推しが出ないのに欲しくなる?ランダムグッズが人気の理由とファンマーケティング
アニメ、アイドル、キャラクターグッズ、カプセルトイ、コラボカフェの特典など、近年の「推し活」でもはや定番といってもいいほど見かけるランダムグッズ。
「全8種類の中で、手に入れたい推しキャラは1種類だけ…」なんて状況も珍しくありません。
ブラインド仕様のグッズは、購入前に中身を選べないにもかかわらず、なぜ今でも多くのファンが購入し続けているのでしょうか?
この記事では、ランダムグッズが人気を集める理由と、企業が活用する際に気をつけたいポイントなどもマーケティング視点で解説します。
ランダムグッズとは?ランダム商法とは違う?
ランダムグッズとは、購入するまで中身がわからない形式で販売される商品のことです。
例としては、以下のようなグッズが当てはまります。
ランダム缶バッジ
ランダムアクリルキーホルダー
トレーディングカード
ブラインドパッケージ商品
カプセルトイ
キャラクターくじ
ランダムステッカー
コラボカフェのランダム特典
ちなみに、BANDAI SPIRITSの2026年調査では、「カプセルトイ」「キャラクターくじ」「クローズド仕様のグッズ」「トレーディングカードゲーム」「中身がわからない食玩」「中身がわからない入浴剤」の6カテゴリーをランダムグッズとして扱っています。
一方で「ランダム商法」とは、こうした中身を選べない販売方法に対して使われることがある言葉です。
販売方法そのものが必ず悪いわけではありませんが、ユーザーに過度な負担をかけたり、情報が不透明だったりすると、ネガティブな意味で「ランダム商法」と呼ばれたり、「嫌いな売り方」と受け取られたりすることもあるでしょう。
人気のランダム商品といえば?
ランダム商品といっても、種類はさまざまです。特に一般的に多く流通していて人気が高いのは、たとえば以下のような商品です。
カプセルトイ
現在のカプセルトイ(いわゆるガチャガチャ)は、子ども向けのおもちゃだけでなく、大人も楽しめる精巧なミニチュアやキャラクターグッズ、推し活アイテムとして広がっています。
最近では、傘やポーチなどに付けて楽しめる「めじるしアクセサリー」のように、日常使いしやすいカプセルトイが大きく注目されています。
— 株式会社エフエーエス (@fas_nagoya) July 1, 2026
👆めじるしアクセサリーから学ぶマーケティング戦略については、
弊社のX記事にてまとめています。よろしければご一読ください♪
キャラクターくじ
「一番くじ」などの名称でおなじみの、コンビニや専門店で見かけるキャラクターくじも、ランダム性のある人気商品のひとつです。
上位賞、下位賞、ラストワン賞など、当たるまでのドキドキ感が購買体験につながっています。
ちなみにラストワン賞とは、くじ商品で最後の1枚を引いた人がもらえる特別な賞品のこと。通常の賞品とは別に用意されることが多く、「最後まで買い切りたい」という購買心理を生みやすい仕組みです。
トレーディング・ブラインドグッズ
トレーディング…交換・収集を前提にしたグッズのこと
ブラインド…中身が見えない状態で販売されること
それぞれ上記のような意味で用いられることが多いです。
カード、缶バッジ、アクリルスタンド、ステッカーなどが定番。推し活やコレクション文化と相性が良く、SNSで開封結果や交換希望が投稿されやすいという特徴もあります。
👆そのグッズを買ってはいなくても、
購入した人の開封動画を日頃から楽しむファン層も多くいます。
食玩・入浴剤などの日用品系ランダム商品
最近では、お菓子や入浴剤などにもランダム要素が取り入れられています。
「日常的に買える価格帯」でランダム体験を楽しめるため、ライト層にも広がりやすいジャンルです。
①②ちいかわ入浴剤(お風呂で溶かすと
— mii.heart3. (@nyui8mii8) May 28, 2026
③ちいかわが出ました)
④「🐰が出るまで買うぞ」と頑張ってきたけど🐰は
第2段でした😂💦今回のは4種類でした🤣コンプ✌️#ちいかわ#猫3匹 pic.twitter.com/gQ0i8gCo91
👆実際に使うことで中身がわかる「マスコット入り入浴剤」は、
ワクワク感が倍増する人気グッズの一つです。
ランダムグッズはなぜ人気?ずっと売れ続ける理由
ランダムグッズが人気を集める理由は、商品そのものの魅力だけではありません。
