【独自第4弾】陸自部隊の個人情報収集 熊日入手の資料「自分の情報に間違いない」 調査対象のNPO代表男性が確認 隊員とのメール履歴も一致

熊本日日新聞 2026年8月5日 22:30
「個人BSD報告書」に添付されたメールの送受信履歴。NPO法人代表の男性は「実際のやりとりと一致している」と話した
「個人BSD報告書」に添付されたメールの送受信履歴。NPO法人代表の男性は「実際のやりとりと一致している」と話した

 陸上自衛隊中央情報隊(東京・埼玉、朝霞駐屯地)の対外情報部門「現地情報隊」が、日本人の大学教授らを対象に「愛国心」や「性的嗜好[しこう]」といった個人情報を組織的に調査・収集しているとみられる問題で、熊本日日新聞が入手した複数の「報告書」の一つに個人情報が記載されていたNPO法人代表の男性が取材に応じ、報告書の内容について「自分の情報に間違いない」と述べた。メールの履歴など男性しか知り得ない情報と一致した。

 男性は、紛争地の人道支援などが専門で、特定の国に精通する有識者。海外の治安情勢に関する「地域研究」の名目で接近してきた複数の自衛官と意見交換し、治安情報などをレクチャーしていたという。

 熊日が入手した「個人BSD(ベーシックソースデータ)報告書」や添付資料の内容を確認した男性は、隊員と交わしたメールの送受信履歴のほか、携帯電話番号、学歴、勤務先、身長・体形、趣味、嗜好[しこう]などが一致していると確認。「愛国心」や「対自衛隊感情」といった思想信条に関する項目については「インテリジェンス(情報収集)に必要と思えない」と話した。また、性的嗜好などの項目は「まるで意味がない」と指摘した。

 男性の報告書には「BSD記録綴[つづ]り」や「情報資料報告」という資料も添付されていた。2018年10月23日に東京都内のレストランで初めて接触し、何度か居酒屋の個室で面会したと記され、その際の男性の発言や体調の変化も記録されていた。男性は「実際のやりとりだ。手法自体は理解できるが、隊員との信頼関係で話していた裏でこんなことをしていたのか」と驚いた。

 現地情報隊員は、初めての接触では身分を明かさず男性の講演会を聴講。その後、身分は明かしたが、接触する度に男性の言動から思想傾向を分析していたとみられる。男性によると、担当隊員は数年の間に2回ほど交代したという。

 熊日の報道後、小泉進次郎防衛相は現地情報隊の活動について「不適切な活動は確認されていない」と述べるにとどめている。男性は「人間なので間違いはある」とし、「今後はちゃんと改めますと認めるだけでいい。それがないと(自衛隊に)貢献しようという気持ちがうせる」と話した。

 複数の防衛省関係者や元隊員らによると、BSDに登録された民間人は少なくとも数千人に上る。報告書は行政文書に登録されず、現地情報隊の拠点のある朝霞駐屯地で管理・保管されているという。対象となった複数の大学教授らは熊日に「個人情報の収集やデータベース化には同意していない」と証言している。(植木泰士、小山智史、迫田真帆)

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