NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

教育

2026.08.06 08:00

学費高騰のアメリカに朗報、「3年制大学」が拡大中

stock.adobe.com

stock.adobe.com

大学進学を控えたお子さんを持つ保護者の方々に朗報がある。米国にいま、「3年制大学」の時代が訪れようとしている。

周知のとおり米国の高等教育は費用の面で問題を抱えている。授業料やその他の経費を含めると、年間の学費が10万ドル(約1580万円)を超える大学はますます増えている。学生ローン危機が起こっているのもむべなるかなだ。

現状維持をよしとする人々は、実際には何らかの形で学費を軽減できる学生が多いと指摘する。また、一握りのエリート大学の場合、そうした名門校にわが子を通わせられるのなら、たとえ授業料が倍でも喜んで払うという保護者が一部にいるのも確かだ。けれども、たいていの保護者や学生にとって、大学進学の経済的負担はやはり非常に重いものになっている。

嬉しいニュースは、従来のように4年ではなく、3年で大学の学位を取得できるようにする取り組みが広がっていることだ。これは、現在も4年生大学の学生の1割ほどが行っているような、4年分の単位取得を3年に詰め込むというものではない。そうではなく、大学側がもともと3年で学位を取得できるように課程をしっかり設計し、提供するというものだ。いくつかの州や大学はこれにより、教育の質を落とさず費用を削減できると見込んでいる。

この流れは確実に勢いを増している。短期修了型の学部課程を推進する非営利団体「College-in-3 Exchange」は、2021年に13大学の参加で発足した。しかし、いまでは加盟大学は60校(編集注:8月5日現在69校)にまで増えている。

マサチューセッツ州は過去1年に、サフォーク大学とメリマック大学の3年制コースを承認した。これにより、全米で3年制コースを提供する大学は60校以上になった。また、ノースダコタ州、ルイジアナ州、メーン州、ノースカロライナ州も同様のプログラムを承認するか試験導入している。つまり3年制大学は、ごく一部の大学で実験的に導入されているような事業ではないのだ。

College-in-3の方式では、大学側に対して、カリキュラムを見直し、価値の低い選択科目、いわば「無駄な授業」を削ることで、卒業に必要な単位数をおよそ90単位に減らすことを求めている。

次ページ > 大学側にとってもコスト構造を見直すきっかけになる

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2026.07.31 11:00

AIが変えるのは効率ではなく顧客体験だ──HubSpot Japanが語る「Grow Better」な組織のつくり方

生成AIの進化は、企業の営業やマーケティングのあり方を大きく変えつつある。そうしたなかHubSpot Japanは、AIエージェントを活用しながら顧客体験を向上させるプラットフォームを提供している。

外資・日系・スタートアップを横断して採用支援を手掛けるエンワールド・ジャパン代表取締役社長・山本裕介氏が、HubSpot Japanカントリーマネージャーの伊佐裕也氏との対談を通して、AI時代に求められる組織づくりや人材のあり方を探った。


出演者

伊佐 裕也(HubSpot Japan カントリーマネージャー)
山本 裕介(エンワールド・ジャパン 代表取締役社長)

「Grow Better」に込められた想い、AI時代に目指す"三方良し"の世界観

山本裕介(以下、山本):ここ1年ほどの間に、日本でもAIが急速に普及しました。そうしたなかで、顧客体験はどのように変わってきたと感じていらっしゃいますか。

伊佐裕也(以下、伊佐):まず大きく変わったのは、情報収集や購買行動です。顧客は企業のウェブサイトを見たり営業担当者と直接話したりする前に、生成AIを活用して自分たちで必要な情報を簡単に取得できるようになりました。買い手が変われば、売り手も変わらなければなりません。「お客様が目指す姿を実現するために何ができるか」を考えることがより重要になっています。

ただ、本質は変わっていないと思っています。HubSpotが最も大切にしている「Solve For The Customer(顧客にとっての『最適解』を考える)」という言葉がそれです。AIに惑わされず、お客様と真剣に向き合い続けること──その本質はAI時代においても変わらない。むしろますます重要になると感じています。

山本:HubSpotでは、AIとCRMを搭載した『Agentic Customer Platform』を提供しています。

伊佐:「Agentic」とは、AIエージェントが単なる作業支援にとどまらず、ビジネス成果の実現に向けて提案から実行までを自律的に担う仕組みを指します。一般的な生成AIの活用では、メールの文面作成など、特定の作業をサポートしてもらうタスク単位のアウトプットが多いと思います。

