「八王子旋風」なぜ起きた? 「弱い地域」変えた切磋琢磨の30年
配信
7月の第108回全国高校野球選手権西東京大会では、八王子実践が初優勝し、明大八王子がベスト4、聖パウロ学園がベスト8と八王子市にある高校の活躍が目立った。背景の一つにあるのが、市内の私学でつくる「八王子リーグ」の存在だった。 【写真】「八王子ダービー」となった八王子実践と明大八王子の西東京大会準決勝。八王子実践が七回に2点を勝ち越し、4―2で勝った=神宮、瀬戸口翼撮影 発案者である明大八王子顧問の石田高志さんによると、リーグは約30年前に始まった。当時は八王子市の高校が春夏を通じて一度も甲子園に出場していなかった。 その頃は秋の都大会の予選で早々に敗れると、翌春の都大会にも出場できず、夏の西東京大会まで半年以上も公式戦がなかった。石田さんは「弱いところはいつまでも弱いという状況を何とか変えたかった」と振り返る。 地域全体の底上げを目指し、石田さんは各校に声をかけてリーグを立ち上げた。 ■公式戦さながらの緊張感 現在のリーグは、市内の明大八王子、工学院大付、八王子、八王子実践、聖パウロ学園で構成。毎年、夏の大会が終わった後に、1・2年生による新チームが数日をかけて総当たり戦を行う。 リーグは単なる練習試合ではない。公式戦同様、コールドもある。公式戦さながらの緊張感の中で経験を積み、チーム力を高める。 試合後の意見交換もリーグの特徴だ。監督同士で「あの場面はバントより、ヒッティングでこられた方が本当は嫌だった」「あの選手の起用法はこうしたら」と本音で語り合う。対戦相手として感じたチームの長所や弱点を、他校の監督に選手へ話してもらうこともある。石田さんは「監督によって得意分野や見方が異なるので、様々な視点を学ぶことができる」と話す。 「リーグで戦っているメンバーは仲間」と石田さんは話す。八王子実践の河本ロバート監督も同校の選手時代にリーグに出場しており、長年の付き合いがある。そのうえで「お互いに負けたくないという思いがある。切磋琢磨(せっさたくま)する形になっているのかなと思います」とライバル心も認める。 ■八王子勢が西東京の勢力図を変える? 西東京大会では、昨夏の甲子園準優勝の日大三や、2017年夏の甲子園4強の東海大菅生、06年に全国制覇した早稲田実が強さを誇ってきた。 八王子勢の活躍は、勢力図を変えていく可能性もありそうだ。この夏、準決勝で明大八王子との「八王子ダービー」を制した河本監督は「八王子市が盛り上がることは、野球をする地域の子どもたちにとってすごくプラス」と話し、「将来的には決勝も八王子ダービーになったら面白い」と期待を寄せる。 16年に市内から初めて甲子園へ出場した八王子は、1回戦で日南学園(宮崎)に1―7で敗れた。河本監督はその歴史も意識し、「まずは八王子の高校として初勝利を挙げたい」と意気込む。(小池寛木)
朝日新聞社
- 20
- 42
- 26