(2026/8/6 12:00)
トラックと連携で提案力
鉄道貨物がコロナ禍の低迷から脱却しようとしている。脱炭素化によるモーダルシフト、そして「物流の2024年問題」によってトラックドライバー不足が深刻化する中、中長距離物流の担い手として鉄道貨物が脚光を浴びつつある。名古屋臨海鉄道(名古屋市南区、白木禎社長)は27年3月期に2年連続でコンテナ輸送の増加を見込む。カギとなるのは小口配送の取り扱い。トラック会社と連携しつつ、中小企業の取り込みを図る。
「宅配便業者を利用する感覚で鉄道輸送も使ってほしい」。白木社長はこれまでの大口顧客に依存する体質からの脱却を目指す。名古屋臨海鉄道は伊勢湾を囲む名古屋港の東側約15キロメートルの路線を持つ。名古屋市南区のJR東海道本線の笠寺駅から臨海部に進み、愛知製鋼、日本製鉄名古屋製鉄所、大同特殊鋼などの事業所が立ち並ぶ工業地帯を南下する。
大口顧客は日本製鉄、大同特殊鋼、東亜合成、王子コーンスターチ(東京都中央区)など沿線に立ち並ぶ企業。トヨタ自動車も20年来の重要顧客だ。25年度は前年比9万トン増となる29万トン余りのコンテナを発送した。
増加の要因はコロナ禍を脱して取り扱い荷物が回復したのと同時に物流の2024年問題も後押しした。「名古屋を起点とすれば、東は仙台以東、西は岡山以西ならトラックと価格競争力を持つことができる」(白木社長)。同社は25年11月、沿線の地元商工会議所の会員27人を招き、鉄道貨物のメリットをアピールした。トヨタ関連の部品メーカーにも同社の見学を呼びかけ、「鉄道貨物が特殊な物流ではないことを理解してもらう」(同)。
日鉄名古屋製鉄所にほど近い名古屋南貨物駅(愛知県東海市)を16時45分に発車する便ならば仙台には翌日15時30分、札幌には翌々日3時に到着する。JR貨物との連絡輸送のためコンテナ一つから全国発送が可能だ。コンテナを持たない荷主には名古屋臨海鉄道のグループ会社が集荷することも可能だ。
小口荷主の開拓と同時に進めるのがトラック会社との連携。「かつては競争関係だったが、今は協力関係を作るべき時代」(同)。愛知県を中心に同社近郊のトラック会社が請け負う長距離便については、まず名古屋南貨物駅まで搬入し、その後、JR貨物の路線で長距離搬送し、遠隔地のターミナルから再度トラック便で配送する。「トラックと組めば顧客への提案力も増す」(同)と展望する。今後は倉庫会社もターゲットに据える。
4月、コンテナ貨物の基本運賃を9%値上げした。燃料コストや輸送機材の維持、さらには人件費も確保しなくてはならない。特に安全対策への投資は「高架橋耐震補強など後回しにすることはできない」(同)。3年後には機関車も更新する計画だ。
新たな顧客開拓に加え、基本運賃値上げへの理解活動。そうした顧客回りする営業担当者はグループ会社を含め3人。「私も営業の前線に出る」と白木社長も汗を流す。
(2026/8/6 12:00)