社会福祉法人三篠会(広島市)が不当解雇などで約2千万円の損害賠償~法人の対応を考える~
堺市の重症心身障害者施設「ベルデさかい」で働く看護師3人が、職場での虐待問題などを指摘して公益通報した後、不当な解雇や配置転換を受けたとして、運営元の社会福祉法人「三篠会」(広島市)を相手に地位確認や損害賠償を求めて提訴しました。2026年7月30日に大阪地裁堺支部で言い渡された判決では、解雇や配置転換はいずれも「無効」とされ、看護師らの主張を認めて三篠会に約2000万円の損害賠償を支払うよう命じました。
社会福祉法人三篠会は事業活動収入230億円超、事業活動収支差額約17億円超の巨大な社会福祉法人です。こののホームページのTOPには「すべての人に大切な物語がある」とありますが、たしかに、この3人の職員にも「劇的で大切な物語」がありますね。
社会福祉法人三篠会は朝日新聞の取材に対して、まるで政治屋みたいに「コメントは差し控えます」と述べているとのことです。なぜコメントを差し控えるのでしょうか? 私は、このように木で鼻を括ったような対応には以下のような問題があると思います。
1.社会福祉法人の公益性と説明責任
社会福祉法人は、一般的な民間企業とは異なり、高い公益性、税制上の優遇措置、そして補助金などの公的資金を受け取って運営される非営利組織です。そのため、不祥事や法的トラブル(裁判の判決など)が発生した際の対応において、一般的な事業者以上に厳しい説明責任が求められるはずです。
2.運営・労働環境に関する信頼の低下
さらに、今回の判決で不当解雇や不当な配置転換が無効と認められた事案ですので、職員に対する人権配慮や労働環境の健全性に問題があった可能性が示唆されているにも関わらず法人が説明を避けるということは大問題です。当然、「適切な福祉サービスが提供されているのか」「組織の内部統制が機能しているのか」という不信感につながってしまうでしょう。
3.公的資金(税金・補助金等)の使途・ガバナンスへの疑問
社会福祉法人には公的資金が投入されているほか、今回のケースのように判決で巨額の損害賠償支払いが命じられた場合、その賠償金の原資や組織運営の適正さが問われます。自浄作用やガバナンス(組織統治)が機能しているのかどうかについて、対外的に透明性を示さない対応は、法人全体の社会的評価を著しく損ねる要因となります。
4.広報・危機管理としての不十分さ
裁判直後など、法的な検討(控訴方針の決定など)が必要な段階で一時的に詳細な言及を避けることは一般的な対応とされる場合もあります。しかし、単に「コメントを控える」とだけ発信することは、世間に対して「問題に向き合っていない」「事実を認めたくないのではないか」という印象を与えるリスクがあり、危機管理・広報の観点からも望ましくないと思われます。
公的・公益的な性格を持つ社会福祉法人が、自らの組織内で起きた重大な不祥事や法的判断に対して、透明性と説明責任を欠いた対応を取っていると言われかねません。
利用者や職員を守り、公的な事業を健全に継続するためには、判決を真摯に受け止め、迅速な状況説明と再発防止への姿勢を示すことが必要なのではないでしょうか。



コメント