7月29日の記者会見 要旨
7月13日に刑事告訴が中城海上保安部に受理され、7月25日に同志社国際高等学校に家宅捜索が入りました。
この報道を受け、多数の報道機関からお問い合わせがあり、7月29日に記者会見を行いました。
私が冒頭部分に読み上げた内容と、告訴の内容について話した唐澤英城弁護士の説明要旨、過去および今年の乗船動画をここに記録として残します。
冒頭
本日は、お集まりいただき、ありがとうございます。 3月16日の辺野古沖の事故で亡くなった、武石知華の父です。
一昨日、熊本で大きな地震がありました。犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。その対応でお忙しい中、この場にお越しいただいたことに、重ねて感謝いたします。
これまで多くの報道機関の皆様から個別に取材のご依頼をいただきながら、十分にお応えすることができませんでした。この場をお借りして、お詫び申し上げます。
すでに報道されているとおり、私は、中城海上保安部に対し、同志社国際高等学校の校長・学年主任・引率教員、およびヘリ基地反対協議会の関係者、あわせて11名について、業務上過失致死傷罪等による告訴状を提出し、7月13日、受理されました。本日は、告訴に至った経緯と、私たちが求めていることを、直接お伝えしたいと思います。
知華は、17歳でした。 学校を信じて送り出した研修旅行で、私たちの知らないうちに、抗議活動に使われてきた船に乗せられ、大波にのまれ、帰ってきませんでした。あの日から4か月、なぜあんなに元気で、頑張っていた知華が死ななければならなかったのかを考え続けてきた日々でした。
なぜ、このタイミングで私たちが告訴をしなければならなかったのか。まず、そのことからお話しさせてください。
ご存じのとおり、海の事故の捜査は、警察ではなく、海上保安庁が担います。海保は、海と船の専門家です。事故の当日、知華の救命に懸命に当たってくださったことに、今も感謝しています。
海の事故を含め、一般に過失の捜査は、死亡の直近の原因から遡って検討していくものと理解しています。海上保安庁という機関が、形の上でこれにこだわる限り、現場の海に誰一人いなかった学校関係者にたどり着くことはなかなか難しい。では、学校や現場にいなかった協議会の幹部は、誰が捜査をするのでしょうか。もしかすると、誰も捜査しないまま終わってしまうのでは? そんな不安がありました。
文部科学省は、学校の安全管理を「著しく不適切」と認定しました。この報告書を読まれた方々から、この安全管理の部分について異議を唱える声はほとんど上がっていなかったはずです。それほど明らかな安全管理の欠如があるにもかかわらず、それでも、誰も刑事責任を問われない。このまま時間が過ぎれば、最悪の場合、亡くなった船長お一人が被疑者死亡のまま送検され、不起訴となる。そして誰一人、法廷で刑事責任を問われることなく終わってしまう。その可能性すらあると感じました。
私たちには、それは耐えられません。
また、それでは同じ事故が、いつかどこかで繰り返されると思いました。
海や山などの課外活動において、学校側はおおまかな計画だけ作り、あとはどれほど危険な相手に生徒を預けても、事故が起きても、生徒が死んでも、学校は刑事責任を問われない——学校は、現場に関わらないほど安全である。この知華の事故をそんな前例にするわけにはいきません。
もちろん、海上保安庁が、学校や協議会まで含めて、幅広く捜査を進めてくださっているのかもしれません。しかし、私たちからは、それは捜査状況なので見えません。見えないのであれば、私たちで取り得る行動を取る。それが、告訴でした。4か月間の葛藤の末の決断です。
学校の刑事責任を問うのはハードルが高い、とも多くの方に言われました。それでも私たちは、この告訴は無理筋ではないと考えています。
一般論として、学校が、国の免許を持ち検査を受けた事業者——たとえば貸切バスや遊覧船——に生徒の移動を委ねて事故が起きた場合、学校の責任が問われにくいのは、「信頼してよい相手に任せていた」からです。これは個別の事故の話ではなく、あくまで仕組みの一般論です。
今回、学校が生徒を乗せたのは、旅客を運ぶ事業の登録すらしていない、抗議活動のための船でした。実際の船のかたちも、装備も準備も、修学旅行生を乗せるには、およそ適さない船に見えます。信頼してよい根拠が、何もありません。そして学校は、それを知っていました。2022年度、2023年度も、教員は「不屈」や「平和丸」に乗り、高速で走り、生徒がずぶ濡れになる様子を、自分たちで動画に撮っていました。それでも学校は、一度も下見をせず、船長と安全の打ち合わせをせず、当日は、2人の引率教員のどちらも船に乗りませんでした。
止められる機会は、少なくとも4層にわたってありました。
・下見をして止める。
・止めないのであれば、まず、安全の打ち合わせをする。
・次に、十分な計画を立てる。
・当日、教員が一緒に乗り、結果を正確に報告する。
この4年間、毎年どれか一つでも実行されていれば、知華は死んでいません。
船を操っていたのは、船長です。しかし、その船に乗るのは、何も知らない生徒なのです。17歳の生徒たちをその船に乗せると決め、確認をせず、止められる機会をすべて素通りしたのは、学校です。学校も、生徒の「船長」ではないでしょうか。この事故を「船の船長ひとりの事故」で終わらせないために、今回の告訴に踏み切りました。
告訴の時期について7月に急いだのは、捜査が行われるのであれば、生徒の皆さんが登校する学期中ではなく、夏休みの期間であってほしいと考えたからです。受理された後も、捜査への影響を避けるため、今日まで公表を控えてきました。
本日は2022年度と2023年度の研修旅行で撮影された、乗船時の映像をお見せします。
