小学館『マンガワン』問題の調査報告書を読んで
こんにちは。シチズンジャーナリストの榊正宗です。
今回取り上げるのは、表現の自由と、加害した人の創作復帰をどう考えるべきかという、非常に慎重な扱いを要する問題です。
問題の性質を踏まえ、茶化したり面白おかしく扱ったりせず、事実と当事者への配慮を忘れないよう、真摯に書いています。
内容が複雑で、慎重な検討を要するため、第3章以降は有料記事とさせていただきます。
第1章 簡単な善悪では整理できない問題
小学館は2026年8月3日、『マンガワン』における原作者の起用問題などについて、第三者委員会の調査報告書を公開した。本文106ページに及ぶ報告書である。読んでいる途中、私は何度も手が止まった。
これは、「犯罪歴のある漫画家を起用した小学館が悪い」という一言で終わらせてよい問題ではない。加害行為をした人間は、二度と創作してはいけないのか。刑罰を受け、責任を負い、反省したとしても、人生をやり直すことは許されないのか。
一方で、被害を受けた人の苦しみが続いているのに、出版社と作者だけで「もう終わったこと」と判断し、活動を再開してよいのか。表現の自由はどこまで守られるべきなのか。出版社は作者の人生をどこまで支えるべきなのか。被害者の尊厳と、加害した側の更生をどうすれば両立できるのか。
簡単な答えはない。だからこそ、「悪い人間を追放すれば解決する」という話にも、「刑罰を受けたのだから、もう済んだ」という話にもしたくない。クリエイターとして、できる限り真剣に考えてみたい。
第2章 私は永久追放を求めない
最初に、私の立場を明確にしておきたい。一度でも重大な加害行為をした人間は、二度と絵を描いてはいけない。物語を書いてはいけない。商業作品に関わってはいけない。私は、そうは思わない。
人は過ちを犯す。その責任を負い、被害と向き合い、自分自身を立て直しながら、社会へ戻っていく必要がある。創作が、その人にとって社会へ戻るための道になることもある。犯罪歴を理由に、生涯にわたって仕事も表現も奪い続けるなら、それは更生ではなく、永久追放に近づいてしまう。
しかし、だからといって、今回の『常人仮面』への復帰が適切だったとは思えない。率直に言えば、あまりにも早すぎた。
ここでいう「早すぎた」は、刑事処分から二年しか経過していなかった、三年しか経過していなかったという、カレンダー上の数字だけの話ではない。問題は、その時間の中で、本人が何に向き合い、何を変えようとしていたのかである。
示談は成立せず、被害女性との紛争は続いていた。少なくとも『常人仮面』の連載開始時点では、被害女性が提起した民事訴訟も係属しており、被害救済も実現していなかった。本人が自分の行為を、被害女性に対する加害としてどこまで認識していたのかについても、報告書には疑問が残る記述がある。
その状態で、編集部側から新しい仕事が提案され、別名義が用いられ、原作者として商業連載へ復帰していた。これは、本当に「再出発」だったのだろうか。私には、責任と向き合った末の復帰ではなく、問題を外部から見えにくくしたうえで、創作活動だけを先に再開させたように見えてしまう。
――ここから先は有料部分です――
第3章 山本章一氏をめぐって何が起きていたのか
『堕天作戦』の作者である山本章一氏は、北海道青少年健全育成条例違反の容疑で逮捕され、その後、児童ポルノ禁止法違反で略式命令による罰金刑を受けていた。小学館は2020年、その事実を把握していた。
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とても濃密なレポートありがとうございます。イチイチ頷いたり納得して読ませて頂きました。またGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポー氏の件も本件とダブるなと思いました。