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館山産「生キクラゲ」広がる販路 旧富崎小校舎活用して栽培 地元スーパー・飲食店で好評

 2026年07月25日 03時00分
生のキクラゲを持つ生方さん=館山

館山市の旧富崎小学校を借り受け、有機キクラゲを栽培する「ビタミンファーム株式会社」(東京都港区)が、市内での販路拡大を本格化させている。国内流通の大半を外国産の乾燥品が占める中、希少な「館山産」の「生キクラゲ」に特化した販売戦略が奏功し、地元のスーパーや飲食店で好評を博している。


同社は、市から無償で借り受けた旧富崎小の校舎を栽培拠点として活用。食用やビタミンD抽出の原料として有機キクラゲを年間約50トン生産している。これまでは主に大手飲食チェーンや食品メーカー、県内の学校給食などに供給してきた。今回、地域還元活動の一環として、地元・館山市内での流通拡大に本腰を入れた。

国内で流通するキクラゲの約9割は中国産の乾燥品とされ、価格競争では国産品は厳しい立場にある。そこで同社は、品質の高さを武器に「生」に特化。乾燥品との明確な差別化を図ることで、新たな需要の開拓を狙った。

その成果は顕著に表れている。同社によると、今年初め、市内のスーパー「おどや」で実施した試験販売では、1パック50グラム入りの生キクラゲ30パックがわずか約2時間で完売。「館山産」「生キクラゲ」という希少性が消費者の心を掴んだという。現在では同スーパーの約10店舗へと取り扱いが拡大し、週に約320パック(約16キロ)を納品するまでに成長している。

さらに、市内飲食店への納入にも6月ごろから力を入れ始め、約1カ月間で市内約10店舗に拡大した。取引先からは「地元の良い食材を使いたい」「地産地消につながる」「『館山産』というストーリー性が魅力」といった声が寄せられている。現在では、食材としてキクラゲを使うことの多い中華料理店にとどまらず、パン店や食品加工業者からの問い合わせも増加傾向にあるという。

同社の生キクラゲを扱う中華料理店「正龍」の中村友彦さん(48)は「乾燥品とは違い、生ならではのコリコリとした食感が素晴らしい。炒め物にしても存在感があり、地元産の新鮮な食材をお客さまに提供できるのはうれしい」と笑顔を見せる。また、キクラゲとタマゴのカンパーニュサンドを提供するパン店「スルジェ」の加瀬陽一さん(47)も「肉厚でぷりぷりでおいしかったから、キクラゲを使ったメニューを作りたかった。お客さんにも好評です」と手応えを口にする。

 

正龍のキクラゲ炒め(通称・ブラック)

 

スルジェのキクラゲとタマゴのカンパーニュサンド


同社の生方雅基さん(53)は「地元・館山の皆さまにこれほど温かく迎え入れていただき、大変うれしい。旧富崎小学校という大切な地域の資産を活用させていただいているからこそ、この生キクラゲを館山の新たな特産品として育て上げ、地域に恩返しをしていきたい」と話した。

栽培拠点となっている旧富崎小学校は2012年に休校、17年に閉校した。市は跡地の有効活用による地域活性化を目指して民間事業者を公募し、2024年4月に同社と契約を結んだ。

 

(押本裕也)

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