北朝鮮「天才学生」7人を逮捕…国家の遮断突破しネットに違法接続
北朝鮮を代表する理工系大学、金策工業総合大学の学生7人が、当局によるインターネット遮断を突破し、韓国の映像コンテンツを視聴、拡散したとして逮捕されたことが分かった。デイリーNKの平壌市の消息筋が12日までに伝えた。
同大は北朝鮮の科学技術・IT分野を担う最高峰の教育機関の一つ。逮捕された学生らも大学内の研究所に所属するほど能力を認められた「天才揃い」だったという。国家が育成した高度IT人材が、その技術を情報統制の突破に利用した格好だ。
消息筋によると、学生らは北朝鮮当局の通信遮断システムを迂回する新たな技術を開発、利用。平壌市内の外交団地区や外国大使館周辺から発せられる無線通信を捉え、外部インターネットに接続していたという。
そこで韓国の映像コンテンツをダウンロードし、USBメモリーやSDカードなどに保存。自分たちで視聴するだけでなく、周囲にも流していたとされる。
しかし、学生らの通信は当局に捕捉された。
消息筋によれば、北朝鮮の国家情報局は最新の監視装備を導入し、平壌市内で発生する異常な通信信号をリアルタイムで監視していた。大学周辺で不審な通信量が継続的に発生していることを把握すると、数カ月にわたって発信地点の追跡や張り込みを続けたという。
そして7月末、学生7人が一カ所に集まり韓国映像を視聴していたところを急襲。全員を逮捕するとともに、使用していた機器や映像ファイルを押収したとされる。
消息筋は、将来を嘱望されていた金策工大のエリートたちが一夜にして「反動分子」として連行されたとの情報が広まり、同大だけでなく平壌市内の大学関係者にも大きな衝撃が走っていると伝えた。
デイリーNKの消息筋によれば、今回逮捕された学生には「体制転覆を企てた」とする極めて重い容疑が適用されるとの観測も出ている。迂回技術の開発を主導した学生については政治犯収容所送りとなり、関与の程度が低い学生についても退学処分を受け、地方の鉱山や農場などへ送られるとの話が出ているという。
(参考記事:「一家が跡形もなく消えた」北朝鮮”赤い貴族”の許されざる罪)
北朝鮮は科学技術、とりわけAIやIT分野の発展を国家戦略として掲げ、若い技術者の育成に力を入れている。その一方で、高度な技術を身につけた若者ほど、国家による情報遮断を突破する能力も持ち得るという矛盾を抱える。
金策工大で起きたとされる今回の事件は、「技術立国」を目指す北朝鮮にとって、優秀な人材を育てれば育てるほど完全な情報統制が難しくなるという、皮肉な現実を浮き彫りにしたとも言えそうだ。