中国海警局の船2隻が30日夜から31日午前にかけて、日本海から津軽海峡を抜けて太平洋へと航行した。違法漁業の取り締まりが目的としている。2隻は機関砲を搭載した「海警6501」と「海警6305」。海峡通過時には、海上保安庁の巡視船とみられる船舶が2隻の前方を航行した。海保によると、海警船とは無線で交信したという。
海警局は例年、夏ごろに北太平洋で漁業監視のパトロールを実施している。ただ2017年と2019年には、青森県沖の津軽海峡で日本の領海に侵入したこともある。今回の海峡通過では、船舶自動識別装置(AIS)のデータなどから、公海部分を通過したとみられる。
海保は1管と2管が連携して対応
30日午後8時50分ごろ、76ミリ機関砲を搭載した海警6501が、竜飛岬(青森県)の北約10キロの海域を約15ノット(時速約29キロ)で通過。その後、約2キロ後方で海警6305が続いた。2隻は針路を北東に取り、31日午前1時ごろに津軽海峡を抜けて、太平洋へ向かった。
2隻の前には、AIS信号を発信せず赤色灯を明滅させた海上保安庁の巡視船とみられる船舶が航行した。警戒監視にあたっていたとみられる。北海道と本州を分かつ津軽海峡は、第1管区海上保安本部(北海道小樽市)と第2管区海上保安本部(宮城県塩釜市)が管轄している。
産経新聞の取材に対し、2管の広報担当者は「領海侵入といった公表を行う事案は発生していない。通常通りだ。1管と管区を越えて連携している」と説明。1管の広報担当者も「現場から、(領海侵入などの)報告は上がってきていない。海域の情報は常に確認している」と話した。
太平洋へパトロールに向かう海警船は、2017年と2019年にそれぞれ2度にわたり、青森県沖の領海へ侵入。海保が無線で注意を呼び掛ける事態が起きた。海警6501は、2019年に当時「海警1501」の船番号で領海侵入した船舶とみられる。
海保関係者は「このようなケースでは、まずは海保が巡視船などを使って現場で確認を行う。自衛隊とも協力を行っており、定期的に通信訓練なども実施している」と話した。
9月には鹿児島・大隅海峡通過へ
北太平洋での漁業監視パトロールは、日本、韓国、中国、ロシア、米国、カナダの6カ国が参加する「北太平洋海上保安フォーラム」の枠組みで行われている。日本も中国と同様にパトロールを実施している。
中国海警局は7月27日、海警船2隻が中国の山東省青島を出港し、北太平洋で45日間の公海上での漁業取り締まりパトロールを実施すると発表した。国連決議や国際条約に基づき、大国としてグローバルな海洋ガバナンスに積極的に参加し、公海の漁業資源の保全に取り組むとしている。
2隻は、9月に太平洋から大隅海峡を抜けて、青島へ戻るとみられる。海警船は、例年北太平洋までの往復ルートに津軽海峡と大隅海峡を利用し、本州と九州を取り囲むようにして一連のパトロール任務を実施している。
2024年には艦載ヘリコプターによる漁業監視、2025年にはドローンを搭載したとみられる写真を公開するなど、海警の能力向上を示す場にもなっている。2019年ごろから、船番号が1000番台の上海、6000番台の青島の部隊が交互にパトロールを行っている。今年は6000番台の青島の部隊が北太平洋へ向かった。(西山諒)