中国語の横断幕を掲げながら自衛隊員に請願書を渡す中国側訪問団のメンバー(「ノーモア」のYouTubeより)
やってきた中国人たちは何者なのか? やや説明が必要になる。
中国では従来、大戦中の侵略被害をめぐり、「中国民間対日賠償請求連合会」という団体が日本政府に請求運動を行なってきた。今回の和平訪問団も、この団体のメンバーと、中国側で集められた戦争被害者の遺族である。
こうした被害の訴え自体は、日本人として向き合うべき歴史問題だろう。ただし問題は、一党専制国家である中国に、純粋な「民間」運動はほとんど存在しないという冷酷な事実だ。
「われわれの運動には党の一部の後ろ盾がある」
2015年4月、私が中国吉林省で取材した同会幹部(当時)の王錦思氏はそう明言していた。
事実、同会の設立時の名誉会長は、統一戦線工作部(党の協力者獲得部門)の元部長や元海軍上将。さらに顧問は、中国の核ミサイル部隊の政治将校だった元中将らだ。つまり、党や軍の保守派の長老たちが、彼らの「後ろ盾」ということだ。
今回の訪問団の参加者も、侵略戦争被害研究家を名乗る李暁方氏は元軍人。過去に浙江省の広電総局(言論統制部門)を率いる立場だった中堅クラスの党官僚OBだ。
一方、動画では訪問団にこんな挨拶をする沖縄側の人物もいた。
「(交流を通じて)中国も二度と戦争をしないということを確認したいと思っています」
だが、通訳された中国語を聞くと、こうした中国側に不都合な意見はまったく訳されていない。歪な交流と言っていい。