AIで入試の不正を防ごうとしたメキシコの名門大学、満点が続出 数千件の不正
何が問題だったのか
今年の試験は5月と6月の週末に実施され、メキシコ全土で15万人超が2万1962人の入学枠を争った。
その1カ月後、結果発表の直前になってUNAMは驚くべき発表を行った。試験の2%に当たる約3000件を無効にしたというのだ。「募集要項と大学規則に定められた内容に反する行為」が検知されたことが理由だという。
当時、大学はそれ以上の詳細を明らかにしなかったが、その後、満点の回答が異様に多かったことが判明。一部の受験生がAIツールを使ったり、問題を事前に入手したりして不正を働いた疑いが浮上した。
事態の調査を任された技術委員会のアルマ・マルドナド氏によれば、満点を取った受験生の数は例年と比べ3倍に増えた。また、正解が1問もなかったり、1~2問しかなかったりした受験生の数も増えたという。
一方、TikTok(ティックトック)などのSNSでは、試験監視システムをだます方法を紹介しているとされる動画が相次いで拡散している。
受験したダニエル・フローレス・ミランダさんはCNNに、自分に代わって試験を解くコンピュータープログラムを知人から持ちかけられたと語った。
価格は2500ペソ(約2万3000円)で、ミランダさん自身は利用しなかったが、利用して合格した人を知っているという。
今後どうなるのか
AIへの依存が大きすぎ、人間による監視が不十分だったと一部受験生が苦情を申し立てる中、UNAMから試験の実施を請け負った企業テリトリウム・ライフは同社の監視システムを擁護している。
同社は技術委員会に宛てた書簡で、システムは「計画通り稼働した」とし、その完全性は「技術インフラだけに依存するものではない。切り離すことのできない二つの要素、つまり技術面の安全性と学術面の安全性を連携させる必要がある」と述べた。
UNAMは先月31日、委員会の調査結果を受け取り、一部の受験生が試験中に携帯電話や協力者をつかって不正を働いたことが判明したと発表した。他人になりすましたケースもあったという。
これを受け、大学は、今年または過去5年間のいずれかで合格点を取ったすべての受験生、約5万8000人を対象に、今度は対面で確認試験を実施すると発表した。
UNAMのロメリ学長は今回の試験を実施するにあたり、すべての受験生に「倫理的な行動」を示すよう求めた。
「不正のたくらみは、大学を傷つけるだけではなく、社会全体を傷つけ、社会構造をむしばむ。撲滅しなければならない行為だ」