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ランチョンセミナー @第30回日本看護管理学会学術集会GemMed塾

有床診療所は2026年5月末に5022施設・6万5731床に減少、すでに「5000施設を割っている」可能性—医療施設動態調査

2026.8.3.(月)

有床診療所は、本年(2026年)5月末時点で5022施設・6万5731床に減少した—。

現在のペースで進めば、本年(2026年)7月末までに5000施設を切り、同じく8月末までに6万5000床を割る。さらに来年(2027年)12月末には6万床を割り込んでしまう可能性が高い—。

厚生労働省が7月31日に公表した医療施設動態調査(2026年5月末概数)から、こうした状況が分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2026年5月末時点における医療施設の施設数とベッド数(医療施設動態調査26.05 260731)

有床診療所は5022施設に減少、2026年7月末に5000施設を割った可能性高い

厚労省は、毎月末の医療機関(病院・診療所)施設数・ベッド数を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、その前の月末の状況はこちら)。

本年(2026年)5月末の医療施設数を見ると、全国では17万8696施設で、前月末(2026年4月末)から107施設の増加となりました。

このうち病院の施設数は7949施設で前月末から2施設の減少。種類別に見ると、▼一般病院:6897施設(前月末から2施設減)▼精神科病院:1052施設(同増減なし)—となりました。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3250施設で前月末から2施設減少、「地域医療支援病院」は721施設で前月末からの増減はありません。病院数の減少が「経営難によるもの」なのか、「その他の理由によるもの」なのか、今後の分析を待つ必要があるでしょう。

医科クリニックに目を移すと、施設数は10万5690施設で、前月末から121施設の増加。内訳は、無床クリニックが131施設増加(10万668施設)、有床クリニックが10施設減少(5022施設)となりました。



医科有床診療所の施設数推移を見ると、2年前(2024年5月末)には5511施設1年前(2025年5月末)には5240施設でした。2024年5月末から2025年5月末までの1年間で271施設減少、そこから本年(2026年)5月末(5022施設)までの1年間で218施設減少しています。有床診療所の施設数は、2025年5月末以降、次のように推移しています。

▼2025年5月末:5240施設
↓(27施設減)
▼2025年6月末:5213施設
↓(20施設減)
▼2025年7月末:5201施設
↓(18施設減)
▼2025年8月末:5183施設
↓(23施設減)
▼2025年9月末:5160施設
↓(12施設減)
▼2025年10月末:5148施設
↓(17施設減)
▼2025年11月末:5131施設
↓(14施設減)
▼2025年12月末:5117施設
↓(24施設減)
▼2026年1月末:5093施設
↓(13施設減)
▼2026年2月末:5080施設
↓(24施設減)
▼2026年3月末:5056施設
↓(31施設減)
▼2026年4月末:5032施設
↓(10施設減)
▼2026年5月末:5022施設



直近1年間は、1か月当たり「18施設強」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、本年(2026年)7月末に5000施設を切る計算であり、本稿公開時点では「すでに5000施設を切っている」可能性が高いと思われます。

有床診療所のベッド数は6万5731床に減少、2026年8月に6万5000床を割る可能性

次に病院・診療所の病床数(ベッド数)を見てみましょう。

医療機関全体では、本年(2026年)5月末時点で150万7631床となり、前月末から294床の大幅減少となりました。

このうち病院病床数は144万1838床で、前月末から83床減少しています。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:86万3665床(前月末から60床増加)▼療養病床:26万2813床(同64床減少)▼精神病床:31万177床(同49床減少)—などとなりました。このうち療養病床の減少については「介護医療院等への移行」などが大きく関係しています。また、精神病床の減少については「入院から地域(外来通院)への移行」が進んでいることが強く関係しています。こうした点にも留意してベッド数の動向を眺める必要があります。