しかし、私たちが提唱する「Agentic」とは、単なる効率化ではなく、顧客体験をどう向上させるかに重きを置いています。「自社に興味のある見込み客を集める」という最終的なアウトカムに対して、AIエージェントが「こういう人たちに、こういう内容のメールやブログを届けましょう」と提案し、その実行まで含めて一連のプロセスを自律的に担います。

そして「Customer Platform」とは、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、お客様と接点をもつすべての担当者が必要とするツール群を一元化したプラットフォームです。そこにAIエージェントを組み合わせたのが「Agentic Customer Platform」です。

山本:作業の自動化だけではなく、顧客体験の向上を起点にAI活用を考えている点が非常に興味深いです。そうした考え方の根底にある「Grow Better」という思想について、改めて聞かせてください。

伊佐:「Grow Better」には、とても熱い想いが込められています。だからこそ、あえて日本語に訳さず英語のまま使い続けています。数字だけを追いかける表面的な成長ではなく、売り手も買い手も、そして働く人たちも、それぞれが持続可能な形で利益を受けながら成長できる──いわば「三方よし」の世界観です。

山本:AIが進化するなかで、この「Grow Better」の実現の仕方は変わってきますか。

伊佐:本質は変わりません。ただ、どう実現するかはAI時代に合わせて進化し続けるもので、何が正解かは正直まだ分からない。だからこそ、答えのない中で学び続けられる人が、本特集のテーマでもある「インパクト人材」になっていくとも思っています。

そうした意味でも、「Agentic Customer Platform」はまさにGrow Betterを実装するためのツールでもあります。

伊佐
HubSpot Japan カントリーマネージャー 伊佐 裕也

“社員”のための製品「カルチャーコード」の進化

山本:顧客や購買行動が大きく変わっていくなか、HubSpotの組織自体には変化はあるのでしょうか。

伊佐:私たちは、HubSpotには2つの製品があると考えています。1つはお客様に提供しているプラットフォーム。そしてもう1つはいわば社員のために作っている製品で、企業文化・カルチャーです。カルチャーも製品と同じように、時代の変化やフィードバックを受けて進化させるべきものと考えています。実際、当社のカルチャーを言語化した「カルチャーコード」は何度も改訂されており、最新版には、AI時代に適応するためのアップデートが施されています。

山本:具体的には、どのような進化を遂げたのでしょうか。

伊佐:カルチャーコードには、4つの「カルチャーコミットメント」があります。そのなかで「Solve For The Customer(顧客にとっての『最適解』を考える)」と「Deliver with HEART(HEARTを込めて届ける)」という普遍的な2つは、AIが進化しても変わらない核です。「HEART」というのは、Humble(謙虚で) Empathetic(共感性があり) Adaptable(適応力があり)Remarkable(卓越していて) Transparent(透明である)の頭文字をとっています。

そこにAI時代向けとして「Be Bold, Learn Fast(大胆に挑み、素早く学ぶ)」と「Align, Adapt & GO!(方向性を合わせ、適応し進む!)」を新たに加えました。まず試して学ぶスピードと、方向性を決めたら全員で一気に進む姿勢──この2つが今の時代には不可欠だと考えています。

グローバルと日本、その狭間で磨かれたリーダーの流儀

エンワールド・ジャパン 代表取締役社長 山本 裕介
エンワールド・ジャパン 代表取締役社長 山本 裕介

山本:そうした考え方を日本市場で浸透させていくためには、どのような取り組みが必要だとお考えですか。またグローバル本社と日本市場の間で「橋渡し役」を務めるなかで感じることも聞かせてください。 

伊佐:日本企業がどうすれば「顧客の成功」を起点にGrow Betterできるか──それを今でも考え続けています。環境が変わればGrow Betterの実現の仕方も変わるし、必要なツールも変わる。「どうするべきなんだろう」と問い続けることが大切だと思っていて、それが私をここに留めている理由です。

外資系企業でよくあるのは、本社側がグローバルで成功した手法をそのまま日本に適用しようとするケースです。しかし、それが日本に合わない場合もあります。そうした中、グローバルと日本の橋渡しで大切にしてきたのは、一方的に「日本は違うからできない」と突っぱねるのではなく、日本の環境や戦略をデータで示しながら対話を重ねることです。

入社当初は本社からの指示に応えようとしてパンクしたこともありましたが、そこから「日本の環境や戦略をきちんと伝えて、一緒に考えてほしい」というスタンスで向き合うことを学びました。そういうやり取りが今の仕事のモチベーションになっていますし、日本の文脈を伝えていくことが日本法人のリーダーとしての役割だと思っています。

