中国が日本を「新型軍国主義」と批判する動きを強めている。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を契機に、日本が軍国主義化を進めているとの主張を展開。国際社会の同調を得ようと外交の場でも提起している。中国自身が軍拡を続ける中での軍国主義批判にはどのような狙いがあり、日本はどう向き合うべきなのか。慶応大学教授の加茂具樹氏に聞いた。(聞き手 田中靖人)
中国は高市早苗首相が昨年11月、台湾有事が存立危機事態になり得ると国会で答弁をしたことを機に、日本を「新型軍国主義」と批判するようになった。まず研究者が始め、公式には外務省報道官が12月下旬に初めて言及した。現在は中露首脳会談の共同声明に盛り込まれるなど批判の水準が引き上げられている。
中国の報道を総合すれば、「新型軍国主義」は、現在の日本の行動が、戦前の軍備拡張やアジアへの軍事行動と形の上で同じでありながら、「平和」や「防衛」といった概念のオブラートに包んで再軍備と海外での武力行使の能力の拡大を図る動きとして描かれている。
こうした中国の懸念の起点は、2021年4月の日米首脳会談の共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性」が52年ぶりに明記されたことだろう。中国は「地域の平和と安定を損なう」と反発した。同年12月に安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事」と発言し、翌年末に安全保障3文書が改定され、防衛費を大幅に増額する方針が決まった。