船が高速で走り、生徒がずぶ濡れになり、海上保安庁の巡視艇が並走する様子が映っています。危険は、あの日突然現れたのではありません。前から、見えていたのです。
私たちが求めていることは、一貫して変わりません。 なぜ知華が死ななければならなかったのか、
真相が余すところなく明らかになること。
責任の所在が、法に基づいて明らかにされること。
そして、二度と同じ事故が繰り返されないことです。
捜査機関の皆様には、厳正な捜査をお願いできればと思います。
学校および関係者の皆様には、捜査への全面的な協力をお願いいたします。
冒頭、私からは以上です。
唐澤英城弁護士からの説明
「法的に見てどうなのか」というご趣旨のご質問がございましたので、説明させていただきたいと思います。
現段階では、罪証隠滅や通謀のおそれを危惧しているため、お話しできる範囲でお話しいたします。
ポイントとしては6つほどに分かれると考えています。
修学旅行生が船に乗り海に出るということ
ここが出発点ではないかと思っています。実は修学旅行生が船に乗って事故に遭うというのは、日本の歴史を遡るとかなり古い時代からあります。昭和30年には紫雲丸事故という有名で大規模な事故がございました。最近でも香川県内で旅客船の沈没事件があり、幸い命を落とす方はいらっしゃいませんでしたが、修学旅行生が危難に遭っています。海は陸とは違って移動について危難、危険が非常に伴い、また、一度何か起きれば助かりにくいところがあるため、類型的に危険性が高いという前提があります。現場海域の危険性
何よりも、本日ビデオで見ていただいた状況が全てを物語っていると思っています。不屈の船長であった金井氏は、この海域が危険であったことを自身でも著書に書いておりますし、学校の講演会でも発言しています。当然その学校の講演会には生徒だけではなく教師も出席していました。抗議船という点
抗議活動に意味があるかではなく、そこで使われる船がどのような船なのかということが非常に重要だと思っています。あくまで抗議に使う船ですから最低限の装備や準備しかありません。修学旅行生を乗せるような船だったのかということは厳しく問われなければならないと考えています。乗るのが抗議をする人であれば、自分で危険を顧みず抗議したいなどの意思で危険を引き受けていますが、生徒は違います。何も知らない状態ですので、そこは重要だと考えています。事故が発生した場所
ご覧いただいたとおり、非常に波の高いところで事故が発生しています。なぜあのような場所に行ったのか、それはどういうことなのかという点です。計画の重要性
ここで大切なのは計画です。文部科学省の報告書にも指摘されていますが、このような修学旅行を行う場合には計画をきちんと立てなければならないということは、紫雲丸の事故のときから分かっているところだと思っています。陸上と同じように海上でもルートがあるはずです。そのルートをどのくらいの速度で、どのくらいの時間をかけ、どこまで進むのか、これこそまさに計画です。学校側が、これをきちんと立てなければならない立場にあったことは間違いないはずです。計画の実施を担保するため、各船に引率教員を確実に乗せ込むことも計画の内容となります。また、何年も生徒を乗せている船の側(ヘリ基地反対協側)も、抗議したい人ではなく生徒を乗せると分かって乗せるわけですから、同様に計画を立てなければなりません。乗せる側の責任と双方の話し合いの欠如
では、計画はどうやって立てるのかと言えば、学校と乗せる側が話し合いをしながら立てていくはずです。その当然のことをしていれば「これはやめておこう」となったはずだと思います。また、仮にやめないというのであれば、すべきことは本当にたくさんあったはずです。計画を立てる、下見をする、話し合いをするという当たり前のことがなされていれば、この事故は防げていたはずではないかと考えております。
このような過失事件は難しいと言われますが、何が事件の本質なのかを考えるのが一番大事だと思っています。 映像やこれまでの経緯を考えたとき、今申し上げたようなことが本質ではないか。そうすると、船の人だけの責任と考えていていいのか。生徒の「船長」である学校も一人の船長なわけですから、学校側とヘリ基地反対協の側が話し合いをし、計画を立て、準備をする、そういう責任があって、それが尽くされていればこの事件は起きなかったのではないかということです。
下記動画を2022年度、2023年度、2025年度と順に見ていただくと、
・私がお話しさせていただいた、告訴に至る思いや理由
・唐澤弁護士による、法的な観点からの説明
の意味するところがより皆様に伝わるのではないかと思います。
2025年度の動画は、不屈が転覆し、海に投げ出された生徒に大波がかぶさっていく様子が途中に入っています。動画では、その映像が流れる前に、これからその動画が流れることを示すテロップを挟んでいますので、不安な方はテロップの部分までで再生を止めてください。
2022年度
2023年度
2025年度
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相当な覚悟と準備の上で刑事告訴され、さらにその事実を記者会見で公表されたのだと思います。 事故からもう5か月近く経過しています。本来マスコミが調査したり、捜査機関が捜査したりしている時期であるものと思いますが、そのような動きがほとんど見えないところが違和感を感じるところでした。 …
動画の公開、ありがとうございます。想像より酷い状況でショックを受けました。 あの場所に小さな船で生徒を連れて行くという判断がそもそもの間違いで、 それを止めなかった人たちに責任があるというのが、改めてわかりました。 応援しております。
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