男性加害者へ“ヒムパシー”が生まれる背景とは?
「男性優位社会」と“感情的な男”のホモソーシャル構造
最近、女性被害者がいる事件であっても、なぜか男性加害者に同情する声が男性たちからあがることが少なくありません。被害者のつらさを想像するよりも、加害者を「そこまで追い詰められたんだね」と擁護するような発言がSNSなどで拡散されることも。こうした現象は、英語で「Himpathy(ヒムパシー)」とも呼ばれ、“男性優位社会で男性同士が共感しあうホモソーシャルな仕草”として注目を集めています。男性加害者への妙な“同情”が生まれる背景には、いったいどんな社会構造や心理が隠されているのでしょうか?
■ 「ヒムパシー」とは?
“ヒムパシー”は、女性被害者よりも男性加害者へ強く共感や同情が向かう現象を指す言葉です。英語の「him(彼)」と「sympathy(共感)」が組み合わさった造語で、日本語では「男性優位社会でよく起こる現象」として紹介されています。
加害者寄りの同情
事件やトラブルの被害者が女性の場合でも、男性間で「彼も可哀そう」「追い詰められたんじゃないか」といった声があがることがある。被害女性の苦痛や背景を軽視しがちになり、結果として被害者が二次加害を受ける構造です。
■ 実は「男はかなり感情的」?
「女性は感情的だ」「男性は論理的だ」と言われがちですが、実際には男性同士で結びつくと強い“感情的共感”が働くケースがあります。そこには以下のような特徴があると指摘されています。
ホモソーシャルな絆
男性同士の仲間意識や“身内意識”が強く働き、「男同士ならわかるだろう」「あいつも苦しかったんだよ」と相手の行動を正当化しがち。被害者の心情を想像しにくい
男性優位社会では「女性が置かれている状況」を理解する機会が少なく、加害行為に至った男性の背景ばかりクローズアップされてしまう。
■ なぜ男性加害者に同情が集まりやすいのか
男性優位社会(パトリアーキー)の構造
歴史的・文化的に男性が主導権を握る社会構造が根強く、男性同士のネットワークや価値観が中心になりやすい。結果、「男が追い込まれる辛さ」にだけ焦点が当てられ、女性被害者の視点が軽視されやすい。被害者の痛みが“見えづらい”
暴力や差別の被害は、外部からはわかりにくいことが多い。特にセクハラやDVなどは密室で行われるケースも多く、周囲の男性にとっては他人事と捉えられがち。感情を封じられた男性同士の共感欲求
「男性は感情を出さないほうがいい」という社会規範がある一方で、実は強い共感や感情を抱えていることも少なくありません。それが“男性加害者”に肩入れするかたちで表面化し、被害者の痛みを二の次にしてしまう可能性があります。
■ ヒムパシーを乗り越えるには?──視点を広げ、多面的に理解する
女性被害者の視点を尊重
当事者である女性の声を聞き、被害の背景や心情をしっかり想像することが第一歩。事件やトラブルで声を上げられない被害者も多いので、メディアリテラシーや情報収集が欠かせません。“男同士”の思い込みを疑う
男性が男性加害者を擁護する空気に流されそうになったら、“もし自分が加害の対象になったらどうか”“被害者の立場で考えるとどう感じるか”を意識してみる。こうした視点の転換がヒムパシー現象を抑制します。多様な意見を取り入れる
男性中心のコミュニティだけでは偏った情報しか入らないことが多いです。女性やLGBTQ+など異なる立場の人の声にも耳を傾け、考えをアップデートすることが大切です。
■ まとめ:男性加害者への“ヒムパシー”が見え隠れする社会を変えるために
女性被害者より男性加害者を慮る風潮が根強いのは、男性優位社会やホモソーシャルな構造の表れです。「男は論理的で女性は感情的」と言われがちですが、実際には男性も“感情的”に仲間同士をかばう場合が少なくありません。
性別を超えた人権意識の定着や、被害者の視点を尊重する文化が根づけば、加害行為自体を正当化しにくい環境へと変えていくことができるでしょう。ヒムパシーの問題点に気づき、多様な視点を取り入れながら、加害者と被害者の温度差を埋める取り組みを進めていくことこそが、より公正な社会を目指すうえで不可欠なのです。


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