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Que farsa! / 惚れた弱み/眠の小説

Que farsa! / 惚れた弱み

9,890文字19分

/Que farsa!
𝕏の🏅アニメ公式で☀️と🙏さんがやってた連想ゲーム当て動画のよつver.のお話

/惚れた弱み
付き合ってまだ短いふたり
喧嘩して癇癪を起こし出ていった🦅と、マンションに残された☀️はどうしたらいいかわからなくなる話
⚠️ ☀️の喫煙シーンがちょろっとあり

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Que farsa!



 へらへらとした表情の司が、純の隣へと座る。
「どうしたの」
 そこでまた司はうふーっとご機嫌な笑みを向けてくるから、純は首を傾げた。
「おれぇ、純さんとやりたいことがあって」
「?、うん」
「いのりさんとたまにやるゲームなんれすけど、」
 一つひとつの合間にうふふ、やら、えへへ、やらと司の笑みの合いの手が入る。
 何がそんなに面白いのやらと思うが、ずっとニコニコしている彼は数時間前から酔っ払っている。飲みやすいと飲み始めてから何杯目だろう。楽しいですねぇ!とはにかむ司の笑顔を肴に、純はアルコールが一滴も入っていない水で喉を潤す。
「相手の考えてることを当てるゲームなんれすよぉ」
「そう」
「まず思い浮かべるテーマを決めるんれすけどね」
 わずか呂律の回ってない彼の口元を眺めながら、純はその唇に食らいつきたい気持ちと、でも酒臭いだろうなの気持ちが交差する。
 拙い説明を聞くに、食べ物とかスポーツとかテーマを決めてその中で相手にひとつ思い浮かべてもらったものを当てるらしい。その答えに近づいていけるように質問をしていき、相手は「はい」か「いいえ」で答えていく。そしてわかったら答えを言うということだった。
「まずはぁ、俺かられす。好きな食べ物でいきますねぇ」
「ドーナツでしょ」
「ちょっ、じゅんさんっ!答え言ったらダメじゃないれすかぁ!」
「違うの」
「もう!合ってますけどぉ!質問するんれす!俺にいっぱい質問してくらさい!」
 アラサーの恋人は頬を膨らませて五歳児並みの可愛い憤りを見せる。ぷんすこ!と頭上に書いた文字が見えた。
 純は小さくため息を吐く。まどろっこしいことは嫌いだった。基本何でも簡潔に。……まぁ、そんなことを言い出してしまえばこのゲームのルールは崩壊してしまうのだけど。
「はい!じゃあもーいっかい!別のもの浮かべるので!」
「……わかったよ。じゃあ、それは冷たいの。温かいの」
「あったかいれす!」
「………それ、おとといの夜中に食べてた?」
「えっ!?なんれ知ってるんれす!?」
「はいなの、いいえなの」
「は、はいぃ………」
 
 一昨日。情事の後に一度はふたりして眠ったのだが、夕食も取らずに事を始めてしまった為に司はお腹が空きすぎて目が覚めてしまったのだ。純を起こさないようにそうっと起きてリビングへと向かい勝手知ったる戸棚を漁る。
「お腹が空いて目が覚めるだなんて子供かよ……」
 そう独りごちながら取り出したのは袋の即席ラーメン。冷蔵庫には手軽に食べられるものもあったが、空腹かつ体を動かした後に食べるラーメンがどれほど美味いかを知ってしまっている。少々の面倒をおいても、選んでしまう食べ物だった。
 それに、趣味とはいえ食に気をつけながら筋肉を育てているからこそ、たまに食べるラーメンが大好きだった。
 