以下で紹介するように、購入前後の体験まで含めて楽しめる点にもあります。
1. 開封前のワクワク感
ランダムグッズ最大の魅力は、「何が出るかわからない」ことです。
欲しいキャラクターが出るかもしれない。
レア商品が当たるかもしれない。
友人と一緒に開封して盛り上がれるかもしれない。
この期待感が、商品購入をひとつのエンタメ体験に変えます。
もちろん、本当に欲しいキャラクターやデザインがある人にとって、中身を選べないことはマイナス要素にもなります。
しかし一方で、「自分の手で推しを引き当てたい!」「次こそは目当てが出るかもしれない!」という気持ちが、購買意欲を高めるきっかけになることもあるようです。
2. 推し活との相性がバッチリ
現代の推し活において、グッズは単なるモノではありません。
自身のモチベーションだけでなく、ファンアピール(周囲にファンであることを表現)、SNSでの布教活動(魅力を共有)といった明確な目的も生まれます。
また、推しを応援する気持ちや作品への愛着を形に残すためのものでもあるでしょう。
そのため、ランダムグッズは「推しが出るまで買いたい」「推しだけ集めたい」という購買行動につながりやすくなります。
痛バを初めて作ったのですが、ツッコミどころ満載。今見返すと、あまりにも力技が過ぎて驚きます。
— 松井玲奈 (@renampme) January 16, 2026
【アイナナ】初めて痛バを作ったら、どうやら作り方が違ったらしい【松井玲奈】https://t.co/Kmk1J9EhKs pic.twitter.com/hzjyXH4FBM
👆ランダムグッズの推しキャラのみで組むことが多い「痛バッグ」。
この文化も、今ではイベント会場だけでなく街中でも見かけるほど浸透してきていますね。
3. コレクション欲を刺激する
ランダムグッズは、実際に開封したアイテムを魅力的に感じるほど【全種類集めたい・シリーズで並べたい・レアを絶対入手したい】といった気持ちが生まれやすい商品です。
結果に一喜一憂したあと、最初に購入した数個では終わらず次の複数購入につながりやすい点は、企業側にとっても大きなメリットといえます。
4. SNSで拡散されやすい
ランダムグッズは、開封結果をSNSに投稿しやすい商品です。
「推しが出た」
「10個買ってこの結果」
「交換希望」
「コンプリート達成」
こうした投稿ネタでフォロワーと交流するために、購入のきっかけが生まれることもあるでしょう。
企画側にもメリットがある?ランダムグッズが採用される理由
ランダムグッズは、ファン側のワクワク感や収集欲を刺激するだけでなく、企画・販売する企業側にとってもさまざまなメリットがあります。
1. 複数購入につながりやすい
ランダムグッズは、目当ての商品が必ず出るとは限りません。
そのため、「推しが出るまで買いたい」「あと1種類で揃うから追加で買いたい」といった心理が働きやすく、通常の商品より複数購入につながりやすい傾向があります。
ただし、過度に購買を促す設計ではなく、開封体験やコレクション性を楽しめる商品として設計するのがポイントです。
2. 在庫の偏りを抑えやすい
キャラクターやデザインを選べる販売形式の場合、人気のある種類だけが早く売り切れて、その他の商品が残ってしまうことがあります。
その点ランダム形式は、複数種類をまとめて販売しやすいため在庫の偏りも抑えやすくなります。
特にキャラクター数やデザイン数が多い場合、販売管理の面でもメリットを感じられるでしょう。
3. SNSで話題化しやすい
ランダムグッズは、購入後の開封結果がそのままSNS投稿のネタになります。
「推しが出た」「被った」「交換希望」「コンプリートした」といった投稿が自然に生まれることで、商品や作品の認知拡大につながります。
企業が一方的に広告を出すだけでなく、ファン自身が楽しみながら情報を広げてくれる点はランダムグッズならではの強み。
うまく活用すれば、商品そのものがブランドとの接点になり、ファンとの継続的なコミュニケーションにもつながるでしょう。
推しが出なくても楽しめる?ランダムグッズのライフハック
ランダムグッズは「思わず買ってしまう」ファン心理が働きやすい一方、推しのためにいくつも購入して目当ての商品が一つも出ない、あるいは「被り」が出てしまうとやはり落ち込んでしまうもの。
では、推し活を楽しむファンは目当てでないグッズを引き当てたとき、どのような方法を試しているのでしょうか。
