本記事では第3部から登場する敵キャラクターであるアルシャトについてまとめる。
アルシャトとは
アルシャトは第3部から登場する幻境竜后のプリンセスナイトの一人。
第3部第13章第5話で初めて登場するがこの時はシルエットと少しのセリフだけで、本格的に動き出すのは第3部第14章第1話からである。
露出度の激しい衣装と山羊のような赤い角に黒い天使の翼が特徴的なキャラである。よく見ると尻尾も生えている。
また、山羊繋がりであるからか角や翼の意匠は12月のクランバトルのボスのアルゲティのものと酷似している。
『色欲(ルクスリア)』と一体化している影響で、相手を誘惑するような淫猥な発言が目立つ。(クリア、ヴルム、フレイヤなど)敵味方問わず周囲を煽るような発言も多く、相手の感情を煽ったり逆撫でして刺激する描写も多い。
未だに謎の多い存在だが、第3部幕間XVIIIではネフィ=ネラの『蓋』というものからすり抜けた存在であることが明かされている。アルシャトの「ワタシたち」という発言も合わせると他にも『蓋』の中にいた存在がいるらしい(宇宙人の幻境竜后とは違う?)。
この『蓋』というものについては、第3部第13章第4話でもネフィ=ネラが発言している。
どうやらこの『蓋』としての役割を務めているせいでネフィ=ネラは現実への帰還ができないらしい。プリコネ世界でも屈指の強キャラであるネフィ=ネラが手を焼いているとなると、かなりの厄ネタであることが伺える。
また、幻境竜后同様に地球で生まれた存在では無いことを言及しており、「侵略者」とも表現している。
ネフィ=ネラは敵対していたアラクネには同情していたが、アルシャトはそういった要素が無いらしいことから、純粋な悪人(人?)であることが伺える。
プリンセスナイトの能力
アルシャトの褥(しとね)という空間を作成・展開する能力。
おそらく空間跳躍も使えるのかここに人を幽閉することも可能。
ストーリーパートやアニメーションではピンク色の空間で描写されており、主人公を捕らえた際には丸いベッドが出現している。
ヴルムは『上も、下も曖昧でどこまで行っても、おんなじ景色が続いてる』『まるで、造り物みたい』『(ジオ・テオゴニアとは違う)甘ったるいニオイがする』と表現している。
空間内では暴力行為が禁じられ、相手の身動きを止めることもできる。ネフィ=ネラもこの能力により動きを止められている。
ただ、ヴルムが魔法を使用できていたことから、ミロクの『無手にて祈りを(プレイ・ウィズ・ヌル)』のような演算停止能力ほど強力ではなく、あくまで攻撃力を抑える程度と推測できる。
幕間XVIIIでは主人公の強化を受けたネフィ=ネラの攻撃によって破壊される。物理攻撃主体のネフィ=ネラが破壊できたということは、どこまでも広がっている空間というわけではなく、壁のようなもので覆われた空間であることがわかる。
ネフィ=ネラに破壊されて以降は出番が無いことから現状は使用不可能と考えられる。
王家の装備
名称は『色欲(ルクスリア)』。
公式の紹介文によると、アルシャトと一体化しているためどのような形状かは不明。
最初の方でも述べたが、アルシャトの普段の言動はこれと一体化したことが原因である。
第3部第14章第4話では人の抑え込んでいる欲望を前に出し、本来の人格を閉じ込めると説明している。
第3部幕間XIXではティア曰く相手の心の一番敏感な部分を責めて、一番隠したいところを暴き出す「らしい」(なぜティアがそこまでわかるのかは謎)。
作中の描写を見る限り、2つの手順を取ることで相手を陥落させ、恋人にすることができる(恋人に関しての説明は後述)ように見受けられる。
最初は、(『色欲』によるものか、アルシャト固有の能力によるものかは不明だが)相手の心を読み取り、相手の触れられたくない記憶を探す。その際には相手の反応も伺う。
次に相手の心が弱りきったら、相手や相手の一部に口をつけることで恋人にすることができる(ヴルムやユイ相手には口付け、クリア相手には涙を舐めている)。詳細な描写は無いが(というか無くていいが)マウストゥマウスでは無いと信じたい。
相手を自身の手駒にできるため強力な能力ではあるものの、相手の身動きをある程度止めたうえで会話に持ち込むという厳しい条件があるのでプリンセスナイトの能力が無いとほぼ運用不可能である。
ただ、主人公に関しては不安を与えつつも、ほぼ心理攻撃をしないまま口付けを行おうとしたので、男相手には手順が違うのか、部分的な支配程度であれば手順を緩和可能なのか、ここに関しては今後の情報に期待したい。
恋人
権能と王家の装備の影響でアルシャトの制御下に陥った人物達。「恋人」とはいうものの、本来の意味とは違い、操り人形や小間使いとしてアルシャトの命令を遂行する。
劇中ではヴルム、クリアの2人が恋人にされている。
恋人にされた2人はシャドウに似たような彩度が奪われたような姿になっている。
ヴルムやクリアには、自分の抱える不安や罪について刺激することで恋人(という名の操り人形)にした。
