法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『SAMURAI SPIRITS 2 〜アスラ斬魔伝〜』

 和風格闘ゲームを原作にした1999年のOVA。亜細亜堂が全2巻で制作。原作ヒロインのナコルルの二次創作で人気絶頂だった七瀬葵をキャラクターデザインに逆起用したことで話題だった。

 話題にひかれてゲーム内容を知らないままリアルタイムでVHSビデオを購入して視聴したが、あまり内容が理解できなかった。よく見るとナンバリングタイトルが振られているように、原作ゲームのシリーズ設定を前提とした中途エピソード。
 インターネット等で周辺情報を簡単に確認できる時代になってようやくストーリーが簡単に理解できたのだが……もっとも、ざっと検索した範囲では、ナコルルと謎の女性「色」の因縁は原作ゲームではそんなに深くないらしい。


 一応、第1巻の段階でも敵のあやつる色が、覇王丸という男を敵の思惑でつけねらった過去があり、いったんナコルルが色を救ったが再び敵が手先を送ってきた……という状況らしいことは中盤の回想などで見当がつく。しかしながらドラマを味わうというよりもキャラクターが対立する理由を何とか理解したという程度。
 また当時は魅力的だった七瀬葵の、ファンとして魅力を抽出したキャラクターデザインも、亜細亜堂らしい実直な作画で映像化されたことで良くも悪くも繊細さが薄れている。ナコルルのかわいらしさ、色の色っぽさはそれなりに味わえるものの、パッケージイラストになっていない覇王丸こそが実質的な主人公だ。第1巻の鎖にしばられるナコルルに、いわゆる「リョナ」の魅力を感じないではなかったものの……
 そして第2巻の終盤で敵の手先と思われた男が敵の束縛を逃れた存在で、だからこそ敵の手先になりかねない色を倒そうとしていたと判明*1。そして敵をも助けようとしたナコルルを敵の敵だから倒そうとして、そんな敵の敵を再び敵の手下にしようとした色がナコルルを結果的に助けるという異常にこみいった構図で戦いはいったんの決着がつく。


 正直にいえばカタルシスある物語ではないし、起承転結がはっきりしない途中のエピソードを抜き出しただけだ。いかにも格闘ゲームで同一キャラクター同士で戦うための紫ナコルルも、物語における設定もよくわからない。ナコルルだけが幻視する別人格化と思えば妹リムルルと会話したりする。
 しかし格闘ゲームによりアニメの格闘描写が進歩した時代らしく、ところどころ良い戦闘シーンがある。特に、色ののびやかなアクション作画は出色で、比較的に長回しで複雑な殺陣を披露する。
 またストーリー以外で意外と問題なのが声優。ゲームの短い掛け声などなら問題なくても、アニメの長い台詞のかけあいは不得意な感じが全体的にただよっている。短い掛け声で印象づけるには個性的な声が有効だが、それで長い会話をすると声の癖が強すぎるという問題が感じられた。

*1:しかしそうなると第1巻冒頭の戦闘の意味はいったい……