山本:外資系企業で働く日本人リーダーにとって、とても参考になるお話です。AIがさらに進化するこれからの時代、組織のリーダーやメンバーにはどのような役割やマインドセットが求められるとお考えですか。

伊佐:当社CEOのヤミニ・ランガンがこう話していました。これまでのリーダーは「マップリーダー(地図を読む人)」。明確な山頂というゴールがあり、そこに至るルートを地図から読み解き、チームをコントロールして変化を最小限に抑えながら導く役割である、と。しかし、正解も山頂も見えない時代においては、「エクスプローラー(探検家)」でなければならない。環境の変化を恐れず、「仮説・検証」を繰り返して進む。これはマネージャーだけでなく、社員全員に求められるマインドセットです。

AI時代を生き抜くエクスプローラー、「インパクト人材」とは

山本:当社では、組織のなかでインパクトを出せる人材を「インパクト人材」と呼んでいます。エクスプローラーのマインドをもった人もそれに該当するかもしれませんが、今後、どのようなインパクト人材を採用したいと思われますか。

伊佐:やはり「Solve For The Customer」を体現できる人です。例えば、HubSpotではお客様からのメールやチャットの問い合わせの約7割をすでにAIエージェント(Breeze)が解決しており、顧客満足度も非常に高いです。これは人を減らすための自動化ではありません。生まれた時間をより複雑な課題を抱えるお客様へのサポートに充てています。

このように、AIの浸透によって働き方が変わる環境において、トータルの顧客体験を引き上げることを考えられる人こそが、私たちが一緒に働きたいインパクト人材です。

山本:そうしたインパクト人材とともに、これから日本市場にどのような変化を起こしていきたいですか。

伊佐:私たちは、単にAIを使う企業を増やしたいわけではありません。当社のプラットフォームを活用することで、顧客理解が深まり、よりよい顧客体験を提供することで成果につながる。そうした世界を、日本の皆様と一緒につくっていきたいです。

山本:最後に、これから様々なゲームチェンジが起きうる激動の時代を生きるハイクラス人材が「キャリアを選ぶ際の軸」について、お考えをお聞かせください。

伊佐:役職や待遇も重要ですが、ハイクラス人材であればあるほど、「その環境でどれだけ学ぶことができるか」という長期的な成長の視点にフォーカスすべきだと思います。AI時代になり、キャリアの正解はさらに誰にも分からなくなりました。だからこそ大切なのは、「変化を楽しめるか」「人だからこそ生み出せる価値とは何かを問い続けられるか」だと思います。そうした問いを持ちながら成長できる環境に身を置く。そのプロセスこそが「インパクトを探求する旅」であり、まさにエクスプローラーそのものではないでしょうか。

私の好きな言葉に「The Journey is the Reward(旅の過程こそが報酬)」があります。結果がどうなるか分からないなか、仲間と試行錯誤しているこの過程こそが一番の報酬であり、最もワクワクする瞬間なのではないかと思うのです。

山本:伊佐さんのお話に全面的に共感します。AIによって個人の出力が最大化されていくなかで、それでもなお人が組織として集まることでどのような化学反応が生まれるのか──そこに強い関心を持っています。HubSpotのカルチャーコードや伊佐さんのリーダー像は、その問いへの一つの答えだと感じました。AIが能力を拡張する時代だからこそ、顧客への価値提供とビジネスの成果を最大化するために、誰とどんな挑戦ができるのかを基準に仕事を選ぶ時代が来るのではないでしょうか。

エンワールド・ジャパン
https://www.enworld.com/


いさ・ひろや◎HubSpot Japan カントリーマネージャー。DELL Computer、Google、Sonyなどグローバル企業で25年以上にわたり、マーケティングに従事。freee、Rapyuta Roboticsを経て2018年、HubSpot Japan入社。2026年4月より現職。

やまもと・ゆうすけ◎エンワールド・ジャパン 代表取締役社長。広告代理店勤務を経てTwitter(現X)日本進出の責任者を務めた後、グーグル合同会社でブランドマーケティング統括部長などを歴任。2025年8月より現職。


>>特設サイトはこちら

promoted by エンワールド・ジャパン / text by Fumihiko Ohashi / photographs by Shuji Goto / edited by Mao Takeda

キャリア・教育

2026.08.03 08:00

留学生の卒業後就労に「手数料1600万円」、米政権が検討 実現なら大学・企業に大きな影響

stock.adobe.com

stock.adobe.com

ドナルド・トランプ米政権は、外国人留学生が卒業後に米国で働く資格に10万ドル(約1580万円)の手数料を課す案を検討している。実現すれば、米国の大学で学ぶことの経済性を劇的に変える可能性がある。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、この案は留学生が学位取得後も米国に1~3年間滞在して働くことを認める「OPT(任意実務研修)」制度を対象としたもの。2024年には外国人の卒業生約41万9000人がこの制度を利用して米国で就労していた。

