【旅行記】1都3県14時間150円の旅
大回り乗車とは?
突然ですが、皆さまは「大回り乗車」という言葉を聞いたことがありますか?
JRでは東京や大阪などに「都市近郊区間」エリアが設定されており、エリア内で相互発着利用をする場合はどの経路で移動しても目的地までの最短運賃で乗車が可能となっています。
この制度を利用し、できるだけ遠回りで目的地まで行く乗り鉄行為を「大回り乗車」と呼びます。
ただし、
大回り乗車にはいくつかのルールが存在するため、実際に大回りをする時はきちんと下調べをして不正乗車にならないように注意しましょう。
趣味で描いている連載創作『しろまる先輩は距離感がおかしい。』の24〜27話で、遠くに行きたいけれどお金がない旅人にぴったりの旅としてこの「大回り乗車」を取り上げました。
本記事は2024年10月21日に作品のロケハンを兼ねて同じルートで大回り乗車をした際の旅行記となります。興味をもった人は創作のほうも読んでみてね↓
房総半島を一周
今回の大回りでは、東京駅からお隣の神田駅までの切符(150)円を購入し、1都3県をほぼ1日かけて回るコースに挑戦しました。
けたたましい列車の走行音が響く要塞のようなホームで待っていると、数分の遅延を経て乗車予定の列車がやってきました。
1本目 総武線 内房線直通 快速君津行
東京湾をぐるりと囲むようにして走る長距離快速列車をトップバッターとして、12時間の大回り乗車をスタートします!
8:06分、大回り乗車開始(2分遅れ)。
平日の朝ですが、都心から郊外へ向かう所謂「下り」にあたる方向なので車内はさほど混雑していません。普通に座れました。
そのまま通過し内房線へ。
10分ほどで次の列車が到着。
ここから先の内房線はE131系電車の2両編成です。15両→2両と一気に編成が短くなり、車内はそこそこの混雑具合。
———この列車、実は君津のひとつ手前の木更津始発だったので、快速を木更津で降りて乗り換えたほうが座れる可能性がUPするのを失念していました。(創作の中では木更津乗り換えに改変してネタにしています)
わたしの知ってる千歳じゃない〜
(この切符も、まさか海を見られるとは思っていなかったことでしょう)
列車は海岸線を離れ、線形がよくなった線路を快調に飛ばしてラストスパートをかけます。
そして12時30分。
(でも大回り乗車はまだ始まったばかり)
お次の乗車列車はこちら。
3本目 外房線 京葉線直通 快速東京行
この列車は京葉線に直通し東京まで行く割とレアな列車ですが、今は大回り乗車中。蘇我より先は既に通った経路のため乗ることができず、大網駅で下車します。
(奥に見えているのがさっき着いた外房線ホーム)
房総半島の旅は、千葉県内陸部へと舞台を移していきます!
大回り乗車必食のグルメ?!
大網からはこの子。
外房線と総武本線間のバイパスの役割をもつ東金線は、大回り乗車をしやすくするために作られた限界旅人御用達の路線です(違います)。
東金線内は線路脇に生い茂った草木が走行する列車と激しくぶつかっていてびっくりしましたΣ(-᷅_-᷄๑)
ビシッ! バシッ! ビシッ! バシッ!
草木にしばかれること約20分弱で終点の成東に到着。
総武本線 普通千葉行 に乗り換え、
成田………成田空港………ひこうき………
テイクオフしたくなる旅人の衝動を抑えて、乗り換えをこなします。
成田線の単線区間を5両編成で進んでいると、こんな↓駅が。
「木下」←なんて読むと思いますか?
簡単な漢字ゆえの難しさですね。
(隣の駅は普通に小林だし)
成田から約40分で、この旅の目的地のうちのひとつに到着。
我孫子で大回り乗車必食ともいうべきグルメを食べて、ちょっと遅めのお昼ごはんにしたいと思います。
JRのホームに3ヶ所ある駅そば屋さんの「弥生軒」です。
弥生軒は昭和初期に駅弁屋として創業した歴史ある老舗で、画家の山下清が働いていた店としても知られています。迷わず看板メニューを注文。
———うん。
でかい。
唐揚げ一個がでかすぎる。
弥生軒の唐揚げはその大きさがウリで、デフォルトで1個がこのサイズなんです。カリカリジューシーな特大肉に味の濃い〜出汁が染みていて最高です。
ごちそうさまでした。( 「・ڡ・)「
今は写真と実物のサイズ差がほとんどありませんが、以前は写真の唐揚げが一般的な一口サイズだったため実際の特大唐揚げを前にして驚愕する客が後を絶たず「逆写真詐欺」とも言われていました。
この件については創作のストーリー中にも盛り込んでいます。
弥生軒では唐揚げだけを注文した場合でも出汁をかけてくれるので、「こんなに大きいの食べられないよ〜」という人は単品がおすすめです。
腹ごしらえを済ませて、次の列車に乗り込みます。
これでやっと千葉県を脱出です。
よく考えたら、早朝に江戸川を越えてからかれこれ8時間も千葉県内の鉄道を乗り倒していたわけですから恐ろしいものです。
夜汽車に乗ろうよ
常磐快速線で再び都内に戻ってきました。このまま乗っていれば上野、東京と言ったターミナルに行けますが………?
