自由に物言えぬ日本で 三谷幸喜さんが新作で描く“赤狩り”

脚本家の三谷幸喜さん=東京都新宿区で2026年7月24日、鈴木紫門撮影
脚本家の三谷幸喜さん=東京都新宿区で2026年7月24日、鈴木紫門撮影

 この先、あと何本の芝居を作れるだろうか――。

 脚本家の三谷幸喜さんは今、自身のタイムリミットを意識しているという。

 現在65歳。

 「いつかやりたいとストックしてきた題材は、出していかないと」

 そう考えて選んだ新作のテーマが、かつて米ハリウッドで共産主義者らが密告・追放された“赤狩り”だ。

 8月15日に開幕する舞台「アメリカン・ドリーム」で赤狩りを扱う背景には、自由に物が言えなくなる社会への危機感もあるという。

あるB級ハリウッド俳優の存在

 赤狩りに興味を持った原点は、アメリカ映画に夢中だった少年時代にある。5、6歳の頃からテレビで洋画を見ていた。

 「今思うとトリミングもカットもされていてオリジナル作品とはかけ離れたものになっていたかもしれないけど、それでも面白かったし、中学に入るまでにほとんどの作品を見た気がします」

 エンターテインメント界きっての映画好きで知られる三谷さん。米コメディー映画「お熱いのがお好き」で知られるビリー・ワイルダー監督などから、特に大きな影響を受けた。

 なぜアメリカ映画にひかれたのだろうか。

 「いろんな映画があっていいと思うんです。ヨーロッパ映画はより芸術的な気がしますし。その中でアメリカ映画は娯楽映画。ラブロマンス、コメディー、アクションといろいろあるけれど、どのジャンルも『見ている人を楽しませ、面白がらせる2時間』に特化している。僕はやっぱりそういう映画が好きですね」

 赤狩りのことは、大学時代、さまざまな映画関連の書物を読むうちに自然と知った。

 1940年代後半~50年代にかけて米国内で吹き荒れた反共の思想弾圧。冷戦のあおりで多くの政治家、役人、学者、芸術家が排除され、ハリウッドでも多くの映画人が密告・追放された。

 中でも一人の俳優が、三谷さん…

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