意見交換を前にあいさつする新田知事=富山市のサンシップとやま

 富山県教委は11日、県立高の再編に関する意見交換会を富山、高岡両市で開いた。2038年度に呉羽高の敷地で開設予定の大規模校について「1学年480人の定員は多すぎる」との慎重論や、30年度末に富山西、大門、伏木各高を閉校することへの理由を問う指摘が噴出。県教委側は「複数要素で判断した」との返答に終始し、出席者の納得を得るには至らず、懸念が完全に払しょくされないまま議論を終えた格好となった。

  ●最寄り駅の混雑拍車

 県教委は7月、38年度ごろに県立高を現行34校から20校程度とする再構築ガイドライン案と、29年度ごろの第1期校の設置方針案を取りまとめた。

 「大規模の度合いが問題だ。480人も要らない」。富山市のサンシップとやまで開かれた意見交換会で、出席者の男性が38年度の中学卒業予定者を今年度より2千人以上少ないと見込む県推計に触れ、定員をもっと絞ってはどうかと提案した。呉羽高の最寄り駅は既に生徒で混雑しており、生徒数の増加で混雑に拍車が掛かるとの指摘や、線路への転落を防ぐホームドアの設置が不可欠との指摘もあった。

 廣島伸一教育長は大規模校設置について「生徒に多様な選択肢を提供するためだ」と理解を求めた。新田八朗知事は生徒が多彩な科目や部活動に挑戦できる環境、ベテラン教員のスキルを中堅・若手に受け継ぐ体制が整うと利点を強調した。

  ●複数キャンパス制度導入を提案

 高岡文化ホールでの意見交換では、閉校対象となった大門高のPTA会長が「(新校が)富山市に偏っているようにしか見えない」と疑問視。同校のように周りに拡張の余地がある場所を大規模校の候補にするべきだと提案した。

 情報コースの専門的な学びや県立大との連携など大門高の特色ある教育をどう扱うかをただす声には、廣島氏は未来探究校に引き継ぐと説明。伏木高は伏木港へのクルーズ船寄港などでグローバル教育を地域で実践する強みがあるとの指摘もあった。

 富山会場では、富山西高の高原譲同窓会長が「県の判断により振り回される在校生はがっかりしている」とケアの必要性を挙げた。24年に創立100周年を新田、廣島両氏と祝った矢郷博昭前会長は学校の存続に向け、複数キャンパスを一体的に運営する「キャンパス制」の導入を提案。廣島教育長は「施設を有効利用できる点も含め、この十数年で考えるものと位置付けたい」と応じた。

 伏木高の生徒は終了後の取材に「自分の高校がなくなるのはすごく悲しい。高校が減ることはあまり良く思わないが、1校に集まる生徒が多くなる。少人数にメリットを感じる生徒もいる」と胸の内を明かした。

  ●知事「良い機会に」

 意見交換会に出席した新田知事は「現役の教員や中高生らもおり、本当に熱意のある人々が会場に集まってくれた」と語り、「率直な意見や厳しい意見もあったが、直接意見を聞けたことはとても良い機会になった」と振り返った。

 2021年から将来の県立高校の在り方について議論を重ね、全体のガイドラインと29年をめどとする第1期の方針案が示されたことに「どちらも案だが発表するところまで来た」と感慨を込めた。

 23日に砺波・南砺地区と新川会場でも意見交換会が開かれるほか、9月議会でも議論になるとし、「多くの意見をもとに、今のガイドラインと方針案を前に進めるために磨き上げていきたい」と話した。

無断転載・複製を禁じます