論文盗作疑惑のケンブリッジ大学元教授が死去 研究不正の調査中に
【ロンドン=下田恵太】論文の盗作疑惑を受けて英ケンブリッジ大の教授を辞任したジェイソン・アーデイ氏が14日、ロンドン南部の自宅で亡くなった。41歳だった。事件性はないとみられる。ケンブリッジ大が研究不正などを調査している最中だった。
複数の英メディアが報じた。ロンドン警視庁の警官が通報を受けて意識不明の状態で発見し、現場で死亡を確認した。警視庁は声明の中で「現時点では彼の死は予期せぬものとして扱われているが、不審な点はないとみられている」と述べた。
アーデイ氏は教育課程での人種差別の影響などを研究し、2023年にケンブリッジ大史上最年少の黒人教授に就任した経歴を持つ。博士論文での盗作疑惑を指摘され、5日に教授職を辞任した。辞任した際の声明では研究活動を続ける意向を示していた。
英BBCによると、ケンブリッジ大学のデボラ・プレンティス副学長は「この非常に辛い時期に、ジェイソン・アーデイのご家族とご友人に心からお悔やみ申し上げる」と述べた。英パウエル教育相はX(旧ツイッター)に「とてもショックを受け、悲しんでいる」と投稿した。
ケンブリッジ大は盗用疑惑が浮上した当初はアーデイ氏を擁護する姿勢を示していたが、疑惑が再燃したことを受け、8月から研究不正や経歴への疑義に対する調査を始めている。
アーデイ氏は英紙タイムズの取材に、一部の誤りを認め、自閉症の影響があったと説明する一方、意図的な盗作や経歴詐称は否定した。自身に対する一連の批判には人種差別や障害者差別の動機があると反論していた。
盗作を指摘した哲学者のネイサン・コフナス氏は、人種問題に関する見解が批判を集め、24年にケンブリッジ大エマニュエル・カレッジでの研究員としての活動を終了している。