小児科専門医おすすめ…悪質な「グルーミング」から発達障害の子どもを守る”最強の対策”とは
「この子は将来、自立できるのだろうか」そんな不安で頭がいっぱいの子どもが発達障害を抱えた子どもの親御さんや、教員、支援者にぴったりの一冊『発達障害を抱える子どもの「できる!」を増やす作戦図鑑』。
長年にわたり障害者医療、発達障害の臨床に携わってきた医師2名が、自立に必要な力が身に着く、大人からの声かけ・接し方を教えます。今回は、子どもの身を守るために必要な「グルーミング」の知識についてお伝えします。
グルーミングから子どもを守るために
まずは子どもを、グルーミングに巻き込まれるリスクから遠ざけるようにしましょう。加害者は、周囲から「何の心配もない好人物」と思われていることが多いので、「知らない人についていかない」と教えるだけでは不十分です。加害者がインターネットを介して接触する可能性もあるので、次の3つの心がけが欠かせません。
①子どもが誰かとふたりきりになる状況をつくらない
たとえば、「〇〇ちゃんも先生も寂しくないように、みんながいるところでお勉強(お稽古)してね。そうすればみんなも、『よくやっている』とわかってくれるから」などと伝えて、ふたりきりになる状況を極力なくすようにしてください。
ポイントは、その場にいる人の年齢、性別、職業などに関係なく、いつでもこの配慮を欠かさないことです。習い事、地域の行事などのイベント、冠婚葬祭など、複数の人が集まるときに活用してください。
家庭教師による個人指導など「一対一」になりやすい場面でも、たとえばドアを開けておき、他の大人の目が届きやすいところで指導をしてもらうなど、環境を整えることでリスクを減らせます。さりげなく自然に「一対一」になる状況をなくして、子どもに無用な警戒心を抱かせることなく、グルーミングのリスクを減らせれば理想的です。
ただし、グルーミングが疑われる行為に気づいた場合は、子どもにはっきりとその人物に近づかないように教えたり、親が同行してその場に居合わせる、といった直接的な対応も必要となります。
普段からの信頼関係が大事
②フィルタリングサービスを活用する
インターネット上に存在する、子どもに不要な(あるいは有害な)情報へのアクセスに制限をかけるのが、「フィルタリング」と呼ばれるサービスです。情報から遠ざけることで、グルーミングに巻き込まれる危険を減らします。
2018 年に、いわゆる「青少年インターネット環境整備法」が改正され、18 歳未満の青少年がスマートフォンを含む端末を新規に契約(または機種変更)する場合は、原則としてフィルタリングサービスを設定することが義務付けられました。
ただ、家庭によってはフィルタリングサービスが設定されていない端末を子どもが使っていることが、まだあるかもしれません(たとえば家族で端末を共有している場合や、きょうだいのお下がりを使っている場合など)。
あらためてフィルタリングが有効になっているかどうか確認し、有効になっていない場合は、速やかにサービスの利用を開始することをおすすめします。
③普段から親子の間で信頼関係をつくっておく
心のどこかに寂しさを抱えている子ほど、グルーミングに巻き込まれやすいと言われています。甘言を弄する加害者を、「この人は親や他の人とは違う。自分を大切にしてくれる、優しくて特別な人だ」と錯覚しやすくなるからだと考えられます。
子どもが孤立感・疎外感を覚えることのないよう、日々、明るく前向きなコミュニケーションを積み重ね、親子あるいは先生と、児童・生徒の間で信頼関係をつくるように心がけていただきたいと思います。
同時に、たとえば「怖いこと・嫌なことがあったら遠慮なく相談していいんだよ」「あなたの力になりたいから、何でも言ってね」などと子どもに伝えて、話しやすい環境を整えてあげてください。
親子の信頼関係と絆こそが、最も有効な、そして最強のグルーミング対策です。