令和6年3月26日付で警察庁から「告訴・告発への適切な対応及び指導・管理の徹底について」という通達が出された。
平成31年の旧通達を廃止して枠組みを整理し直したものになる。犯罪被害者支援を扱う弁護士の立場から実務にどう影響するかを整理しておこう。
刑事告訴の受理の段階で時間が取られることがままある。
警察署の窓口で書面を出しても原本を受け取ってもらえない。コピーしたものを預かり扱いにされて返される。証拠を揃えてから来るようにとあしらわれる。生活安全課と刑事課の間で担当が決まらないまま数か月経つ。
例を挙げればキリがない。
告訴があれば受理することが義務づけられている(犯罪捜査規範63条)はずが 実際には受理の手前で滞留が生じてきた。
今回の通達はこれらの問題への対応として責任の所在を階級で特定した。
警察本部と警察署のそれぞれに告訴・告発センターという一括窓口を置く。本部では警視、警察署では警視又は警部の中から対応責任者を一人指定して事務を統括させる。
対応担当者も警部又は警部補から指定する。告訴の受理判断について担当者と責任者が必ず特定される体制になった。
担当が決まらず案件が動かない状態は責任者の不在から生じるから 責任者を指定するという対応には一定の合理性がある。
進捗管理の規定も設けられた。
センターは受理判断を事件主管課に引き継いだ場合でも対応状況を把握して迅速に判断するよう管理指導するものとされ、本部の事件主管課は警察署での処理を初期段階から把握して受理不受理の判断や捜査について指導するとされている。
警察署の判断だけで案件を止めておくことが通達上できない構造になった。
告訴事件が動かないときに本部へ働きかけるという方法は従来からあったが その根拠が通達の文言として明確になった。
被害者側の実務にとってこの通達は追い風ではある。
交渉の相手と根拠が特定できるようになったからだ。
窓口で対応が滞ればセンターの対応責任者との面談を求める。
受理判断が延びていれば通達第1の可能な限り迅速にという文言を示す。
警察署段階で止まっていれば本部主管課に管理指導の規定があることを指摘する。
たしかに通達は法律ではなく警察内部の規範にすぎない。私人がこれを根拠に受理を強制することはできない。しかし、警察官は内部規範に沿って動く。通達の文言を正確に引用できるかどうかは窓口での交渉に実際の差をもたらす。
告訴は被害者が刑事手続の開始に関与できる数少ない法定の手段であり、受理段階の運用が通達で整理されたことには実務上の意味がある。有効期間は令和11年3月末までの5年間の運用に注目したい。
- 先生に米国FAA事件を相談した横浜の木村です。告訴受理への対応は通達で改善するとして「告訴受理済み国外犯事件」が捜査停滞、MLATによる米国共助が丸5年未実施で6年目に突入という状況をどの様に好転させるのでしょうか?行為地米国、行為者米国公務員の本件は共助しなければ始まりません。助太刀を
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