入試に「男子枠」を導入する大学が出てきている。理系に進む女性を増やそうと、理工系学部で「女子枠」入試が広がる一方、男子枠は何をめざしているのか。
初の男子枠で22人が入学
東京都千代田区に本部を置く東京家政学院大。創立から約100年の間、女子のための教育機関だったが、全学部で共学化した2026年度の入試から男子限定の定員「男子枠」を導入した。
男子枠は、学校推薦型や総合型選抜(旧AO入試)の中に設置し、全体の定員の約1割、50人程度とした。この春、初の男子枠で入学したのは22人。他の入試方式と合わせて、大学全体では57人の男子学生が入学。入学者全体の4分の1を占めた。
「家政学は男性も女性も関係ない学問。共学化したこともあり、大学としても一気に男子学生を増やしたかった」。入試を担当するチーフアドミッションオフィサーの志村知美さん(52)は、男子枠導入の理由をこう話す。
加えて、受験しにくい学生の「口実になれば」と考えたからだという。
受験前の下見でオープンキャンパスに来た男子生徒たちは、女子ばかりの空間に遠慮しているように見えた。高校を訪問すると、男子生徒が家政学を学ぶことに難色を示す教員もいた。受験に興味を持つ男子生徒を、「男子も歓迎する」と後押しする必要を感じたという。
男子学生を増やすことは、女性の多い資格職につく男性を増やすことにもつながるという。
家庭科教員、男子生徒がめざせる大学は少なく
2026年度に入学した男子…
- 隠岐さや香東京大学教育学研究科教授=科学史視点いまなら試し読み
最近、SNSなどで理工系学部の「女子枠」入試が心ない誹謗中傷にさらされている。そのことばかりに気を取られていたら、家政学や看護学の「男子枠」入試が出現していた。時代の変化は人々の気づかぬうちに先へ先へと進んでいる。 そもそも、「女子枠」入試も十年近く前から存在していた。私は以前、名古屋で働いていたときに、ある大学の関係者がその趣旨を語るのを聞いたことがある。やはり枠を作ることで、それまで尻込みしていた人が「自分は歓迎されるのかも」と受験を検討するようになったという。そして、しばしばそうした受験者の成績はよいらしい。 性別だけに着目した入試のやり方は、他の国にはあまりないということで批判する人もいる。確かに、経済格差や地域格差に目を向けた入試を行うなど、他の方向性を考える事は大事だろう。だが、まずは思い込みにとらわれず、個々人にあった進路の可能性を広げる試みとして「女子枠」や「男子枠」が既にあり、一定の成果をあげている。その現実を否定する必要は何もないだろう。
2026年8月4日 12:00 - 白川優子国境なき医師団看護師・作家視点
最近は、女性が、かつては男性の世界とされてきた分野へ挑戦・進出しても、以前ほど特別視されることは少なくなってきたように思います。そう考えると、その逆、男性がこれまで女性が多かった分野へ進むことも、本来は不自然な流れではありません。進路選択の
2026年8月4日 12:00