Xやフリマアプリで本当に欲しいファンを募る
SNSやフリマアプリを通じて、同じ作品を好きなファン同士で交換・譲渡する文化があります。
特にXでは、「作品名+交換」「キャラクター名+交換希望」「作品名+譲渡」などで検索すると、同じ作品のグッズを求めているファンを見つけやすいです。
この文化は、本当にそのキャラクターを求めている人と交換・譲渡ができるだけでなく、ファン同士のコミュニケーションが生まれる新鮮な機会ともなるでしょう。
ただし、個人間取引ではトラブルも起こり得るため、公式ルールや各サービスの規約を守ることも大切です。
開封前にゲーム要素をプラスする
欲しいものが出るかどうかだけでなく、開封までの過程を楽しめる点も、ランダムグッズが支持される理由のひとつです。
友人同士で「誰が推しを引けるか」を楽しんだり、開封順を決めたり、結果を予想し合ったりすることで、単なる購入体験がイベントのような時間に変わります。
1人で楽しみたい場合でも、1日につき1個、おみくじ感覚で開封するといった遊び方もあるそうですよ。
100均コラボ無事ゲット!🥳
— 美遊 (@NAGO951418) May 16, 2026
そしていつもの〜
ランダムグッズライフハック!!!✨️🙌
(開ける前にお題を考えて、
呼ばれて来た子を見てホクホクする遊び😊) https://t.co/wgEQNreywG pic.twitter.com/XFQL8dw7ld
👆開封前に、中身のキャラに対して独自設定を設けるライフハック✨
さまざまな作品から刺激を受けるオタクの創造性を活かせば、
開封後の愛着が一層増しそうです♪
「ホビ垢」のコンテンツ化で開封動画を発信
趣味用のSNSアカウントを意味する「ホビ垢」では、ランダムグッズの開封結果を投稿する人も多く見られます。
特にリアルタイムで撮影するような開封動画は、本人のワクワクが視聴者へもダイレクトに伝わりやすい人気コンテンツ。
「何が出たか」「推しを引けたか」「何個買ってどんな結果だったか」といった内容は、同じ作品が好きな人にとって共感・支持を得やすく再生数も回りやすいといわれています。
企業側から見ても、こうした投稿は自然な口コミや話題化につながりやすく、ランダムグッズがSNSと相性の良い理由のひとつといえるでしょう。
ランダム商法として炎上するケースもある…?
ランダムグッズに対して「楽しい」と感じる人がいる反面、「欲しいものを選べないから嫌い」「何度も買わせる仕組みに見える」と感じる人もいます。
たとえば以下のような点には注意が必要でしょう。
1. 種類数が多すぎる/価格が高い
ランダムにする種類が多すぎると、その分だけ欲しい商品が手に入る確率が下がります。
確率が低いだけでなく、価格もそれなりにする場合はファンのストレスに大きくつながりやすいでしょう。
もちろん感じ方には個人差がありますが、ファンが不満を感じやすい目安としては、以下のような傾向があります。
【種類数の目安】
4〜6種類 比較的受け入れられやすい
7〜10種類 価格次第では許容される
11〜15種類 「推しが出にくい」と感じやすい
16種類以上 不満・諦め・交換前提になりやすい
20種類以上 ランダム商法と受け取られやすくなる
【価格の目安】
300〜500円程度 カプセルトイ感覚で試しやすい
500〜800円程度 グッズとしては許容されやすい(種類数次第)
800〜1,200円程度 10種類以上あると不満が出やすい
1,200〜1,500円以上 ランダム販売だと慎重に見られやすい
2,000円以上 選べないことへの反発がかなり強くなりやすい
2. ファン心理を利用しているように見える
ランダムグッズは、好きなキャラクターや作品への愛情と深く結びついており、単なる商品ではなく「応援したい」「手元に残したい」「推しを身近に感じたい」という気持ちを形にするものです。
だからこそ、種類数が多すぎる、価格が高い、目当ての商品が出にくい、選んで買える手段がないといった設計になると、「好きな気持ちを利用されている」と受け取られる可能性があります。
「推しのためなら買いたい」という前向きな気持ちが購買につながりやすい一方で、その熱量を企業側が当然のものとして扱っているように見えた場合、不満や反発が一気に広がりかねないのです。
ファンの熱量に支えられる商品だからこそ、「買わせる仕組み」ではなく「納得して楽しめる仕組み」の設計が重要です。
