ドリルに神経が巻き付いて
「私は、A先生には医師をやめていただきたいと思っています。母が重い後遺障害を負ったにもかかわらず、先生の言動からは思いやりが感じられませんでした。非常に、自己中心的なお考えをお持ちだと思いました」
こう吐露するのは、兵庫県に住むXさん(50代・女性)である。
4年前、Xさんの母(当時74歳)はA医師の執刀する手術のあと、下半身が麻痺する重い障害を負った。以下、Xさんの証言と裁判資料をもとに、その主張を追っていこう。
きっかけは2019年末、Xさんの母がひどい腰痛を訴えたことだった。
「母はかかりつけ医の紹介で、赤穂市民病院に行くことになりました。診察したA医師は、年明けすぐに検査入院するよう勧めてきました」(Xさん)
検査は1月6〜8日に行われた。同17日に結果を聞きに出向いたXさんに対して、A医師はこう滔々と述べたという。
「お母さまは重度の脊柱管狭窄症なので、早く手術したほうがいい。20日に入院、22日に手術でいかがですか」
「早く手術しないと、人工透析になる可能性があります」
あまりに急な提案にXさんは戸惑ったが、A医師の勢いに押されて承諾した。そして提案どおり、1月22日の朝9時ごろからA医師と、その上司で診療科長のB医師の執刀により手術が行われることとなった。
Xさんの母が受けたのは、「腰椎後方除圧術」という手術だ。脊柱管狭窄症では、背骨が中に通っている神経を圧迫して痛みが生じる。背骨の一部を削り取って圧迫をなくすのが「除圧術」である。
「当日の朝、A先生は病室にやってきて、母に笑顔で『退院する頃にはスタスタ歩いて帰れますからね!』と声をかけてくれました。そのときは、とても頼もしい先生だと思いました」(Xさん)