そよふわハウス・ルールブルーとは。傷ついた女性たちが支え合える場所
はじめに
「ここでは心から安心して過ごせる感じがした」
これは、そよふわハウスを訪れた女性からもらった言葉です。
性被害、DV、女性差別——そうした経験を持つ女性たちが、専門職の支援ではなく、対等なピア(仲間)としてつながり、支え合える場所。それがそよふわハウスです。
こんにちは。そよふわハウス/ルールブルー代表の石川優実です。私は今、過去に受けた性暴力被害の影響で、複雑性PTSD、トラウマ治療中です。
今は自分の体調と相談しながら、少しでも多くの人に被害後の実態を知ってもらえればと思い発信活動をしています。
「そよふわハウス」はそんな私の活動の一つ。友人たちと2024年1月から運営を始めて、すでに述べ100名の女性が訪れ、約10名が継続的に集まっています。その中で、私たちが気づいたことがあります。女性たちが回復するために最も必要なのは、「ひとりではない」という実感なのだということです。
この記事では、そよふわハウスと、そこから生まれたコーヒー事業「ルールブルー」について、そして私たちが目指す未来についてお伝えします。
そよふわハウス・ルールブルーとは
ピアスペース「そよふわハウス」
そよふわハウスは、東京都にある一軒家です。ここは、女性差別や性暴力などの経験を持つ当事者が集うピアスペースです。
「ピアスペース」とは、同じ悩みや経験を持つ仲間(ピア=peer)が集い、対等な立場で交流・相談・情報交換ができる「安心できる第3の居場所」のことです。
当初、私たちは「開かれたフェミニズムカフェ」を目指していました。しかし、実際に活動を始める中で、気づいたことがあります。まずは安心できる空間で、自分たちスタッフも含めみんなが元気になれるような場所が必要なのではないか、ということ。そのタイミングで、「女性支援に使ってほしい」と、ありがたい金額で都内の一軒家をお借りする機会をいただきました。
そこで、私たちは方針を転換しました。不特定多数の出入りではなく、紹介制で信頼関係を前提とした、安全で安心なピアスペースとして運営することにしたのです。
これまでの活動では、毎月2回ほどのペースでご飯会やお話会を開催してきました。ヨガやピラティスなどのセルフケアワークショップ、映画鑑賞会、トラウマに関するトークイベントなども行っています。また、限定的ではありますが、家庭や生活環境から一時的に離れたい女性のための短期宿泊支援も行ってきました。
「Coffee&Feminismルールブルー」
そよふわハウスの活動と並行して、私たちはコーヒー事業「ルールブルー」を立ち上げました。
この事業の出発点は、「フェミニズムをテーマにしたカフェを開きたい」という想いでした。女性たちが集える場所として、また、ジェンダー平等を実現する場所として、カフェを作りたいと考えていたのです。
しかし、実際にカフェ事業をするには店舗を借りたいととてもたくさんの資金が必要です。現在は準備期間と考えています。(過去に5回ほど、ポップアップの出店をしました。)
現在、ルールブルーは以下の活動を行っています:
定期便:毎月、厳選した女性・トランス女性・ノンバイナリー・Xジェンダーの焙煎師の豆を定期配送
自家焙煎ドリップバック:女性生産者の豆のみを使用した、手軽に楽しめるドリップバック
ここで重要なのは、私たちは女性生産者や焙煎師の豆だけを提供しているということです。世界中のコーヒー生産地では、女性農民が搾取されている現実があります。私たちは、そうした女性たちを支援することで、ジェンダー平等を実現するコーヒー事業を目指しています。
そして、今後の展望として、私たちは焙煎事業を増やし、困難を抱える女性が働けるような場所にしたいと考えています。性被害やDV、貧困などの困難を経験した女性たちが、ここで働き、自分の力を取り戻せるような環境を作りたいのです。
「困難な問題を抱える女性」とは、2024年4月に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援新法)」において、以下のように定義されています。
性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む。)をいう。
安全性とプライバシー保護について
ここで、重要なお知らせがあります。
そよふわハウスは、活動告知や住所を非公開としています。これは、単なる秘密主義ではなく、女性たちの安全とプライバシー保護を最優先にするためです。
性被害やDVの当事者にとって、自分の居場所が知られることは、深刻な危険につながる可能性があります。また、ピアスペースとしての信頼関係は、「ここは安全な場所である」という確実な保証があってこそ成り立つのです。
