【プランナーも“作る側”になる時代へ】 250人の大規模ゲーム開発のセクションリードが語る、転職理由
村上雄亮さん
慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科
高校時代からUnityでの個人制作経験を持ち、新卒で大手ゲーム企業に入社。
ソーシャルゲームのプランナーとして、新規プロジェクトの立ち上げ期からインゲーム設計・商材設計・マネジメントを担当。
その後、SpiralAIに参画。現在はAIエンタメプロダクトのフロント・UI/UX・実装まで幅広くカバーし、少人数体制でのスモール開発を推進している。
「ゲームへの2万5000時間」と「消費行動への興味」が、キャリアの起点だった
Q: まず大学時代を振り返ると、どんな学生生活でしたか?
慶應のSFCにいました。SFCってメディアアートとかデザイン系が盛んで、ちょっと芸大っぽいクリエイティブな雰囲気があるんです。
自分はどちらかというと、そうしたクリエイティブな領域というより、裏方で黙々と理数系の研究をしているタイプでした。
当時は生活にあまり余裕がなくて、「就職しないとやばい」という焦りもありました。
そこから「そもそも人ってなんでお金を使うんだろう?」っていう、人間の消費活動への興味が湧いてきました。
就職先を探すときも「人間の消費活動が垣間見られる場所」で「ある程度クリエイティブがある場所」という条件で探していて、自分の中で一番強いインプットがゲームだったんですよね...
ちなみに、一番長くやっているゲームはたぶん2万5000時間くらいやっています。
Q: 2万5000時間...全然想像つかないです。やっぱり、それだけゲームに触れてきた経験が、ゲーム業界を選ぶ理由にもつながっていたのでしょうか?
そうですね。
子どもの頃から幅広くゲームに触れてきたので、ゲームに対する知識や熱量には自信があって、自分の強みを活かして勝負できるんじゃないかと考えたのがきっかけでした。
特に興味があったのは、KPIを見ながらユーザーの反応を追い、改善していくソーシャルゲームの領域です。
人がなぜそのコンテンツに時間やお金を使うのかを、クリエイティブと数字の両面から見られるところに強く惹かれましたね...!
あとは、最初の企画からリリース、その後の運用まで、プロダクトが立ち上がっていく一連の流れを経験してみたくて前職を選んだんです。
新卒1年目から、少人数の企画チームで鍛えられた前職時代
Q: 入社した当時の配属って、どんな環境だったんですか?
最初からプランナー職で、ちょうどプロトタイプから初期開発に入るくらいのタイミングのプロジェクトに配属されてました。
当時担当していたのは、「インゲーム」と呼ばれるソーシャルゲームのバトル部分の設計でシステムを考えたり、ガチャで登場するキャラクターや武器まわりの設計も担当していましたね...
プロジェクトの立ち上げから、リリース、初期運用まで、ゲーム開発の一連の流れを経験できたので、今振り返ってもかなり濃い時間だったなと思います。
Q: メガベンチャーでのゲーム開発は、企画段階から大人数で進めるイメージがありますが実際はどんな雰囲気ですか?
最終的には250人くらいのチーム規模になるのですが、初期開発の企画メンバーは4〜5人の少数で進めていく体制なので、新卒で入社したばかりではありましたが、かなり早い段階から企画設計に関わらせてもらっていました。
自分で考えて、設計して、提案し続けるような日々でしたね!
Q: 新卒のタイミングでそこまで任されるのは、かなり大変そうですね....
どちらかというと、楽しかったですね!
もともと個人制作にも関わっていたので、ゲームをつくること自体が好きでしたし、新卒ならではの「知らないからこそ挑戦できる自信」みたいなものもありました。
もちろん、わからないことも多かったのですが、わからないことすら楽しいなと思っていました!
「業界構造と時代のミスマッチ」――前職を離れSpiralAIへ
Q: 前職での経験を活かすなら、外資の大手ゲーム会社という選択肢もあったと思いますが、そこを選択しなかった背景とかありますか?
