転売と農作物窃盗を外国人のせいにしているうちは何も解決しない。本当は資本主義のせいなのに
表現の自由戦士の朝は早い。国旗損壊罪成立の愚行から目を逸らすため、手当たり次第に社会問題に嘴を突っ込んでは意味不明な喚き声をあげて去っていく。前回の『みい山』アニメ化の問題もその一環ではあった。
だが、今回取り上げたいのはその前に起こり、記事にしようとしていた問題だ。ひとつは転売であり、もうひとつは農作物に対する窃盗である。この2つの問題は一見するとまったく別件だ。しかし、両方とも、問題の根幹に外国人がいるという根拠のない主張がなされている。
というわけで、ここでは事実関係を振り返りつつ、真に問題を解決するにはどうすべきかを論じていくことにする。
転売と農作物窃盗は外国人のせいなのか?
転売ヤーから買っているのは……
まず、転売から。マクドナルドのハッピーセットなど、おまけの価値が高くなりすぎて店員も関係ない顧客も騒動に巻き込まれるようになってから、特に転売の問題が取り沙汰されるようになった印象がある。
この転売問題について支配的な言説が、外国人が買い占めているという主張である。実際、SNSを検索すると以下のような投稿は簡単に見つかる。
確かに、転売ヤーの中には外国人も含まれるだろう。だが、その集団の無視できない割合、ないしは相当数が外国人であるという根拠は薄い。外国人とされている人々が本当に外国人なのかの確証もないし (レイシストの想定と異なり、アジア人は見分けが難しい)、外国人だったとして転売ヤーであるかの確証もない。単に、日本人の顧客は転売ヤーと見なされにくく、外国人だとその逆だというだけかもしれない。
そして、よしんば転売ヤーの相当数が外国人だと言い張るのだとしても、日本人が無謬のような顔をしていられるわけではない。というのも、この転売ヤーから商品を購入しているのは、ほかでもない日本人だと考えられるからだ。
「ナツコミ」の騒動があったときのように、人気のキャラクターが描かれたカードであれば外国の顧客からの需要もあるだろう。しかし、ハッピーセットに付属するようなチープなオモチャ類や、ガンプラやベイブレードといった海外人気があるとしても限定的な商品までもが、海外からの受容で購入されていると考えるのはいささか非現実的だ。であれば、購入者の大半は日本人だと想定すべきだ。つまり、転売ヤーの国籍がどうあれ、その行為に加担しているのは大半が日本人だということになる。
農作物窃盗が外国人という証拠がない
同様のことが農作物窃盗についても言える。農作物窃盗というと、愚かなSNSはなぜか外国人の犯罪者を想定してしまう。
ちなみに、この手の差別扇動は以前からあり、私はブログで6年前につるの剛士が行った扇動を取り上げていた。つるののことをフレンドリーなタレントだと思っている人は依然として多いが、実態はこれだ。
なお、この問題は米山隆一の一言でオチがついている。
つい最近の事例では梨が5000個盗まれるものもあったが、これについても根拠なく外国人のせいにする投稿があった。
もちろん、探せば外国人による農作物窃盗の事例もあるだろうが、農作物窃盗の主要な加害者層が外国人であるという証拠はない。
むしろ、統計的な証拠は日本人こそが主要な加害者であることを示唆している。農作物窃盗に限った統計はないものの、犯罪加害者全体で外国人の割合が5%そこらしかないなか、農作物窃盗に限って突然この割合が大幅に変わると考える理由はなく、根拠もない。であれば、順当に考えて農作物窃盗の加害者の大半も日本人であるはずだ。
そして、盗んだ大量の農作物を捌く方法も問題になる。どういう手段を使うにせよ組織的な関与が必要で、そのためには外から来た外国人よりずっと土地に根差して活動している日本人の方が都合がいい。仮に窃盗の実行犯自体は外国人だったとしても、最終的に売りさばくのは日本人という可能性は低くないだろう。
これは個人的な推測だが、大規模な農作物窃盗は同業者が加害者である可能性は少なくないと思う。実際の事例としても存在したし、売りさばくのも自身の収穫物に混ぜ込むだけなので容易になる。盗んだ農作物の管理法も知っているだろう。そもそも、大量の作物をスムーズに確保するには、収穫方法を熟知していないと難しい。素人が思いつきでできるものではない。
なお、外国人による窃盗だと根拠なく考えられているものには、金属窃盗もある。蛇口とか銅線を盗むあれである。あれも農作物窃盗と同じ理由で、報道されるのが外国人犯罪者ばかりなだけで、実際は日本人の加害者が大半だと考えるべきだろう。少なくとも、怪しげな人間から金属を買っている業者は日本のものだ。
犯罪版の技能実習生
転売にせよ農作物窃盗にせよ、仮に外国人が関わっているとして、では外国人の道徳観だけに原因を求めればいいのかと言えばそうではない。私が懸念しているのは、こうした犯罪が「犯罪版の技能実習生」のような構造と化しているのではないかということだ。
転売ヤーがなぜ生まれるのかといえば、限定品をどうしても手に入れたい人がいるからだ。その大半は日本人である。そのため、日本人は金を出して、酷暑の中で行列に並ぶといったきつい仕事を転売ヤーにアウトソーシングする。
ただし、転売ヤーはそれで巨万の富を築けるわけではない。普通に買うより高いとはいえたかが知れている。購入にかかる時間もあるから、コンビニでバイトをする方がマシな時給になることの方が多いだろう。言い換えれば、転売ヤーから商品を購入する日本人は、彼らの労働力を格安で買っていることになる。
もし転売ヤーが外国人なのだとすると、この構図は外国人技能実習生と同じである。彼らの生産物を、我々日本人は必要だと思っている。だが、そこで働きたいとは思っていない。なので、制度をこねくり回して彼らの労働力を搾取するのだ。
転売ヤーのなかには、彼らの動きを統括する元締めのような存在がいるといううわさもある。だとすれば、構造はより一層技能実習生に近づく。彼らも、日本人の資本家に低賃金で働かされているからだ。
農作物窃盗も同様だ。どういう流通経路であれ、盗まれた作物を買うのは我々日本人だ (海外に輸出というのはいくら何でも非現実的だ)。その値段は正規品より安くなるだろう。このとき、盗まれた作物を購入する我々は、窃盗にかかわった外国人の労働力を格安で搾取していることになる。救いがあるとすれば、転売と違って、我々も知らず知らずのうちに購入するのだから、搾取構造への意図的な関与ではないということくらいだろう。
問題を解決するたったひとつの冴えたやり方
古物商の資格を厳格に守れ
この問題を解決するたったひとつのシンプルな方法がある。別段、ややこしいルールを作る必要はない。既に存在する、古物商許可のルールを厳格に適用すればいいだけの話だ。
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