手数料が導入されれば米国の留学生受け入れ政策の大きな変化になり、影響は高等教育に限らず労働市場にも波及する。

米国で働くグローバル人材の新たなコストに

多くの外国人留学生にとって、OPTはたんなる卒業後の特典のようなものではない。むしろ、カナダや英国、オーストラリアといった競合国でなく米国を留学先に選ぶ最大の理由のひとつになっている。

多くの留学生やその家族は米国留学のために多額の経済的コストを払っている。卒業後に米国で実務経験を積める機会は、そのコストを見合うものにするメリットのひとつなのだ。米国の私立大学では、授業料と生活費を合わせると年間10万ドルを超えることも珍しくない。公立大学でも留学生は年間数万ドルの費用がかかることが多い。

この案は米国土安全保障省で審議が続いており、手数料を負担するのは留学生本人なのか、卒業した大学なのか、あるいは研修先の雇用主なのかなども決まっていないという。DHSは、どのような政策も正式に発表されるまでは最終的なものと判断してはならないと強調している。

米大学の留学生誘致に新たな逆風

外国人留学生の誘致をめぐって、米国の大学はすでにいくつもの逆風にさらされている。

過去1年、大学側は学生ビザ(査証)の発給遅延、留学生に対する審査の厳格化、学生ビザの「D/S(滞在資格期間)」制度の廃止、さらに移民政策全般をめぐる不確実性への対応を迫られてきた。こうした動向のために、国際的な競争のなかで優秀な留学生を誘致することがさらに難しくなっていると米国の多くの大学が警鐘を鳴らしている。

次ページ > 米産業界のイノベーションにも影響を与えるおそれ

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

北米

2026.07.25 09:00

UCバークレーから清華大へ ノーベル賞科学者の中国移籍が象徴する米「頭脳流出」の背景

米カリフォルニア大学バークレー校から中国の清華大学に移籍したオマー・ヤギー教授=ゲッティ

米カリフォルニア大学バークレー校から中国の清華大学に移籍したオマー・ヤギー教授=ゲッティ

米国で最も名高い科学者のひとりが全米屈指の公立大学を離れ、中国に移ることになった。

金属有機構造体(MOF)の先駆的研究で2025年にノーベル化学賞を共同受賞したカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の化学者、オマー・ヤギー教授は、北京にある清華大学の常勤教授に就任することを受諾した。清華大学では、人工知能(AI)を活用して新材料の発見を加速する新たな研究所の設立を支援する予定だ。

ヤギーほどの研究者の移籍は、どんな場合であれ注目を集めたに違いない。けれど今回は、中国が科学人材の育成や獲得に巨額の資金を投じる一方、米国が中国の研究機関との研究協力に新たな制限を設けているなかでの出来事だった。これらの動きは全体として、科学分野の主導権をめぐる世界的な競争が激しくなっている現状を映し出している。

研究者を引き寄せる中国

ヤギーはヨルダンでパレスチナ難民の家庭に生まれ、10代で米国へ移住した。アリゾナ州立大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、そしてUCバークレーと米国内の著名大学でポストを得て、研究者として卓越したキャリアを築いてきた。ガスを吸着・貯蔵できるスポンジ状の材料である金属有機構造体に関する先駆的な研究を行い、クリーンエネルギーや大気中からの水回収(ウォーター・ハーベスティング)などの技術進歩に道を開いた。

新たな赴任先となる清華大学では、ヤギーはエネルギーや先端製造業、その他の重要技術など戦略的に重要な領域で、AIを活用して新材料の発見を加速する研究を主導することになる。

ヤギーの引き抜きの裏には、研究大学の強化と世界トップクラスの科学者の招聘という中国の長期的な戦略がある。中国はかつては優秀な研究者を外国に送り出す側の国として知られていたが、現在は国際的に高い評価を受ける研究者を自国の大学に引き入れるべく、積極的な競争を展開している。清華大学のような中国の大学は、研究成果、資金力、世界的な野心といった面で、いまでは米国の多くの名門大学に肩を並べる存在になっている。

制約が強まる米国の研究環境

ヤギーの中国移籍のタイミングがとりわけ注目されるのは、それが米国の科学政策の大きな転換と重なっているからだ。

次ページ > 米科学者の4人に3人が国外への拠点移動を検討している

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事