骨太の方針は「ばくち」、 イオンモール熊本にサブウェイも入店 渡邉美樹

経営者目線

令和6年にイオンモール熊本を視察した

イオンモール熊本には、サブウェイも入店していて私も約1年前に視察で訪れた。サブウェイの従業員の無事は確認できたが、爆発事故で亡くなられた方に深くお悔やみを申し上げるとともに、今回の令和8年熊本地震で、被災されたすべての方に心からお見舞いを申し上げます。

日頃、財政再建を主張している私も、こうした時こそ予算を使い、被災地に寄り添うべきと強く思う。平時に赤字国債を常態化するのでなく、災害などの緊急時の財源手段として信認を保つ必要を改めて感じる。

高市早苗政権は先月、経済財政運営の指針「骨太の方針」を閣議決定した。マーケットは長期金利の上昇と、円安という形で反応した。2040年までに約370兆円を官民で投資すとし、現在の名目GDP(国内総生産)692兆円の約6割増しとなる1100兆円に迫る規模まで拡大する計画だ。

私は骨太の方針を読んだとき、これは「経営戦略」でなく、「ばくち」だと思った。いままで30年間、1回もやったことない高いハードルに挑戦し、GDPが上がらなければ債務だけが増えてしまい、財政規律も空洞化してしまう。

ニッポン放送で、元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史さんと意見交換したが「経済成長も、米国のGAFAのように、国が余計なことをしない方がアニマルスピリッツを持った会社が出て来る」という、同感だ。私も議員時代から提言しているが、規制緩和や既得権の解消など、予算を投下せず、起業家や、ベンチャー企業を後押しできることがたくさんある。

長期金利上昇と、円安に対して、政府は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で国債を買い支えることも示唆したが藤巻さんは「マーケットの規模から考えて、GPIFの投入するお金はささいなもので、マーケットコントロールはおこがましい」という。

社会主義的な政策で政府日銀が市場を主導する発想とし、「世界中の投資家に日本が詰まった印象を与えたのではないか」と危惧する。国債が暴落すれば、国民の年金も毀損(きそん)する。年金は、老後の生活の支えであり、国の財政政策に使うべきでない。半導体銘柄が急落して、日経平均株価が下落傾向になっている。

日銀は、株式ETF(上場投資信託)の評価益で、債務超過を免れているが、藤巻さんは「今の金利水準で、日経平均が4万3300円まで落ちれば、日銀は債務超過になる」と指摘し、危険水域はそう遠くないと警告する。財源が未定のまま、飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる見通しとなった。減税が決まったら、さらなる「日本売り」もあり得ると感じる。

政府日銀は15年ぶりとなる、日米協調介入で「円安」を食い止めようと必死だ。それだけ、追い込まれていると感じる。しかし、異次元の金融緩和という「ばくち」の副作用で、大量の国債を発行し、日銀が金利を上げて物価をコントロールできない状況が、根本にある。

金利を上げれば、政府は利払い費が増加し、予算が組めなくなる。日銀は債務超過となり、円や日本国債が信用を失いかねない。再び「ばくち」をするのでなく、物価高も円安も、根本理由と向かい、地道で確実な解決策を提示していく、責任ある国家経営を期待したい。(ワタミ代表取締役会長兼社長CEO)

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