うーん、そうですね。
ゲーム開発って、基本的にいろいろな制作ラインがあるんです。
音楽、3Dモデル、アニメーション、2Dイラストなど、関わる領域が多いので、どうしても時間も制作費もかかります。
でも、そこまで大きなコストをかけたとしても、実際に売れるかどうかは、時代の流れやユーザーの興味の移り変わり、競合の状況などにも大きく左右される。
そう考えると、ゲーム開発には“大きな投資を伴う挑戦”の側面があるなと感じていました。一方で、今はコンテンツの消費速度がすごく上がっている…
だからこそ、もっと今の時代のスピード感に合わせて、新しいコンテンツの形に挑戦できる環境に行きたいと思うようになりました。
そのタイミングで、SpiralAIがAIを活用してエンタメ領域に挑戦していることを知り、強く興味を持ったのがきっかけです。
Q: AI×エンタメという領域の、どんなところに可能性を感じたのでしょうか?
AIエンタメは、新しいコンテンツ消費の形として、確実に立ち上がってきている印象がありました。
ChatGPTが広く使われるようになって、AIって単なる検索ツールというより、悩みを相談したり、日常的に会話したりする存在になってきているなと思っています。
一方で、大手IPもグッズやイベント、SNSなどを通じて、作品を一度見て終わりではなく、生活の中に自然に入り込んでいく流れがありますよね。
今後、AIでキャラクターをつくるハードルが下がっていくほど、差別化の鍵になるのは「つくること」そのものではなく、ユーザーの日常にどれだけ自然に溶け込めるかだと思っています。
そう考えていくと、AIとIPってかなり相性がよくてSiralAIの目指す AI×エンタメの領域で、その新しい接点を探していくのは面白そうだなと感じました。
大手IPと組みながら、スタートアップのスピードで挑戦できる環境
Q: 実際にSpiralAIに入ってみてどうでしたか?
スタートアップらしいスピード感のエンジンが搭載されている会社だなと思いました。
みんなハングリー精神で、モチベーションが高くて、俊敏に動ける座組みがある。
それと、大手のような強いIPと組みながらも、みんながスタートアップ的にスピーディーに動ける、という両立ができている会社って珍しいなと。
Q: 働き方や開発環境に、変化はありましたか?
そうですね。働き方というより、開発環境の変化が大きかったです。
前職では、仕様を作って、関係者に共有して、エンジニアと認識を合わせて、実装してもらう、という流れで開発を進めていました。
でも今は、大まかな仕様を決めたら、サーバーエンジニアと必要な部分だけすり合わせて、クライアント側の実装は自分で進めていけるんです。
AIを使うことで、「誰かに伝えて、理解してもらって、実装を待つ」という工程がかなり減りました。
思いついたことをすぐ形にして、試して、修正できるので、PDCAのスピードは大きく変わったと思います。
Q: 自分で実装まで進められると、 担当範囲もどんどん広がっていきそうですね!
どんどん広がっていますよ!
UI/UXもフロントも見ていますし、社内のキャラクター開発ツールからクライアント側にどうデータを渡すか、といった設計も勉強しながら進めています。
キャラクターへの細かいプロンプトチューニングは別のメンバーが深く見ていますが、それ以外の実装や設計、検証にはかなりAIを活用しています。
正直、AIを使っていない領域はほとんどないですね。
実際にAIによってスモール開発がかなり現実的になってきていて、海外では「誰でもアプリを出せる」ような流れがどんどん進んでいます。
一方で、日本はまだこれからの部分も大きい...
だからこそ、今のうちにいろいろなプロダクトを出して、AIエンタメがどのように受け入れられるのか、どこに可能性があるのかを見ていきたいです。
AIで作れる時代に、次は「愛される自社IP」を育てたい
Q: 今後、SpiralAIで特に挑戦していきたい領域はありますか?
自社IPですね。
AIによって、コンテンツやIPを作るハードルは今後さらに下がっていくはずです。
そうなると、ただ開発できるだけではなく、「どうヒットさせるのか」「どうプロデュースするのか」がより重要になります。
デベロッパーとして開発基盤を持つことはもちろん大事ですが、それだけではいずれ差別化が難しくなるかもしれない...
だからこそ、自分たちの会社に軸となるIPがあることは、すごく強い武器になると思っています。
Q: SpiralAIとして、自社IPをどう育てていきたいですか?
まずはプロダクトを出しながら、社内の開発基盤をしっかり作っていきたいです。
そのうえで、自社IPを育てて、そのIPを軸にアプリやさまざまなコンテンツを展開していく。
AIの力を使って、キャラクターやIPがユーザーの日常に自然に入り込んでいくような体験を作れたら面白いなと思っています。
最終的には、そのIPがちゃんと愛されるものになっていくといいですね。



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