3. 情報が不透明
ランダムグッズでは、商品内容や販売条件の分かりにくさも不満につながります。
全何種類あるのか
シークレットは含まれるのか
BOX購入で全種類揃うのか
再販予定はあるのか
こういった情報が曖昧だと、ユーザーは不公平感や不信感を抱きやすくなります。
商品そのものに魅力があっても、「説明が足りない」「後出し感がある」と受け取られると、企業やブランドへの信頼を損なう原因になりかねません。
4. 転売や交換トラブルを招く
人気キャラクターやレア商品がある場合、高額転売や交換トラブルが発生することもあります。
企業がすべてを管理できるわけではありませんが、購入制限や再販方針がない場合、「対策が不十分」と見なされ、批判の矛先が企業側に向くこともあるでしょう。
5.「サーチ行為」のしやすさで不公平感が生まれる
ランダムグッズで問題になりやすい要素のひとつには、「サーチ行為」もあります。
サーチ行為とは、購入前の商品を触ったり、重さや形状、外装のわずかな違いなどから中身を推測しようとする行為のことです。
特に、外装がやわらかく中身の形が分かりやすい商品や、種類ごとに重さ・厚み・感触の差が出やすい商品は、サーチされやすい傾向があります。
こうしたサーチ行為が起こりやすいグッズは、「本当にランダムなのか」「目当ての商品だけ先に抜かれているのではないか」という不公平感につながります。
何度も触られることで、外装の傷みや汚れ、売り場での迷惑行為につながる可能性もあるでしょう。
ランダムグッズは短期的な売上につながりやすい反面、やりすぎると長期的なファン離れやブランド毀損を招く可能性があります。
だからこそ、販売数・価格・種類数・情報開示・救済策まで含めて、ファンが納得して楽しめる設計を心がけなければなりません。
👆推し活マーケティングは、
そこに潜む「ファン心理」を正しく理解することも重要です!
企業が気をつけたい法律・表示・炎上対策のポイント
ランダムグッズを企画する際は、景品表示法にも注意が必要です。
景品表示法とは、商品やサービスの品質・内容・価格などについて、消費者に誤解を与える不当な表示を規制し、過大な景品類の提供を防ぐための法律です。
特に注意したいのは、商品内容や販売条件を誤認させないことでしょう。
たとえば、実際には1BOXで全種類が揃う仕様ではないにもかかわらず、揃うように誤解される表現になると、購入条件について有利誤認を招く可能性があります。
また、シークレットの有無、封入ルール、再販予定、購入制限などが曖昧なままだと、法的な問題以前にユーザーの不信感や炎上につながる可能性があります。
炎上から守る企画のポイント
ランダムグッズを成功させるには、売上だけでなくユーザーの納得感を設計することが重要です。
以下のポイントを押さえつつ、企画を進めていくとよいでしょう。
ランダムにする理由を明確にする
種類数と価格のバランスを取る
選べる購入方法も用意する
情報をわかりやすく表示する
サーチ行為を防ぐパッケージ設計にする
SNS上の反応を想定しておく
「売れるからランダムにする」ではなく、開封体験やコレクション性、ファン同士の交流など、ユーザーの思う楽しさを設計する必要があります。
そして種類数・単価・購入上限のバランスは慎重に考えましょう。
時には完全なランダム販売のみでなく、複数チームに分けて選べる商品やBOX販売、受注販売などと組み合わせると不満を抑えやすくなります。
また、ランダムグッズはSNSで話題化しやすい反面、不満も広がりやすい商品です。
発売前から、交換投稿、転売、偏りへの指摘、再販希望などが起こる前提で準備や対策をしておくと安心です。
まとめ
ランダムグッズは、開封前のワクワク感、推し活、コレクション欲、SNS拡散と相性が良いマーケティング施策です。
一方で、種類数が多すぎる、価格が高い、情報が不透明といった設計では「ランダム商法」として批判される可能性もあるでしょう。
買わせる仕組みではなく、楽しんでもらえる仕組みにすること。
これを意識するだけで、ファンの期待値は発売前から大きく上がりやすくなります。
ランダム性をうまく活用し、商品をブランド体験そのものにつなげられるファンマーケティングを目指しましょう。


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