サイレント(ラスト)ナイトではユイの主人公と結ばれたいという思いを刺激していつもより大胆にした。
また、この能力は洗脳ではないため、アルシャトを倒すことによって解除される、ということはない。そのためユイのように本人が如何に自身の問題と向き合うかが突破口となりうる。
なお、ワカナも標的として選ばれていたが本人の抵抗(レジスト)値が高かったため断念。『憤怒(イラ)』がワカナの抵抗値を無視して精神に影響を及ぼしたことを踏まえると、『色欲』やアルシャトの話術には『憤怒』ほどの精神干渉能力は無いと見られる。
また、幕間XXVではランドソルのNPCを恋人にもしている。AIのヴルムもそうだがNPCにも作用させられることから、非常に厄介と言える。
ラストドラゴン
第3部第14章第4話から登場。
エルピス島浮上と同時にサルベージされた中型ドラゴンのデータをスレイブ化したものらしく、アルシャトの言うことをなんでも聞くらしい。
見た目は黒灰色のドラゴンだが、アルシャトと共通するように赤い角が生えており、翼角にもリングがついている。
劇中ではランドソルやジオ・テオゴニアなどに対して襲撃を行い、現地の住民達と戦闘を繰り広げる。
最近では嚮導幼君になったコッコロやイサナミの力に目覚めたヴァイオレットに倒されてたりするので、ラストドラゴンを単身で倒せるか(あるいは倒せそうか)どうかで直近のインフレについていけてるキャラかを判別できる一種の物差しみたいな扱いになってきている。
また、(天秤?というものの影響で強化を受けているとはいえ)メリッサに支配されたりと復活早々不憫な面が目立つ。
その他能力
色欲の能力か権能の応用かは不明だが他にも劇中で使用した能力を記載。
- 相手の動きを操作する能力
サイレント(ラスト)ナイト第3話ではユイの動きを支配したり、第3部第14章第3話ではクリアの動きを魔法のようなもので封じていた。
プリンセスナイトの能力の応用かもしれないがアルシャト固有の能力という可能性もある。
- 心の中に入る能力
サイレント(ラスト)ナイト第4話でユイの心の中(精神世界)に入る。ユイの精神が弱っていたためか、心の中ではアルシャトの思うままに支配されていた。
精神世界は第2部第6章でランファが出した夢のように自由なようで、主人公、ハツネ、ミソラの3人が協力して妨害することでユイを脱出させることができた。
アルシャトのモデル
まずアルシャトの名前は山羊座の星のアル・シャト(Alshat)から来ている*1。
アル・シャトはアラビア語で「屠殺される羊」を意味する。羊はキリスト教に深く関係する動物*2であるため、悪魔らしいアルシャトに神に敵対的・冒涜的なニュアンスなこの名前はぴったりだと言える。
余談だがアルゲティも同様に山羊座*3から来ており、こちらの名前はアラビア語で「仔山羊」を意味する。
ではなぜアルシャトが山羊と関連付けられているかというと、山羊(厳密には雄山羊)は主にキリスト教圏内で悪魔と密接に関係づけられた動物であることが原因だと考えられる*4*5。
その理由について簡潔に説明すると中近世ヨーロッパにおける悪魔としての雄山羊の表象の系譜という資料から引用する。
-
ヨーロッパで雄山羊は猪突猛進や荒々しい力を表し、また旺盛な繁殖力から幾世紀にもわたり発情、淫乱、好色などに分類される語彙や一連のカテゴリーを供給し続けてきた13。
-
有角で黒い体をし人間に飼い慣らされず、山地に住むことからサバトと結びつけられ、羊と対比的に半分人間・半分山羊の悪魔像を形作る伝統的な図像や寓意画にされていった。
また、ヘブライ聖書のレビ記16章においては、贖罪の日に人々の苦難や行ってきた罪を山羊に背負わせるという話もあり*6、山羊は何かと悪い立場に置かれてきた。
次に山羊と関わりのある神パン(パーン)についても説明する*7。
パンはギリシャ神話における牧羊神であり、山羊のような角が生えている。
パンは好色や笛を吹くことで有名な神だが、キリスト教圏内では悪魔と結び付けられていた。
その理由についても上記資料から引用すると、
-
ギリシア・ローマの神々や森の精、牧神、下半身山羊、上半身人間のパンなどはキリスト教化により十把一絡げに悪魔化され34、根絶すべき偶像崇拝の残滓であるとされた。
-
キリスト教は異教の神性の悉くをデーモンに結び付けたが、パンについては特に著しく、キリスト教の禁欲主義において胡乱な性欲は容易く悪と同一視された。
-
それまで怪物のものだった特徴がディオニュソスやパン、サテュロスと結びついている山羊に一部伝えられ(図18)、図像で悪魔となり魔女のサバト観念の形成に大きな役割を果たした。
これらのことからアルシャトのモデルとなった山羊には悪魔と深い関連があることがわかる。
ただ、スケープゴートの由来にもなったように山羊が悪魔に関連づけられた歴史は生贄として仕立て上げられたという印象を強く受ける。
これになぞらえて、過去に何かしらの理由があってアルシャトも悪に堕ちた、ということを考えてみると面白いかもしれない。
参考文献