永住厳格化、矛先は外国人生活保護 許可ガイドライン改定案

 出入国在留管理庁は4日、外国人の永住許可ガイドラインの改定案を発表した。日本人世帯の平均を上回る年収水準や、その年収で厚生年金に30年加入していた場合の年金受給見込み額を求めることなどが柱だ。異例の大幅改定の背景には、外国人の生活保護利用に対する反対論があった。

 ■受給に反対論…政府、高い経済水準課す

 外国人政策の厳格化は石破政権で動き出し、高市政権で加速した。昨年10月に初代の外国人政策担当相に就いた小野田紀美氏のもと、政府は外国人が利用する制度の「適正化」を進めてきた。

 税金と社会保険料の未納や、医療費の不払い対策とともに、当初から見直し対象にあがっていたのが生活保護だ。

 政府は、外国人は生活保護法の対象にならないとの立場をとる。ただ旧厚生省が1954年に出した局長通知に基づき、人道上の行政措置として、在日コリアンなどの特別永住者、難民認定を受けた定住者、永住者らに支給している。

 厚生労働省によると、2024年度の受給者は国内全体で約200万8千人。世帯主が外国人の受給者(配偶者や子が日本人の場合も含む)は約6万5千人で、全体の3・24%だ。それでも外国人の生活保護受給には、与党や野党の一部から強い異論があがってきた。

 小野田氏も大臣就任前の2021年11月、自身のツイッター(現X)で「外国人への生活保護の廃止」を主張。永住者には収入要件があるのに許可後に生活保護を受けることも可能だとして、「そんな馬鹿な話ないでしょうよ」と疑問を呈した。「自活できない外国人は帰国が当然。生活の保証は国籍を持つ国の責任」とも書き込んだ。

 政府関係者によると、小野田担当相は「(日本の制度が)外国人のライフハック(生活術)にならないようにして」と指示しているという。

 参政党も昨年末にまとめた政策提言の中で、「外国人への生活保護支給禁止」を掲げている。

 こうした中、政府は今年1月にまとめた外国人政策の総合的対応策で、生活保護の支給対象者の見直しを検討すると明記。永住者についても、許可を得た後に要件を満たさなくなる場合があるとして、「独立の生計を営める」という要件などを見直す方針を示した。

 ただ、政府は在留資格別の受給データを網羅的につかんでいるわけではない。マイナンバーを使って把握できるようになるのは27年6月以降だ。このため、今回の改定に先立ちサンプル調査を実施。国内全体の受給率1・62%に対し、永住者は1・96%だったという。

 現行の永住許可ガイドラインも「公共の負担にならない」と定めていることから、政府は「審査を通った永住者の受給率としては高い」と問題視。永住許可後に生活保護を利用する可能性をできる限り排除するため、より高い経済水準を課すことにしたという。

 昨年末の在留外国人は約412万5千人で、在留資格別では永住者の約94万7千人が最多だ。近年は毎年2万5千人超増えてきたが、入管庁幹部は「新たな許可は大幅に減るだろう」と語った。

 ■「日本で働きたい人、減る恐れ」

 大阪で外国籍の人たちを支援する金光敏さんは「外国人が就く仕事は業界全体の賃金が低いケースも多く、日本人でも平均以下の年収で働く人が少なくない。制度として合理性があるか疑問だ」と改定案を批判する。

 例えば日本人と離婚したフィリピン国籍の女性の場合、10年以上在留し、正社員として介護の仕事をしている。在留審査の手数料が大幅に値上げされるのを前に申請を決めたが、年収は400万円に満たず、新たな要件には届かない。金さんは「すでに日本で暮らす人たちの意欲や希望をそぐだけでなく、日本で働きたいと思う人を減らし、経済的なブレーキとなる可能性もある。一部の排外主義的な考え方が、政府の判断を誤らせているのではないか」と危惧する。(二階堂友紀、浅倉拓也)

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