大回り乗車で常磐線と東北本線(宇都宮・高崎線)を乗り継ぐ時は、上野で乗り換えてしまうと日暮里を2度通過することになり、一筆書きルールに抵触してしまうため注意が必要です。
京浜東北線 普通大宮行 に乗り
に乗り換えます。
列車の写真を撮ったホームの位置から察する猛者もいるかもしれませんが………
グリーン料金(1,000円)の課金につき「150円の旅じゃない!タイトル詐欺だ!」とお怒りの読者さま、申し訳ありません。
普段の生活が車移動メインの稚内市民は徒歩が苦手で、ほぼ持病ともいえる足底腱膜炎(要するに足がいたい)が再発してしまい帰宅ラッシュの高崎線で立っているのが辛かったんです……ぴえん🥺
150円で大回りできるのは事実ですので「大回り中にグリーンや特急に課金して安く乗り鉄する方法もあるよ」と受け取っていただければ幸いです。
川井 雪音の最寄り駅です。
神保原を出て神流川に架かる鉄橋を渡ると、そこはもう群馬県。高崎がいよいよ目前…というところで、
150円大回り乗車の旅も、とうとう群馬県まで来てしまいました。ここからは大回り乗車に欠かせない、あの路線に乗り換えていきます!
その路線とは…?
11本目 八高線 普通高麗川行です!
八高線は名前のとおり八王子と高崎を結ぶ路線で、関東平野の縁を縫うようにして走ります。
そのうち高麗川〜倉賀野間は非電化の区間となっており、ディーゼルエンジンで走る気動車、キハ110が活躍する首都圏近郊屈指のローカル線区です。
大回り乗車で気動車に乗ることができるのは八高線だけなので、個人的には外せないメインイベントですね!
ちなみに八高線は時々、奴やイノシシなどの野生動物が原因で遅延するローカル線です。今日はこの先も乗り換えがあるので勘弁してください🙏🏻と神に祈りつつ、唸るエンジン音に聴き入ります。
その後も夜汽車は真っ暗な埼玉の山あいを走り続け………
(車内アナウンスで知ったのですが、この時(2024年10月)は八高線90周年で色々とやっていたみたいですね)
程なくして着いた拝島にて、本企画最後の乗り換えをおこないます。
拝島から神田まで約1時間の乗車。ラストスパートです!
あと一駅です。
御茶ノ水を出ると、デットヒートを繰り広げてきた総武線が離れていき、万世橋と電気街の夜景を横目に線路が大きくカーブします。
そして。
旅の終わりを告げる自動放送がかかり、車窓に山手、京浜東北、上野東京ラインと新幹線が束になった線路の群れが迫ってきました。
22時08分。
スタートから14時間2分という長旅の末に、列車は東京駅のすぐ隣駅の神田駅へと滑り込みます。
1都4県150円の大回り乗車が完了しました。
まとめ
今回は
・房総半島一周オーシャンビュー
・我孫子 弥生軒の唐揚げそば
・八高線のキハ110
の3つを軸として、ロケハンがてら首都圏の大回り乗車をおこないました。
まとめると、
【区間】
東京 → 神田
【タイム】
14時間02分
【移動距離】
578km
【かかったお金】
運賃:150円
グリーン券:1,000円
唐揚げそば:490円
十六茶:150円
みそしる缶:130円
合計:1,920円 となります。
これだけの鉄道旅行気分を味わってこの値段なら、破格ではないでしょうか。(グリーン課金がなければ1,000円でお釣りがくるし)
他にも大回り乗車には、始発〜終電レベルで関東の1都6県すべてを通過する更なるロングプランや、年末年始の終夜運転を利用した年越し耐久など十人十色の楽しみ方があります。
一部で否定的な意見を見かける大回り乗車ですが、しっかりとルールを調べて準備をすれば誰でもお手軽に旅を満喫できる合法の手段なので、気になった方は身近なちょっとした遠回りからやってみてください♪
P.S
少し昔の話になりますが、私は横浜市民時代に位置情報ゲームの「駅メモ!」に傾倒していた時期がありました。
駅メモは「移動すればするほど強い」というゲームの性質上大回り乗車との親和性が高く、コスパ最強のレベル上げ手段として重宝していました。午前で講義が終わった時や休日は隙あらば大回り乗車に出かけていて、もはや大学時代の思い出を構成する青春(?)の1ページです。
今回は当時を懐かしく思いながら列車に揺られることができてとても楽しかったです。
(おわり)



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