以前にも書いたことがあるが、学園ドラマは時代を映すといわれる。元暴走族の教師、鬼塚英吉が活躍するドラマ「GTO」の続編が関西テレビ・フジテレビ系で放送されている。
教師の成り手不足に悩む文部科学省がこのドラマと「タイアップ」していると聞き、楽しみに見ている。
GTO(グレート・ティーチャー・オニヅカ)は、私のような高齢世代には「金八先生」ほどには知られていないが、若者に人気がある同名の漫画が原作で、前作の連続ドラマは平成10年夏に放送された。約30年を経た令和版は50代になった鬼塚先生が、スマートフォンやタブレットが手放せない、どこか冷めた現代の高校生らに向き合う。
文科省は、俳優の反町隆史さん演じる鬼塚先生の写真とともに「あなたに出会うのを、待っている生徒がいる」「教師という仕事に興味を持った方へ」と、教師の魅力発信に努めるポスターを作成し、全国の高校や大学などに配布している。文科省が推す教師像として賛否はあろうが、生徒らのため体当たりで働く教師が得難いのは確かだ。
文科省がこうしたポスターをつくるのも、裏返せば教職が近年、忙しくきつい仕事だと敬遠され、志望者が思うように増えない現状がある。
公立小・中・高校の教員採用試験の倍率は、平成10年当時を例にすると、平均で10倍を超えていた。しかし、最近は2~3倍に低迷している。産休などで休む教師の穴が埋まらない問題も起きている。
教師の勤務実態の国際比較などによると、確かに日本の教師の残業時間は長い。保護者からの学校への要望なども多様化し、忙しさが増している。
文科省は、事務業務をサポートする職員の配置増や部活動の地域移行を含めた教師の働き方改革、給与・手当増など待遇改善を進めている。教育行政についてまとめた文部科学白書が先ごろ発表されたが、そうした待遇改善を含め、教師に優れた人材を確保するための環境整備などを特集している。
特集は「教師が子供一人一人と向き合える学校へ」と題し、「働きやすさ」と「働きがい」の実現に向けて―と副題を掲げている。その実現を期待するが、残業時間の削減ばかりに目が向き、かえって働きにくい職場となっては困る。
本コラムでなにより求めたいのは鬼塚先生のような型破りな教師を含め、意欲ある人材が集まり、情熱を失わず、腕を振るえる学校づくりだ。
教師は何より、やりがいがある、かけがえのない仕事だ。教師は家族以上に子供たちと時間をともにしていることもある。
元気に見えても、言葉にできないつらい体験をしている子供たちもいる。以前、震災があった地域で学校が再開できないとき、避難所をまわり、子供たちの頭をやさしくなで、黙って抱きしめる教師の姿があった。「子供たちと体験をともにしているからできることがある」という教師の言葉を聞いたことがある。
教師の多忙さがことさら注目されがちだが、「学校が地域に何ができるか」双方向の発想で、地域の人々と協力して学校の魅力を増す取り組みもある。学校の事なかれ主義や閉鎖性を排し、意欲ある教師が思い切り働ける施策を期待する。(論説委員)