熊本県で28日に起きた地震で最大震度7を記録した宇城市では、自宅が大きく損傷した被災者が少なくなく、停電や断水にもあえいでいる。「雨漏りが心配」「10年前の地震とは比べものにならない」。閉まらなくなった窓から飼い猫がいなくなってしまったという男性は「おなかいっぱい食べられているといいが」と涙を流した。
30日午前、自宅屋根の瓦がはがれたという園田孝二さん(79)が、屋根に上って補修していた。「暑くて汗がダラダラ。業者を呼んでも来る気配がないので、こうして自分でやらないと雨が降ったら雨漏りしてしまう」と嘆いた。
室内の被害も大きく、2階の壁がはがれ落ちて外が見える状態に。窓も閉まらなくなり、虫が入ってくるという。29日から家族と協力して掃除し、今後ベニヤ板を買ってきて補修するつもりだ。
停電と断水の影響も大きい。近くの道路では水道管が壊れたのか水があふれ出しており、そこから水をくんでくる。停電で冷蔵庫が止まり、中のものは腐ってしまった。「今回の地震は10年前とは比べものにならないくらいひどい」と涙ぐんだ。
「車で涼んだり寝たりして、落ち着いたら家の片づけをするという作業の繰り返し。終わりが見えない」と話すのは、富山義彦さん(71)。約30年住み続ける自宅は10年前の地震で一部損壊し、その後壁と瓦を補強したが、今回の地震で壁がはがれ、窓が閉まらない状態に。浴槽も割れてしまった。
「物価も上がり、自分で修理するにしても業者に頼るにしてもお金も時間も足りない。もう住めないと思う。解体するにもお金が必要ですよね」
何よりつらいのは、飼っていた猫が閉まらない窓からいなくなってしまったことだ。「もう見つからないのでは。おなかいっぱい食べられているといいが」と涙をぬぐった。
ボンネットを開けて熱がこもらないようにした車で暑さをしのいでいるという斉藤博司さん(72)の自宅も瓦がはがれ、「雨漏りがとても心配」という。
室内では棚が倒れて食器や小物が散乱し、足の踏み場がない状態に。停電でエアコンや冷蔵庫が止まり、「暑さで片付ける気力もわかない」と話す。「最近娘からもらった牛肉が腐らないよう保冷剤で守っているが、いつまでもつか」と肩を落とした。