阪神・大竹耕太郎 「逃げずに立ち向かう姿が、少しでも伝われば」故郷・熊本への思い胸に涙の4勝目
◇セ・リーグ 阪神10―5DeNA(2026年8月6日 横浜) 阪神・大竹耕太郎投手(31)が6日のDeNA戦(横浜)で涙の1勝を挙げた。序盤の大量点をバックに6回3失点にまとめ、チームの連敗を2で止めた。7月28日に故郷を襲った熊本地震。発生当時は帰省中だった。幼少期から慣れ親しんだイオンモール熊本で爆発事故が起きるなど、故郷が甚大な被害を受け、心に期するものがあった。6月17日楽天戦以来の4勝目を手にしたヒーローインタビューで感情がこみ上げた。 【写真あり】LDH 熊本地震の被災地支援に義援金を寄付 募金も開始「求められている支援へとつなげてまいります」 地元の震災と自分の仕事は別物だと、言い聞かせていたはずだった。しかし、心は言うことを聞いてくれない。7月未勝利だった苦境も重なる。4勝目を挙げた大竹の目から、試合後、涙がこぼれた。 「地震があったときにちょうど自分は帰省していて。普通の生活や野球をできることが当たり前のことじゃないってすごく感じた。今シーズンはなかなか勝てなくて逃げ出したいような時もあるけど、被災された方は苦しい状況を打開しようと日々頑張っている。逃げずに立ち向かう自分の姿が、少しでも皆さんに伝わればと思う」 強力DeNA打線を相手にも恐れることなく得意の超スローボールをはさみ、打者の懐もズバっと突いた。2回までもらった大量8点を生かし、6回3失点でまとめた。 7月28日に発生した熊本地震。そのとき、夫婦で熊本に帰省していた。「立っていられないくらい」の激しい揺れ。予約していた飛行機が欠航になり、1日の延泊を余儀なくされた。幼少期から慣れ親しんだイオンモール熊本での爆発事故をはじめ、ニュースが伝える死者35人超という被害の大きさに、日々、胸を痛めた。 この夜が地震後、初めての登板。だが、「地震が起きたから頑張るというのはちょっと違う」と、特別な思いをあえて封印した。 「住まいを失ったり、避難生活を送ったり、電気、水道に困っている方に、いま野球を見る余裕はないと思う。だから自分は普段通りにやりたい」 プロ野球選手として、故郷にできることは何か。自問自答の末に一つの答えを導き出す。 「僕が活躍して応援してくれる人が増えることで、熊本に関心を持ってくれる人も増えると思う」 災害関連死を含めて211人が犠牲になった16年の熊本地震。早大3年だった当時は、東京六大学の募金活動に立つのが精いっぱいだった。10年が経過し、自らが行動、発信できる立場になった。 手始めに、まとまった寄付金を準備した。被災地で活動する団体に届く「支援金」が良いのか、自治体などを通じて被災者に直接届く「義援金」が良いのか。その違いを自分で調べ、最善策を模索する毎日だ。オフにはチャリティー・イベントや野球教室も思い描く。「長く、継続的に支援したい」。勝てば勝つほど、故郷の力になれるはず。そう信じて投げ続ける。(倉世古 洋平) ○…大竹(神)がDeNAに今季初勝利。6月17日楽天戦以来のシーズン4勝目で、チームと自身の連敗をともに2で止めた。DeNA戦は通算4勝3敗。今季は甲子園で2戦2敗を喫していたが、24年10月3日以来登板の横浜スタジアムでは、通算3試合で無傷の2勝目。