他方、有床診療所の病床数は前月末から211床減少し、6万5731床となりました。

有床診の病床数は2年前(2024年5月末)には7万3745床1年前(2025年5月末)には6万9659床でした。2024年5月末から2025年5月末までの1年間で4086床減少、そこから本年(2026年)5月末(6万5731床)までの1年間で3928床減少しています。2025年5月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2025年5月末:6万9659床
↓(573床減)
▼2025年6月末:6万9086床
↓(299床減)
▼2025年7月末:6万8787床
↓(329床減)
▼2025年8月末:6万8458床
↓(668床減)
▼2025年9月末:6万7790床
↓(204床減)
▼2025年10月末:6万7586床
↓(235床減)
▼2025年11月末:6万7351床
↓(244床減)
▼2025年12月末:6万7107床
↓(221床減)
▼2026年1月末:6万6886床
↓(218床減)
▼2026年2月末:6万6672床
↓(445床減)
▼2026年3月末:6万6227床
↓(285床減)
▼2026年4月末:6万5942床
↓(211床減)
▼2026年5月末:6万5731床



この1年間では、1か月当たり「327床強」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、本年(2026年)8月末に6万5000床を切り、来年(2027年)12月には6万床を切ってしまう計算です。



有床診は、▼将来の地域包括ケアシステム(要介護状態になっても住み慣れた地域で在宅生活を継続可能とする仕組み)▼現在の医療提供体制―のいずれにおいても重要な構成要素の1つです(2次医療圏の中には、総ベッド数の4分の1が有床診である地域もある)。有床診の減少は、現在および将来における地域医療・介護提供体制の脆弱化を招きかねません。2024年5月31日に開かれた「新たな地域医療構想等に関する検討会」でも、こうした点が有床診サイドから強調されました。

厚労省は、2018年度診療報酬改定(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営を支援するために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

また2020年度診療報酬改定では、各種加算の引き上げなどの見直しが行われました(関連記事はこちら)。

さらに、2022年度診療報酬改定では、例えば次のような見直しが行われています(関連記事はこちら)。

【初期加算の細分化と充実】
〇有床診療所入院基本料
他院の急性期病棟からの転院患者、介護施設や自宅等からの入院患者受け入れを評価する【有床診療所一般病床初期加算】(1日150点、14日)

▼急性期病院からの転院患者受け入れを評価する【有床診療所急性期患者支援病床初期加算】(1日につき150点、21日を限度)
▼介護施設や自宅等か他の入院患者受け入れを評価する【有床診療所在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点、21日を限度)

〇有床診療所療養病床入院基本料
他院の急性期病棟からの転院患者、介護施設や自宅等からの入院患者受け入れを評価する【救急・在宅等支援療養病床初期加算】(1日150点、14日)

▼急性期病院からの転院患者受け入れを評価する【有床診療所急性期患者支援療養病床初期加算】(1日につき300点、21日を限度)
▼介護施設や自宅等か他の入院患者受け入れを評価する【有床診療所在宅患者支援療養病床初期加算】(1日につき350点、21日を限度)

【新加算の創設】
〇有床診療所療養病床入院基本料において慢性維持透析患者受け入れを促すために、新たに【慢性維持透析管理加算】(1日につき100点)を創設する(対象は人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、血漿交換療法、腹膜灌流を行っている患者)

〇産婦人科・産科に従事する常勤医師を3名以上配置し、常勤助産師を3名以上配置し、年間分娩件数120件以上等の基準を満たす有床診療所が地域周産期母子医療センターと連携して、▼40歳以上の初産婦▼子宮内胎児発育遅延の患者▼糖尿病の患者▼精神疾患の患者—で、医師が地域連携分娩管理の必要性を認めた患者に対して適切な分娩管理を行うことを【地域連携分娩管理加算】(3200点、【ハイリスク分娩等管理加算】の下部項目)として新たに評価を行う



また、2024年度の診療報酬改定では、意思決定支援の強化、訪問リハや訪問栄養食事指導、医療ショートなどの実施推進といった機能強化に力が入れられました。

あわせて、今般の2026年度診療報酬改定では入院基本料の引き上げが行われました。

有床診の減少状況を見ると、これまでの診療報酬改定によるテコ入れ効果は十分には現れていませんが、今後の状況を注視する必要があるでしょう。

なお、診療報酬では解決できない問題(後継者不足など)もあり、その点にどのように対応していくのかも今後の重要な検討テーマとなります。



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