演出の吉田です。
8/17(月)から始まる『華氏451度』は、西暦2100年、二度の核戦争に勝利したアメリカが舞台です。
みたび核戦争を始めようとアメリカは、全ての言論を統制。本を持つ者がいれば、「ファイアマン」を急行させ、本を焼き払う!
今回、ファイアマンのガイ・モンターグを演じていただいた大塚明夫さんからメッセージをいただきました。
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【大塚明夫さん】 メッセージ
長く読み継がれてきた名作『華氏451度』を演じる機会をいただき、大変光栄に思っています。
主人公モンターグは、知識を排除する社会の一員でありながら、その矛盾に気づき変化していく人物です。
演じる上では、正しさを主張する人物としてではなく、問い続ける人物として捉えました。
答えを見つけたから成長するのではなく、疑問を持ったから前に進める。その姿勢がこの作品の核だと感じています。
原作が発表されてから長い年月が経っていますが、人が思考することの意義を問いかける普遍性は今も変わりません。
ぜひ音声ならではの臨場感で味わってください。
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物語が進むにつれ……ガイ・モンターグは本を燃やすことに疑問を感じ始めます。
「アメリカは過去二度の核戦争に勝った。噂では世界中が飢えて必死に働いているのに、俺たちだけが裕福で遊んでいるそうだ。そして憎まれているとも。本を読めば、同じ過ちを繰り返さずにすむかもしれない……」
70有余年、読み継がれてきた名作です。大塚さんも言われる通り、その普遍性は今なお変わりません。
こうした「ここぞ」という名作には大塚明夫さんをお呼びしたいと思っていました。
そして、その圧倒的な声の存在感には、天賦の才に加え、妥協のないご努力があることを知りました。
収録時、特に心情を出すモノローグで、大塚さんは気持ちマイクに寄ります。
近寄れば声はより力強く、存在感を増すものの、反面、明瞭さを失わないためには、よほどクリアに発話する必要があり、これには不断のエネルギーを伴います。
それを大塚さんはやり抜く。
力強さはそのまま、ささやき、感情が高ぶり、声が出ない無言の「間」まで、俳優の芝居の緊張感は、収録が終わるまで、上昇し続けました。
走るシーンのモノローグでは、背後に「息」を重ね、臨場感を出しますが、その「息」もモノローグの内容に合わせた変化をつける。妥協はありません。
かつて青春アドベンチャー『シャドー81』(2023)では、東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイが、ベトナム戦争では北爆(ほくばく)を主張。
「石器時代に戻してやる」と言い放ち、それが以降、アメリカの脅し文句となっていることを描きました。
トランプ氏もイランに対して同じ文句を使いますが、事態はエスカレート。
ウクライナとイランの戦争が融合する世界大戦の危険性まで生じています。
そうはならないよう、祈りを込めた大塚明夫さんの魂のお芝居、どうぞお聴きください。
『華氏451度』(全5回)
2100年、アメリカ そこは「本」が禁じられた社会
【 NHK FM 】
2026年8月17日(月)~ 21日(金)午後9時30分~午後9時45分(1-5回)
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)
【出演者】
大塚明夫 高島礼子 井上小百合 陰山泰
津田寛治 千葉雅子 朝倉伸二 古河耕史
幸田尚子 松尾英太郎 銀河万丈
【原作】
レイ・ブラッドベリ
【訳】
伊藤典夫
【脚色】
大河内聡
【音楽】
和田貴史
【スタッフ】
制作統括 : 藤並英樹
技術 : 浜川健治
音響効果 : 菅野秀典
演出 : 吉田浩樹
【あらすじ】
華氏451度——それは本が燃える温度。
二度の核戦争に勝利したアメリカは、みたび核戦争に挑もうとしていた。
戦争を前に言論の自由など意味はない。本を読むことは禁止され……
「ファイアマン」ガイ・モンターグ(大塚明夫)がすべての本を焼き払う!
妻ミルドレッド(高島礼子)は日夜配信されるAIリアリティーショーにはまり、現実から逃避。
モンターグは妻といつ出会ったか思い出せない。
最終戦争の十日前、モンターグは不思議な少女クラリス(井上小百合)に出会う。
「むかし、ファイアマンは消防士といって、火を消すのが仕事だったってご存知?」
クラリスとふれあい、人間本来の感覚を徐々に取り戻すモンターグ。
しかしそれはファイアマンの隊長・ベイティー(陰山泰)の知るところとなる……。
「反知性主義」が支配する世界に、人類は立ち向かうことができるのか?
※この記事は放送後1週間までの期間限定公開です。