『みいちゃんと山田さん』アニメ化に知的障害者支援組織が偏見助長を懸念 作者らの言動を問題視「未成年者が気軽に視聴できる環境は望みません」
『みいちゃんと山田さん』作者や講談社編集者の過去の言動を問題視
意見書では、アニメ化をめぐって懸念を抱く理由として、作者・亜月ねねさんと、版元である講談社の編集者による過去の言動を挙げている。 同会が確認したものとして、吃音のある人物がその特性から社会生活上の困難を抱える状況を扱った作品、認知機能/知的機能が低下した状態を「みいちゃん化」と表現した事例、作者が以前使用していた「ダイアナ」名義で特殊学級(特別支援学級)をネガティブに捉えた作品などを列挙。 また、『みいちゃんと山田さん』の出版社である講談社の編集部員が、過去に公開された動画の中で、人の不幸をエンターテインメントとして楽しむことに肯定的とも取れる発言をしていたとも指摘している。 その上で同会は、これらの言動について、知的障害が強く想起される「みいちゃん」や障害者の人格/個性を尊重しているとは言い難く、「面白おかしく」扱った上でエンターテインメント化している、あるいはそれを容認しているのではないかとの懸念を表明した。
「一律に映像化を反対する立場は取らない」
また、全国手をつなぐ育成会連合会は、アニメ化をめぐるレーティングについても意見を表明。 アニメ『みいちゃんと山田さん』製作委員会は7月27日に発表した声明で「適切なレーティングや注意喚起を記載する」としている。 これについて全国手をつなぐ育成会連合会は、レーティングは一般的には視聴推奨年齢を設定する仕組みであると説明。 さらに「少なくとも地上波放送ではないこと考えられますが、本会としては未成年者が気軽に視聴できる環境は望みません」として、“適切なレーティング”を希望している。 今回の意見書で重要なのは、全国手をつなぐ育成会連合会が『みいちゃんと山田さん』のアニメ化そのものを否定しているわけではないことだ。 同会は表現の自由が憲法によって保障された権利であることを踏まえ、 「本会として一律に映像化を反対する立場は取りません」 と明記している。 その上で、知的障害のある人々の権利擁護を担う立場から、作品や作者・出版社をめぐる言動、そして「みいちゃん」という呼称が現実社会で蔑称として使用されている状況に懸念を示し、製作委員会に慎重な対応を求めている。 『みいちゃんと山田さん』は、社会や福祉制度からこぼれ落ち、孤独や貧困、搾取の中で生きる女性を描いた作品として支持される一方、その描き方が知的障害や発達障害のある人々への偏見や差別感情を強めるのではないかという批判も受けてきた。 アニメ化発表を契機として、議論は『みいちゃんと山田さん』という作品の表現だけでなく、障害を持つ人物をフィクションはどう描くべきか、その表現が現実社会でいかに受容/消費されるのかという問題へと広がっている。
米村 智水