多くのキリシタン藩士を抱えていた加賀藩主の前田利常。禁教下の時代、自分のために罪を犯した藩士たちが死の前に洗礼を受けることができるように恩賞として洗礼盤を与えた。
それは「伝世品(でんせいひん)古九谷平鉢」と呼ばれ、表向き転教した藩士たちのために、十字や水の意匠などキリシタンのマークが巧妙に描き込まれていた。色絵の美しい模様に赤があまり使われていないことに対して著者は「流血への連想をさけたのかもしれません」と解釈。
加賀藩ゆかりの古九谷と利常の関係など、社会背景をひもときながら洗礼盤の成り立ちを探る。(現代書館・2500円+税)