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デジタル庁GCASガイド

5. 公共SaaSの共通要件に対する技術確認

2025/09/30 公開

5.1 技術確認の目的と基本的な考え方

公共SaaSの技術確認は、SaaS事業者が提供するサービスが公共SaaSの共通要件を満たしているかをデジタル庁が確認するプロセスである。以下にその目的と基本的な考え方を示す。

  • 公共SaaSの運営主体にデジタル庁が寄り添い、一定の技術水準とセキュリティレベルを担保することを目的とする
  • 本分野は技術の進化スピードが著しく速いことから、過度な詳細化や画一的なルール化を避け、柔軟な運用を前提とする
  • 開発者の自主性、事業者のビジネス判断を尊重し、ウォークスルー(技術者同士によるレビュー)による確認を基本とする
  • セキュリティについては、自動化ツールの利用を前提とし、合理的な範囲で継続的、反復的な確認を基本とする

5.2 公共SaaSの技術確認の手順

技術確認はサービスのライフサイクルに応じた複数のフェーズで実施する。各フェーズの確認は原則としてガバメントクラウド利用申請と並行して行い、前フェーズからの差分がなければ省略可能なものもある。

  • 公共SaaSの計画時確認(国が提供する場合は予算要求時)
    • ガバメントクラウド利用申請と並行して実施
    • 公共SaaSの共通要件が満たされているかを見積書や提案書、計画書等の文書に基づき評価を行う
  • 公共SaaSの技術確認①(環境払出し前)
    • ガバメントクラウド利用申請と並行して実施
    • 計画時確認との差分のみ設計書等に基づき評価を行う。差分がなければ省略可能
  • 公共SaaSの技術確認②(SaaSサービスの開始前)
    • 公共SaaSの共通要件が満たされているかを実環境で確認を行う
  • 公共SaaSの追加技術確認(サービス開始後のサービス追加・変更前)
    • ガバメントクラウド利用申請と並行して実施
    • 公共SaaSの共通要件が満たされているかを実環境で確認を行う

5.3 公共SaaS共通要件の確認

各確認フェーズにおける確認対象・確認方式を要件区分ごとに以下の表に示す。確認組織は要件の性質に応じて制度官庁等またはガバメントクラウドチームが担当し、フェーズごとに求める確認対象の粒度が異なる。

表5-1 「基本要件」の確認項目と確認方式
基本要件確認組織計画時確認環境払い出し前確認SaaSサービス開始前確認
必須/推奨要件詳細確認対象確認方式確認対象確認方式確認対象確認方式
必須事項公共・準公共に特化した共通的な業務機能であること制度官庁等申請書書類確認----
民営の場合は核となる業務仕様が制度官庁等の業務標準に準拠していること制度官庁等申請書書類確認----
(制度官庁が標準仕様等を定めていない場合)当該システムの仕様における機能要件について、複数の利用対象、加えて制度官庁が明らかな場合には制度官庁の意見を十分に聞くとともに、汎用性の高い仕様の検討が行われていることガバメントクラウドチーム申請時に根拠を提出書類確認----
(制度官庁が標準仕様等を定めていない場合)利用している又は利用を希望する組織(行政機関等のほか、準公共サービスの提供事業者でも可)の存在が確認できることガバメントクラウドチーム申請時に根拠を提出書類確認----
価格表(定価)がインターネット上で広く一般に確認可能な形で公開されること(SaaS利用が有償の場合。値引きは否定しない)ガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認本番環境目視確認、ヒアリング
ガバメントクラウド上で本体部分が稼働すること(外部連携は可能)ガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認本番環境ガバクラ利用実績
ガバメントクラウドの不適切な利用(目的外利用)を防ぐため、デジタル庁との契約や社内規程等による仕組みを講じることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認内部統制手順書、
運用設計書、
運用マニュアル
書類確認
データの所有権と管理の権限がテナントにあることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認約款、
SaaS利用契約書雛形
書類確認
データ移行(取り込みと取り出し)が可能なことガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認データ移行試験報告書書類確認
推奨事項開発環境がガバメントクラウド上であることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認本番環境ガバクラ利用実績
連携ニーズの高い情報を扱うSaaSについてはガバメントクラウドの求めるデータ連携の仕組みが用意されることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認事業計画書、
基本設計書
書類確認(別途、必要に応じて実施)-
表5-2 「管理要件」の確認項目と確認方式
管理要件確認組織計画時確認環境払い出し前確認SaaSサービス開始前確認
必須/推奨要件詳細確認対象確認方式確認対象確認方式確認対象確認方式
必須事項全体的な運用状況(サービスレベルや障害情報を含む)がインターネット上で確認可能な形で公開されることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
大規模災害時のサービス継続・復旧の方針、
サービスレベル定義、
設計書、
運用マニュアル
目視確認、ヒアリング
推奨事項テナント毎の利用状況がダッシュボードやAPIで取得可能でありGCAS(ガバメントクラウドの利用窓口機能)と連携可能なことガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書、
運用マニュアル
目視確認、ヒアリング
表5-3 「セキュリティ要件」の確認項目と確認方式
セキュリティ要件確認組織計画時確認環境払い出し前確認SaaSサービス開始前確認
必須/推奨要件詳細確認対象確認方式確認対象確認方式確認対象確認方式
必須事項SaaSとしてテナントのユーザー情報が安全に運用管理されることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認セキュリティ設計書、
運用設計書、
開発・運用体制、
運用マニュアル、
監査報告書、
脆弱性検査報告書、
ペネトレーションテスト報告書、
(ISMAP等登録報告書等)
文書確認、ヒアリング
推奨事項閉域網であることを前提としない(インターネットからの利用を前提としても機能する)セキュリティ対策が取られることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書
目視確認、ヒアリング
表5-4 「アーキテクチャ要件」の確認項目と確認方式
アーキテクチャ要件確認組織計画時確認環境払い出し前確認SaaSサービス開始前確認
必須/推奨要件詳細確認対象確認方式確認対象確認方式確認対象確認方式
必須事項カスタマイズ(個別改修)は行わない。テナントの規模の相違によるニーズの相違等には運用パターン(規模)別のサービス、一部のテナントでのニーズにはオプション機能として対応すること。テナント毎への対応も、カスタマイズではなく設定による変更やメタデータによる変更を検討し、アドオン(個別追加)も真に必要な場合に限ることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認約款、
SaaS利用契約書雛形、
設計書
文書確認、ヒアリング
テナント毎の個別の稼働環境(シングルテナント)ではなく共同利用を念頭に置いた環境(マルチテナント)とするが、提供サービスの特性に応じて柔軟に対応すること。ただし、管理機能が共通化されることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書
目視確認、ヒアリング
業務アプリケーションのソースコードは全テナント共通を前提としたサービス設計とする(業務アプリケーションのテスト・更新等による一時的な複数バージョンの併存は問題ない)ガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書
目視確認、ヒアリング
外部システムとのデータ連携はAPIを基本とし、公共SaaS(制度官庁を含む)において共通的な仕様を定め、データ連携のためのAPIを公開することガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書
目視確認、ヒアリング
利用者認証の仕組み及び課金の仕組み(有償の場合のみ)が、請求金額計算や請求業務を含め適切に実装されていることガバメントクラウドチーム事業計画書、
設計書ドラフト
書類確認基本設計書書類確認本番環境、
設計書
目視確認、ヒアリング