「社会そのものがデザインでできている」――クリエイター・佐藤可士和の整理し続ける人生
さまざまな企業のクリエイションを手がけるクリエイター・佐藤可士和(61)。ユニクロ、セブン-イレブン、楽天、くら寿司、日清食品……。街の至るところに、佐藤のデザインはある。商品やロゴ、広告を超えて企業の経営戦略にかかわり、新しい概念を打ち出してきた。30年以上にわたり、移り変わる世の中でどうデザインし、今の日本社会をどう見ているのか。(文中敬称略/撮影:倭田宏樹/Yahoo!ニュース オリジナル RED Chair編集部)
ネット、スマホ、AIとデザイン
佐藤可士和は昨年、還暦を迎えた。あっという間で「信じられない」と言う。自身のクリエイティブスタジオ「SAMURAI」を立ち上げたのは2000年のこと。歳月を振り返ると、「デザイン」という言葉が一般的になったと話す。 「デザインされていないものって、実はほとんどない。何らかの形で生み出していく過程がデザイン。社会そのものもデザインでできていると思います」 この30年でインターネットが普及し、スマートフォンも登場。デザインを取り巻く環境は大きく変わった。 「ロゴの耐久性は考えます。スマートフォンがない頃とはメディア環境も変わっているので、アイコンのような小さいサイズで見ても、店の看板やビルボードみたいな大きいもので見ても、イメージがぶれないかどうかとか」 今は仕事にAIも使うようになった。 「いつも未来予測というか、先の想像をしてきたんですが、AIについてはちょっと見えないですね。すごいところに立ち会って生きているなと。クリエイターの仕事はAIによって大きく変化するでしょうね。今までもテクノロジーの進化とともに人間の仕事や役割は変化しているので、また新しく求められることがあるのかなと思います」
ユニクロ柳井会長と朝のミーティング20年
企業やプロジェクトと長期的に関わり、例えばユニクロと20年、セブン-イレブンと16年、楽天と23年、ともに歩んできた。ユニクロの柳井正会長とは、20年、ほぼ毎週1対1のミーティングをしている。 「毎週お会いして、朝30分くらい話をしています。柳井さんのゴールデンタイムは朝。そのミーティングから、山のようなアイデアや商品、戦略が生まれています」 ユニクロとどんなことに取り組んできたのか。 「ロゴを作ったり、グローバル旗艦店のデザインをディレクションしたり、ヒートテックという商品をリブランディングしたり、エアリズムというブランドを開発したり。いろんなことをやりますが、結局は、日本発のカジュアルウェアブランドをどう服の歴史に位置づけるか、服の歴史をどう更新するか。柳井さんは、『それを考えるのが可士和さんの仕事です』と」