文部科学省や第三者委員会の指摘を待つだけの学校側の姿勢には我慢の限界だったのだろう。遺族が7月30日に初めて開いた記者会見で「『船長一人の事故』で終わらせないために刑事告訴に踏み切った」と述べたことは、学校側に対する最後通牒ともとれる。
沖縄県名護市辺野古沖で抗議船が転覆し、同志社国際高校2年、武石知華(ともか)さんら2人が死亡した事故で、知華さんの遺族が業務上過失致死傷罪などで同校関係者や抗議団体幹部ら計11人を第11管区海上保安本部に刑事告訴、同校に家宅捜索が入った。
第三者委員会の調査報告書も公表され、「平和学習中」の悲劇は新たな局面を迎えたが、これまで筆者は同志社側をあまり強く批判するのは控えたほうがいいと思ってきた。
あのような事故が起きたとはいえ、遺族にしてみれば、わが子が最後まで楽しく青春時代を過ごした学校が一方的に責められるのはいい気分はしないだろうし、多少の時間がかかっても対応を見守ろうとしているのでは、と考えたからだが、もういいだろう。
告発状は13日の受理とされるが、その直後の17日、同じく同志社国際で学んだ知華さんの姉はSNSの「note(ノート)」を更新、「自由を学んだ母校に、いま問いたいこと」として母校に対する率直な憤りを丁寧な言葉で綴っている。
学校側は当然気づいていると思うが、これを読んで何も思わないのだろうか。恥ずかしいと感じないのなら教育者として失格である。同校を運営する学校法人同志社の動きも鈍い。付け加えると、同志社大の教授陣、OBやOGたちも、「母校の危機」になぜ沈黙したままなのか。
中止を判断できたのは誰か
こちらも報道の「自由」と言えばそれまでだが、同志社国際に対する刑事告訴と家宅捜索について、産経新聞は今月28日付け朝刊の1面トップで伝えたが、各紙は相変わらず目立たない扱いだった。