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スマートフォンに保存した大竹さんの写真を見ながら思いを語る親族の男性=31日午後3時ごろ、熊本県内(撮影・米村勇飛)
たわいない話で笑い合った家族や親族を一瞬で失った。熊本県を7月28日に襲った最大震度7の地震後、大型商業施設「イオンモール熊本」(同県嘉島町)で起きた爆発の犠牲者。「一度避難したのに、どうして建物に戻らなければならなかったのか」。遺族はやり場のない「なぜ」を抱え憔悴(しょうすい)しきった表情を見せる。
「レジのお金を、金庫に入れに行かないといけないの」
テナントの雑貨店社員、大竹玖瑠美さん(22)が残した最期の言葉だ。親族の男性によると、大竹さんは地震の後、店外に避難。買い物に来ていたおばといとこに駐車場で偶然会い、こう語った。おばといとこは制止したが、その場にやってきた同僚とともに「会社の人から頼まれた」と言って店に戻った。およそ5分後、爆発が起きた。
連絡が付かなくなった大竹さん。スマホの位置情報をたどると、勤め先のテナントのそばを示した。
「携帯は建物の中にあっても、本人は無事に逃げたのでは」。大竹さんの母親らはすぐにイオンモールに駆け付け、祈る気持ちで救助活動を見守った。29日未明。同僚と共に遺体で見つかった。損傷が激しく、身元はDNA鑑定で特定された。
大竹さんは3人きょうだいの長女。3年前に父親を亡くし、家族を支えていた。「推し」の男性アイドルのライブを楽しみにしていた。
「明るく頑張り屋だった」。親族の男性は振り返る。「一度は助かったのに、言葉がない。素直で真面目な子なので、行かなきゃと思ったんでしょう。悔しい」。声を絞り出し、目を赤くした。
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別のテナントの女性社員は地震後、熊本市内で同居する父親に電話し無事を確認し合った。「店の物が倒れたりしているから、片付けて帰る」。その後に爆発が起き、29日に遺体で発見された。胸部圧迫による窒息死。「どれほど痛かったか。まだ現実感がない」。女性の兄は声を震わせる。
4人暮らし。女性は母親と友達のような関係で、たわいもない話で毎晩、盛り上がっていた。まな娘の死に母親はやつれきっているという。
「爆発の映像を見る度に、この時まで生きていたんだと思う。妹はなぜ巻き込まれたのか。真実を知りたい」と兄は話す。
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地震の後、仕事への責任感から建物内に戻った犠牲者。イオンの吉田昭夫社長は29日に記者会見し「死亡した方がなぜ(爆発時に)館内にいたのか分からない」と説明した。大竹さんと女性の勤務先は、会社側が戻るよう指示を出したかなどについて、ともに「詳細を確認中」としている。(本紙取材班)