「なぁんれ、知ってるんれすかぁ……」
 アラサーの恋人はぶすくれた顔も可愛い。突き出した唇に純はやはり食らいつきたくなる。
「司のことはなんでもわかるよ」
「じゅん、さぁん……♡」
 純のそれは決めゼリフでもなければ、口説き文句なわけでもない。たかだか好きな食べ物を当てただけだし、どちらかと言えば呆れが含まれている。それでも、生涯の推しからファンサを貰ったオタクのように瞳をハートにさせてうっとりと表情を蕩けさせる。
「じゃあ次は僕だよ」
「へぁ……?」
 束の間だった。ゲームのことなど忘れてうっとりと純を見つめていた司の瞳の中のハートは、バチンと暗示が解けたように普通に戻る。
「人を思い浮かべて」
「ひと、れすかぁ……?うーん……」
 人というあまりにも大きい括り。"どんな"と付けていないせいで漠然としたテーマに司は迷ってしまう。それでもふと浮かんだのは何故か高峰匠。司の元アイスダンスのコーチであるが、純の元コーチでもある。
「うかべました!」
「じゃあ……男性なの」
「はい!」
「スケートはしてるの」
「はい!……さっそく絞ってきますねぇ~」
 何度も言うが純はまどろっこしいのが嫌いだ。何事も簡潔に。
「コーチはしてるの」
「は、いや、いいえだなぁ」
「は?」
「はぇ?」
 純の凄む返答に、司はなぜ凄まれたかはわかっておらず、ぽかんとした表情に小首を傾げたアラサー男性は、その体躯を以ても純からすれば小動物的可愛さも持つ。いつもなら間髪入れない純の返答が来たならビクリと身体を跳ねさせているだろうに、酔っ払っているために反応も判断も理解も鈍っている。
「………なんでもない。過去にもしてないの」
「いいえ!」
「ふうん」
 苛立っていたかと思えばどこか満足気な表情に変わった純の変化には、交友関係のある僅かな者にしかわからない。
 くるくると変わる表情を見せる司に対してほぼ表情筋が仕事しないあの純が、今はどうにも表情の切り替わりが忙しい。しかし前述の通り表情の変化にあまり気づかれない為に、傍から見れば不機嫌と無愛想と苛立ちという3つのバリエーションとなっているだろう。なんて最悪な欲張りセットだ。
「オリンピック金メダリストなの」
「うーん……いいえ!」
「はぁ………」
「どうしたんですかぁ?」
 呑気な司に純は深いため息をひとつ。何か思うことがあるらしい彼に、酔っ払って察しの悪い司は目を瞬かせてみるが。
「じゅんさん!早く♪早く♪」
 純の心、司知らず。
 今の司は幼子のようにはしゃいでいる。
「ねぇ、もう一度ちゃんと思い浮かべて」
「はぇ?……うーん、はぁい」
 これが何を意味するのか。純の言いたい真意を司はまだ汲み取れていない。
「思い浮かべた人はスケート選手で」
「はい」
「オリンピック金メダリストで」
「え?だから、」
「オリンピック金メダリストなんだよね」
 はい以外の答えは許さないどころか無いという圧を純は寄こす。まるで毛は逆立って見え、そんな物騒な雰囲気に圧倒された司は「はい」と答えるしか出来なかった。
「君が憧れた人で」
「!?………は、い」
 ここまで来てやっと、酔っ払っている司もさすがに純の言いたいことの察しがついた。
「君の好きな人で」
「はい……」
「君の恋人で」
「はい……♡」
「僕でしょ」
「はい……♡♡」
「司、おいで」
「じゅんさぁん……♡♡♡」
 純が両手を広げれば、司はいそいそと純の膝の上に横抱きに座り、まるでペットの犬や猫のように純の首元に顔を埋めながらぐりぐりと擦り付けている。抱き抱える純はさぞ当たり前だと言わんばかりの態度で鼻をふんと鳴らし悠然としていた。
 司が純を大好きだからこそ、恋人が自分とは違う誰かを思い浮かべるのでさえも許せないのだ。もしここでうっかり司が高峰匠の名前を零しでもしていたら、純は「司が名前を忘れるくらいまでは近づかないでください」だなんて電話していたに違いない。
 まぁ、誰を思い浮かべてたのかと問われるのも時間の問題ではあるが、もう少し時間を引っ張れれば司は酒のおかげで高峰匠の名前どころかこの瞬間すら忘れている可能性がある。この後の司の(身体の)ことを考えるなら、きっと記憶を飛ばした方がいいのだろうけれど。
 
 
 
『あら、あれは何かしら』
『ふふ、相変わらずのふたりだよ』
『見てよ!あのジュンの顔!』
『嬉しそうな顔してるね』
『……あれ、嬉しそうな顔なの?』
 
 ここは鴗鳥家。春も近づいた三月後半。安定しなかった気温も最近はずっと暖かい。過ごしやすい日が増えると、鴗鳥家ではテラスで食事をすることもしばしば。エイヴァが手料理を振るったり、パーべキューをしたり、昼間にはアフタヌーンティーを楽しんだり。
 今日は理凰が総太の家にお泊まりという事で、エイヴァは純と司を呼ぼうと提案した。一度呼んだ時に本当に美味しそうに食べる司をエイヴァはすっかり気に入ったのだ。今日も腕によりをかけて作るわよ!と意気込んで、アメリカの家庭料理を沢山並べれば案の定司は目を輝かせてどれも美味しいと頬をいっぱいにして食べていた。
 酒はさほど強いわけではない司だが、酒に強いエイヴァがこれなら飲みやすいわよ~!と飲ませていたら出来上がってしまった酔っ払い。潰れはしなかったが、代わりにただただ愉快な男が生まれてしまった。
 そうして司から始まったゲームの明らかに違う終わりを慎一郎は微笑ましく眺めていた。普通なら親友と恋人とのイチャつきなど見ていて恥ずかしいものだが、慎一郎は違う。純がああも他人に独占欲を見せている瞬間に感動すらしていた。完全に親の気持ちである。
 自宅だというのにもはやふたりには空気のように扱われて、それに倣って空気のように過ごしてた慎一郎のところにある程度の片付けを終わらせて戻ってきたエイヴァの目に入った光景。
 
『ゲームって……最後はあんな風になるゲームって何?』
 エイヴァは呆れたように笑って、尊大な態度で座る純と抱きかかえられた司のイチャイチャを眺めている。
『テーマを決めて、相手が何を思い浮かべているか当てるゲームらしい。明浦路先生がたまに生徒とするようで』
『それであれに……?アケウラジ先生が思い浮かべてたのがジュンってこと?』
『いやぁ、明浦路先生は違う人を思い浮かべてたっぽいけどね。純くんの僕でしょって圧が強かったよ』
『それで屈したってわけ?まぁ、呆れた!』
 
 
『茶番じゃない!』
『茶番だなぁ』
 
 
 
 Que farsa! (ケ・ファルサ)
ポルトガル語で「なんて茶番だ!」

 

 

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コメント

  • けゆ
    6月8日
  • rururi
    6月8日
  • 夜猫
    6月8日
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