もし、この活動に寄付していただけましたら、その寄付金は、女性たちの安全を守るために使われます。しかし、寄付をしたからといって、そよふわハウスへのアクセスが可能になるわけではありません。この活動の本質を理解していただき、女性たちの安全と安心を守ることにご協力いただけますようお願いいたします。
紹介制で、信頼関係を前提とした運営をしているのは、そのためです。
ハーマンの回復モデルと、ピアスペースの必要性
ここで、アメリカの精神科医でトラウマ研究の第一人者であるジュディス・ハーマンが提唱した「回復モデル」について触れたいと思います。
ハーマンの回復モデルは、トラウマからの回復を3つの段階に分けています:
安全の確保— 身体的・心理的な安全を確保する
想起と服喪・追悼— トラウマと向き合い、感情を処理する
通常生活との再結合 — 新しい自己を構築し、社会とのつながりを取り戻す
この3段階のうち、特に重要なのが第1段階の「安全の確保」と第3段階の「通常生活との再統合」です。そして、この両方を実現するために不可欠なのが、「みんなとつながること」なのです。
専門職による支援ももちろん大切です。しかし、トラウマからの回復には、対等なピア関係性の中での「ここでは安心して息ができる」という実感が必要です。「ひとりではない」と感じられることで、深刻な孤立感が和らぎ、心身の回復が進んでいくのです。
そよふわハウスでは、この「対等なピア関係性」を最優先にしています。専門職と利用者という枠組みを超えた、仲間としての安心感を提供することで、女性たちが自分を取り戻すための土台を作っているのです。
「ただの遊び」ではなく、回復に必要な活動
ここで、一つ重要な誤解を解きたいと思います。
女性たちが集まってお茶を飲んだり、ヨガをしたり、映画を見たりする——こうした活動を、「ただの遊び」だと思う人もいるかもしれません。しかし、これらは、トラウマからの回復に必要不可欠な医学的・心理学的な活動なのです。
ハーマンの回復モデルで述べた「通常生活との再統合」の段階では、社会とのつながりを取り戻すことが極めて重要です。しかし、トラウマを経験した女性たちが、いきなり社会に戻ることは、多くの場合、困難です。そこで必要なのが、対等な仲間との交流という、段階的な社会復帰の場なのです。
お茶を飲みながら、ありのままの自分を話せる。ヨガをしながら、心身の緊張をほぐせる。映画を見ながら、感性を取り戻せる。こうした「日常的な活動」の中にこそ、回復の本質があるのです。
実は、私たちが直面していた課題の一つが、「社会活動としての位置づけ」でした。任意団体としての活動は、「単なる遊び」と捉えられることがあります。しかし、この活動は、遊びではなく、困難女性の回復に必要な支援活動です。だからこそ、私たちはいずれ法人化を検討し、社会的な信頼性を高め、「事業として説明可能な組織体」になることを目指しています。
支援していただく皆さんに、ぜひ理解していただきたいのは、この活動の医学的・心理学的な根拠と、その必要性です。
また、現在日本においてトラウマを負っている当事者が治療やトラウマケアの情報を得ることがとても困難な状況にあります。どこの病院に行ったらいいのかわからない、どういうトラウマケアがあるのかわからない、保険診療で診てもらえる病院があるのだろうか、自分でできることはあるのだろうか、ジェンダーに配慮してもらえるカウンセラーはいるのだろうか・・・
そういった情報を自分一人で見つけるのは難しいですが、同じように関心を持っている人たちが集まれば、思ってもいなかった解決方法が見つかるかもしれません。
これまでの活動実績
2024年1月から現在まで、そよふわハウスでは以下のような活動を行ってきました:
参加実績
延べ参加者:約100名
実参加:約50名
定期参加:約10名
定期活動
ご飯会・お話会:月2回ペースで開催
参加者同士の交流、当事者ならではの悩みや経験の情報交換
ワークショップ
ヨガ・ピラティスによる心身のセルフケア
映画鑑賞会・読書会を通じた感性の共有
トラウマに関するトークイベント
宿泊・滞在支援
家庭や生活環境から一時的に離れたい女性のための短期滞在
利用者数:約3名、平均滞在日数:10日間、延べ宿泊期間:約1ヶ月
利用者に見られたポジティブな変化
参加者からは、以下のような変化が報告されています:
安心して自分の経験や気持ちを話せるようになり、心理的な安全性が確保された
「一人ではない」と感じられることで、深刻な孤立感が和らいだ
適切な支援や情報につながるきっかけを得ることができた
対等なピア関係性の中で、回復の土台を築くことができた
