぜ道を残し、一面が蕗畑に変わっている。
    長身の二人よりもなお背丈のある蕗に、先程までとは打って変わって目を輝かせた日車が、弾んだ声を上げた。

    「コロポックルになった気分だ……!」
    「何を暢気な……あっ、おい待て日車! 不用意に近付くな!」

    日下部が日車の襟首を引っ張って静止させたと同時、ヒュン、と風切り音。
    続いた鈍い音に足元を確認すれば、蕗の近く、日車が今まさに踏み入ろうとしていた場所に、緑色の矢が深々と突き刺さっていた。

    「あっぶな……!」
    「蕗キャッチ?」
    「生身で受けるつもりか?! キャッチしたら死ぬからなこれは!! あ゛ーーー!!! やべぇ何かいっぱい出てきた!! 走れ日車!!!」

    蕗畑からニョキニョキと姿を見せた緑色の金属アームが、その先端から次々と矢を射出する。
    降り注ぐ矢の雨を時に避け、時に手刀で捌く日下部に対し、日車は棒状に伸ばしたガベルを回転させて弾き飛ばす。

    「くっそ、刀がありゃもうちょい楽だっつーのに!」
    「日下部、それなら俺にいい考えがある」
    「ああ?」

  • 1321◆t5cbBAr95b.r26/08/26(水) 00:12:38

    走りながら思わず毒づいた日下部に、日車がガベルの形態を棒から鞭へと変化させた。
    撓るガベルは脇に聳える蕗の一本に絡んだかと思うと、そのまま引っこ抜いて戻ってくる。

    「これを代わりに使うといい」
    「蕗が刀の代わりになるかざけんな!!!!!」
    「!!!」

    差し出された根っこと葉っぱつきの蕗に青筋を浮かべて咆哮した日下部だったが、日車の顔を見た瞬間、怒りは困惑と焦りに変わった。
    見開かれた三白眼に、ショックの色がありありと浮かんでいる。
    足を止めて凍り付いてしまった日車。日下部は的確に二人の体を矢から守りつつ、その様子に動揺を隠せない。

    「え? あ?? は??? 待てお前急に足止めんな。っつーか……何だよ、その顔……」
    「…………すまない…………」
    「待、て待て。待て待て待て待て!!」
    「ふざけたつもりでは、なかったんだ。ほんとうに、くさかべの助けになればと……ごめんなさい」
    「~~~間違えた!! さっきのは違う!!! いい!!! 謝んな!!!! すげぇ助かるありがとな!!!!」

    瞳を潤ませた日車の、妙に拙い謝罪の言葉。
    日下部は気付いた時には日車の手から蕗を奪い取り、精一杯表情筋を動かして満面の笑みを浮かべていた。極まった混乱の賜物である。

    「……気をつかわせてしまって、ごめんなさい」
    「お前にそういう顔させる方が嫌なんだよ! ほらとにかく走れ!!」

    日下部は蕗の根と葉を手刀で落とすと、呪力を込めて強化した。降り注ぐ矢をそれで薙ぎ払ってみせれば、並走する日車の沈んだ顔がパッと明るさを取り戻す。

    ――不安感が強まっている気がする。日車自身はそう言っていたが、これは。

    「単純な不安増幅じゃなくて、感情全般バグってんじゃん…………っっ!!!」

    蕗畑に囲まれたあぜ道に、日下部の悲痛な叫びが響いた。

  • 1331◆t5cbBAr95b.r26/08/26(水) 00:18:23

     
    ***

    蕗畑と緑の矢の嵐は、不意に途絶えた。
    幾らか駆け抜けた先で例の違和感――結界の境界をくぐった感触があり、次の瞬間そこは田園に変わっていた。
    ぬかるんだ土に足を取られ、二人揃って激しくつんのめる。

    「っ!」
    「う、っわ危ねぇ!」

    体幹で堪えて転ぶことだけは避けるが、スラックスの裾まで泥まみれだ。

    「最悪だ……っつーかもしかしてここでも……」

    日下部の予感は的中した。螺旋を描く田園風景のそこかしこから、にょきにょきと金色のアームが生えてくる。
    その先端からポン、と軽い射出音と共にこぶし大の米俵が発射された。

