<主張> 原爆の日 核抑止から目を背けまい 

社説

広島市の原爆ドーム

広島は81回目の原爆の日を迎えた。9日には長崎も原爆の日を迎える。

先の大戦末期、米軍が広島へ投下した原爆で多くの人が亡くなった。生き残った人も原爆症に苦しんだ。

犠牲者を心から悼みたい。

日本は唯一の戦争被爆国として、被害の実相を語り継いでいかねばならない。核なき世界の実現は日本人の悲願だろう。

ただし、同時に肝に銘じておきたいことがある。それは、広島、長崎のような惨禍を繰り返さないために、平和を守る現実的な手立てを講じなければならないという点だ。

核兵器廃絶への現実的道筋は見えていない。それどころか今、核の脅威は高まっているからだ。

ウクライナ侵略を続けるロシアは、核兵器の使用をしばしばちらつかせる。核軍拡を進める中国は7月、原子力潜水艦から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を南太平洋へ発射した。米国本土や欧州を核攻撃できる能力を誇示したものだ。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、2月の党大会で核兵器の増産方針を示した。6月に核関連工場を視察した際には、核戦力を幾何級数的に増やす計画に言及した。

米国がイランへの攻撃に踏み切ったのは、テロ勢力を支援するイランの核兵器開発を阻む狙いがあった。

日本は、中国、北朝鮮、ロシアという、核武装した反日的な専制国家に囲まれている。

何より求められるのは、核攻撃やその脅しから日本と国民を守るために必要な備えは何かという視点だ。

小泉進次郎防衛相は7月、訪問先のベルギーで記者団に対し、フランスが「核の傘」を欧州各国へ拡大しようとしていることや、仏独が核抑止演習を実施することを指摘し、「(日本も)あらゆるタブーなく議論をしなければ、もはやどの国も一国で安全保障を確立することはできない」と語った。防衛相として当然の問題意識の披露であろう。

現代の科学技術では、核攻撃を防ぎきる術(すべ)はない。自国または同盟国の核兵器を有効な核抑止力として備えなければ安全と自由、独立は保てない。日本を実際に守るには、確かな核抑止態勢が欠かせないのである。

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