手術する必要はあったのか
この手術の後、Xさんの母は両足に重度の麻痺が残り、自力での排尿・排便も難しくなったほか、断続的に続く神経性の激痛にも苦しめられるようになってしまった。
Xさんはしばらく「リハビリをすればよくなる可能性はある」と語るA医師を信じていたが、日に日に弱る母を見ると、とても回復するとは思えない。その後の説明会でA医師が「もともとかなり神経が傷んでいたわけだから、(障害を負ったのは)手術とは関係ない」などと言うのを耳にして、不信感を募らせていった。
A医師への信頼が決定的に崩れたのは、手術から3ヵ月あまりが経った、2020年5月初めのことだったという。
「当時、A先生に母の退院を勧められていたのですが、動けなくなった母を介護するには準備も必要です。それなのにA先生は『うちの看護師には、面倒な患者(Xさんの母のこと)の世話をさせて申し訳ないと思っている。早く退院してほしいという気持ちもある』と言い放ったのです」(Xさん)
Xさんとその母は2021年8月、A医師と赤穂市に約1億1500万円の損害賠償を求める民事訴訟を提起し、2023年11月にはA医師を業務上過失致傷の容疑で刑事告訴した。
その過程では「手術前のカルテにA医師が『(Xさんの母は)前屈しなければ何mも歩けない』と実態と異なる病状を書いていたことや、発端になった『手術しないと人工透析になる』というA医師の診断自体に医学的根拠がなかったことも判明しました」とXさんは語る。
そもそも手術を受ける必要さえなかったのだとしたら、あまりにもやるせない。
だが、A医師がかかわる事件はこれだけではなかった。その後、別の病院でも搬送された患者の死亡に関与したとして、遺族から訴えられたのだ。後編記事【独占スクープ『脳外科医 竹田くん』モデルの医師を直撃…「私は裏切られた」「赤穂市民病院は汚い」その驚愕の主張】では、その詳細と本人直撃取材のようすをお伝えする。
『週刊現代』2024年3月9日号より