これらの実績は、ピアスペースの必要性と有効性を示しています。
今後の展望
私たちは、そよふわハウスとルールブルーを通じて、さらに大きな変化を起こしたいと考えています。
そよふわハウスの拡大
現在、私たちが構想しているのは以下のような取り組みです:
就労機能の追加 — 困難女性が働き、自分の力を取り戻せるような環境づくり(障害者就労施設の、困難女性を対象としたようなものを想定しています。)
事業内容として、コーヒーの焙煎やトラウマインフォームドヨガやトラウマセンシティブマインドフルネス講師の育成やワークショップ開催トラウマケアワークショップの充実 — ヨガ、瞑想、ジャーナリング・アート療法など、セルフケアの選択肢を増やす
トラウマについての周知活動—トークイベントや勉強会を定期的に行う
法人化への検討 — 社会的な信頼性を高め、活動を安定させるための組織化
ルールブルーの成長
コーヒー事業では、以下を目指しています:
焙煎事業の拡大 — 自家焙煎の規模を増やし、より多くの女性生産者を支援する
困難女性の就労支援 — 焙煎・パッケージング・販売など、様々な業務で働ける環境を作る
ジェンダー平等なコーヒーチェーンの構築 — 生産地から消費者まで、女性が尊重される流れを作る
別事業としてのカフェ開設
そして、いずれは、最初に望んだような誰でも来られるカフェを開設したいと考えています。そこでは、ルールブルーのコーヒーを提供し、ジェンダー平等と女性支援の意義を、より多くの人に伝えていきたいのです。
寄付のお願い
これらの活動を継続し、拡大させるためには、安定的な資金基盤が必要です。
現在そよふわハウスの運営は、運営者の負担が大きく、活動の継続と拡大のためには、以下の課題に取り組む必要があります:
資金が必要な理由
運営体制の強化 — 協力者の確保や役割分担の仕組みづくり
活動の拡大 — ワークショップの充実、宿泊支援の拡充、新しいプログラムの開発
ルールブルーの成長 — 焙煎設備の改善、パッケージングの工夫、販売チャネルの拡大
法人化への準備 — 社会的な信頼性を高め、事業として説明可能な組織体への移行
寄付がどのように使われるのか
皆さんからいただいた寄付は、以下のように使われます:
都内でお借りしている一軒家の家賃・光熱費
ワークショップ講師の謝金 — ヨガ、瞑想、アート療法など、専門家による質の高いプログラム提供
宿泊支援の充実 — より多くの女性が安心して休息できる環境づくり
ルールブルーの設備投資 — パッケージング材料の調達
困難女性の就労支援 (将来的に)— 給与、研修、サポート体制の構築
法人化のための準備 — 専門家への相談、書類作成、運営体制の整備
寄付方法
そよふわハウスで作業しているコーヒーを買う
こちらはそよふわハウスで発送作業や焙煎をしているコーヒーショップです。性暴力被害を受けた当事者が、自分のペースで再び社会と繋がれるよう仕事をしています。(体調の関係から、発送作業に制限があります。商品の販売も時期によってしていない時があるので、ご確認ください。)
投げ銭(note)
noteのプラットフォームから、この記事に投げ銭をいただくことができます。
銀行振込
PayPay銀行
支店番号:005
口座番号:7642481
口座名義:ルールブルーイシカワユミコ
こちらにいただいた寄付は全てそよふわハウスの運営に使われます。ご了承ください。
そよふわハウスで使用するものを寄付する
こちらにそよふわハウスで使うもののリストがあります。Amazonから直接送っていただけます。
性暴力被害のその後について知る
昨年12月に、代表の石川優実が性暴力被害のその後について綴った日記が本になりました。こちらを読むことで現状を知ってもらえます。シェアも大歓迎です。
どのような形でのサポートでも、本当にありがたいです。
おわりに
「ひとりではない」という実感は、女性たちの人生を変えます。
そよふわハウスとルールブルーを通じて、私たちが実現したいのは、傷ついた女性たちが、対等な仲間とつながり、支え合い、自分を取り戻せる社会です。
そして、いずれは、ジェンダー平等が当たり前の社会を作ることです。
皆さんのご支援により、私たちはこの活動を続けることができます。もし、この活動に共感していただけましたら、ぜひ、寄付という形でご協力いただけますと幸いです。
また、SNSでのシェアや、周りの方への紹介も、大きな力になります。
一緒に、変化を起こしていきましょう。
記事執筆日:2026年4月18日
Coffe&Feminimルールブルー/そよふわハウス代表 石川優実


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