    「も~~~めんどくせぇ~~~!!!!」

    蕗を構えて叩き斬る。
    瞬間、ボン、と激しい音を立て、小さな米俵が爆発した。

    「…………は?」

    黒煙と共に散った火の粉が、日下部と蕗に降りかかる。頬を引き攣らせた日下部の耳朶に、ポン、ポン、と追撃の音が響いた。

    「――ひぐる」

    燃える蕗を投げ捨て日車へと手を伸ばす。
    日車はその時、両腕を振り上げていた。手に、巨大化させたガベルを持って。

  • 1341◆t5cbBAr95b.r26/08/26(水) 00:38:44

     
    「おい、何やって」

    ビタビタビタ、と水気の多い衝撃音。
    そして全身を襲った冷たい泥飛沫。
    容赦なく叩きつけられたガベルを中心に噴き上がった泥水の壁は、小さな米俵の襲撃を全てそのぬかるみに捕らえて無効化した。
    だが、だがしかし。

    「…………日車先生、俺頭から泥被ったんですけど」
    「フ、フフフ」

    容赦なく顔にへばりついた泥を指先で拭う。

    「口の中にもちょっと入っちゃったじゃん……お前は何でそんな楽しそうなんだよ」
    「子供の頃、泥遊びをしたことがなかったんだ」
    「……だからって今やるなよ……」
    「一度誘われたことはあったんだ。でも、衣服を汚して親に迷惑をかけるのが忍びなくて、直ぐに返事を返せなかった。そうしたら、"日車君は俺たちとは違うからやらないよ”と他の子が言って。それきり誘われることもなかった」

    そこまで言うと、日車は日下部を真っ直ぐに見て笑った。

    「一度、友達と思いきりやってみたかったんだ。だから楽しい。ハハッ」

    いつもの控えめな微笑でも、悪徳弁護士を気取ったニヒルなものでもない。
    屈託なく口を開けて笑う日車に、日下部はそんな場合でもないというのに呆けてしまった。

    「お前……何で時々そう可愛くなっちゃうかな……」
    「――は?」
    「いやだから、前から思ってたけどお前普段隙ひとつない堅物、って感じなのに時々妙に言動が可愛くなるの何で……あ?」
    「俺が……可愛い?」

  • 1351◆t5cbBAr95b.r26/08/26(水) 00:48:22

     
    眉を顰めた日車に、日下部はサッと血の気が引いた。
    言ったつもりのない言葉が滑り出ている。

    「――もしかしてあの薬のせいか? 自白剤みたいな効果が……いやそれにしたっておかしいだろ、虎杖とかならまだしも同年代のオッサン相手に可愛いって何だよ。っつーか”俺たちとは違うから”とかアホなガキもいたもんだな、俺なら絶対一緒に遊んで寂しい思いなんかさせなかったし、何も知らねぇガキのコイツが初めてを経験して目ぇ輝かせんのは今以上に可愛い……あ゛ーーーーーーっっっ!!!!!」
    「子供扱いしないでほしい。俺はどちらかというと君には格好良いと――」

    ポンポンポン、と射出音。
    言葉途中で音の方向へと目を向けた日車に対し、日下部は呪力を足に込めてぬかるみから引き抜く。そのまま再びガベルを構える日車の膝裏と腰に腕を回し、ひょいと肩の上へ担ぎ上げ走り出した。
    舌打ちが漏れたのは、「かっる」とまた胸中で呟いたはずの言葉が声を伴ったせいだ。

    「日下部! 子供扱いはやめてくれと……!」
    「子供扱いじゃなくて役割分担! 俺は走る、お前はガベルでアレ撃ち落とす。任せたぞ!!」
    「! わかった、任された」
    「そこで素直に喜ぶなよかわっっんぐぅ!」

    聞き分けのない舌を奥歯を噛み締め封じた日下部の呟きは、幸い嬉々としてガベルガトリングを繰り出し始めた日車の耳には入り損ねたらしい。
    軽快な射出音と豪快な爆破音が長閑な田園に木霊する。
    ぬっぼぬっぼとまぬけな音を立てる泥の入った靴は不快だったが、チラと仰ぎ見た日車の泥だらけで笑う顔は悪くなかった。
    こんな姿はきっと自分しか見たことがないのだろうと思えば、尚更に。

  • 1361◆t5cbBAr95b.r26/08/26(水) 01:15:13

    今日はここまで☆
    途中NGワード判定食らって右往左往してたよ☆(オノマトペの一部だった。わかんねぇよ!!!)
    蕗は調べてたらガチで二・三メートル物があるらしく篤寛に相合傘してほしくなっちゃった。きっとかわいい……!
    そして毎回悩みながら書いてるのでかわいいとか格好良いとかお家デートっぽいとかワクワク保守とか、楽しんでもらえてるのわかるとめちゃ嬉しいです!!!
    コメ&♡してくれる皆に感謝を☆

スレッドは8/26 11:15頃に落ちます

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