パキッ、パキッ…。柱がきしみ、ガラスの割れる音が一帯に響き渡った。「思い出が詰まった家の最後を見届けたい」。夫婦が見守る中、2日午前9時43分、熊本県八代市で築約120年の家屋が大きな音と土煙とともに倒壊した。
7月28日に最大震度7を観測した地震で、吉住俊樹さん(72)と妻の喜代美さん(65)の自宅は1階が傾いたが、何とか持ちこたえた。遊びに来ていた孫にもけがはなかった。避難所に身を寄せ、たまに様子を見に行っていたという。
その後も余震が続き、8月1日夜には八代市で震度4を観測。約120年前に建てられ、俊樹さんが父から受け継いだという自宅は10年前の地震にも耐え抜いたが、2日朝にはパキッ、パキッと危険な音を立て始めた。
急いで喜代美さんの衣類を取り出した直後、家屋は倒壊。俊樹さんは「全員が無傷だったことが一番。命があるだけでも感謝です」。喜代美さんは涙を拭い、「120年もよく頑張ってくれた」と話した。(酒井真大)