NHK、カスタマーハラスメント対応方針を策定 悪質事案は法的措置も
NHKは8月1日、「NHK カスタマーハラスメントへの対応方針」を策定したと発表した。 同方針は、視聴者や取引先など外部の業務関係者からのカスタマーハラスメントに対する対応を明確化したもので、自主自律を堅持し、健全な民主主義の発展と文化の向上に役立つ正確で信頼できる情報や良質な番組・コンテンツを広く届けることを目的としている。この目的を果たすため、視聴者の声に真摯に耳を傾け、番組制作や事業活動に反映させるとともに、問い合わせには迅速かつ丁寧に対応するという。人権と人格を尊重した誠実な姿勢を「NHK倫理・行動憲章」および「行動指針」に掲げ、社会通念上許容される範囲を超える言動や誹謗中傷など、業務に携わる者の人格や尊厳を傷つける行為については「職場環境を損なう人権上の問題で、決して許されない」としている。 NHKは「あらゆるハラスメントを許さない」との方針のもと、職場内に加え、視聴者や取引先など外部の業務関係者との間で生じるハラスメントにも毅然と対応し、業務に携わるすべての人の健康確保と安全管理を徹底することで、公共メディアとしての使命を果たすと発表した。 同方針では、カスタマーハラスメントを「NHKの業務に関係を有する外部の者が、社会通念上許容される範囲を超えた言動または要求により、職員等の就業環境を害すること」と定義。対象となる外部の者には、取材先、出演者、取引先、番組や配信の視聴者、受信契約者、来場者、コールセンター利用者などが含まれる。また、保護の対象となる職員等には、役員、職員、契約職員、アソシエイト、スタッフ就業規則で定義するスタッフ、嘱託、派遣労働者が含まれている。 カスタマーハラスメントの具体例としては、放送や配信サービスとは無関係な性的要求やプライバシーに関する要求、放送中止や番組内容の変更など法令や契約上の想定を著しく超える要求を挙げている。また、正当な理由のない受信料やNHKオンデマンド利用料の返金・減免要求、法的根拠を欠く損害賠償請求も該当するという。さらに、殴る、蹴る、物を投げつけるといった暴行や傷害、わいせつな行為、不必要な身体接触などの身体的攻撃に加え、対面や電話、メール、インターネット、SNSなどを通じた暴言や脅迫、土下座の強要、差別的・卑猥な言動、盗撮・盗聴、無断での撮影・録音・配信、誹謗中傷、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、肖像権侵害、個人情報の公開などの精神的攻撃も対象とした。 このほか、大声による威圧的な言動、執拗な質問、不退去や居座り、長時間に及ぶ電話などの拘束的な行為もカスタマーハラスメントに該当するとし、例示に限定せず幅広く対応する。今後の対応としては、カスタマーハラスメントを許さない姿勢を職員に徹底するとともに、疑いがある場合には上司や相談窓口へ安心して相談できる体制を整備する。相談を受けた際には事実関係を迅速かつ正確に確認し、ハラスメントが認められた場合は被害者の保護やケアを適切に実施する。犯罪に該当する可能性がある場合や極めて悪質と判断した場合には、捜査機関への通報や必要な法的措置を講じるなど厳正に対処するとしている。 また、すべての職員等を対象に周知や教育・啓発を継続し、誰もが被害者にも加害者にもなり得ることを理解したうえで、互いを尊重する組織風土の醸成を進める。職員等が外部関係者に対してカスタマーハラスメントを行わないよう、知識の習得を図るほか、職員側によるハラスメントの申告があった場合にも速やかに調査を実施し、規程等に基づき厳正に対処すると述べている。
村上 潤一