〈GOT Night Novel〉始動のお知らせ
2026年3月1日 16:41・全体公開
いやー、ずいぶんと長いこと、ご無沙汰しておりました。
2024年の〈マドンナベリー文庫〉休刊からだいたい一年半、ずっと沈黙状態で申し訳なかったですが、ようやく〈官能小説の新しい実験室〉第二期シリーズを勃起……もとい、始動することになりました。
その新レーベルは〈GOT Night Novel〉、ジーオーティーの新しい文庫レーベルです。
というか、レーベルまるごと、マドンナ社(二見書房)からジーオーティーへ移動しました。
休刊広告に「再見!」と書いていましたが、実はこの時点で移籍して第二シーズン刊行が決まっていました。
でなきゃ書かないんですが、かなり珍しいケースだと思います。
前回は〈ライト官能文藝〉で、今回は〈夜のライトノベル〉という惹句になりましたが、〈官能小説の新しい実験室〉シリーズの「属性よりもキャラクターで描く」基本コンセプトは同じです。
そして、〈官能小説の新しい実験室〉第二期シリーズの第一弾になる『からっぽでエロい関係 年下義母はまだ人間じゃない』を3月27日に発売予定です!
作者は山野詠子さん、イラストレーターは鳴島かんなさんです。
肝心の内容は……まだ人間じゃない人間未満なひとびとが繰り広げる、誘惑と打算が捻くれて純愛になっていくエロい物語です。
ちなみに〈マドンナベリー文庫〉は電子書籍レーベルだったんですが、〈GOT Night Novel〉は紙書籍も出るみたいです。正気か。
まあ、休刊から再始動までいろいろあったんですが、そのあたりのあれやこれやは、毎度恒例の胡散臭いQ&A形式の与太話をどうぞ。
〈官能小説の新しい実験室〉第二期シリーズの現況と展望。
Q/まさか、レーベルが復活するとは思わなかったですね。
A/いやー、「捨てる神あれば拾う神あり」ということわざがあるけど、本当にそんなことが起きるとは思わなかったよね。
一応、〈マドンナベリー文庫〉最終の『ノクターナルプレイグラウンド』で「再見!」と予告は出していたんだけど。
Q/でも、その予告では「2025年……某社新レーベルから、第2シーズン刊行!」と書かれていましたが。
A/2026年になってしまいました。すいません。
これは説明しますと、第一期シリーズの〈マドンナベリー文庫〉は、マドンナメイト文庫のサブレーベルという扱いで、電子書籍専売の実験レーベルだったんですよ。
でも、今回の〈GOT Night Novel〉は、紙書籍も刊行するメインレーベルなんですね。
Q/イチから立ち上げた、と?
A/そう。ぼく自身は〈GOT Night Novel〉内の〈官能小説の新しい実験室〉第二期シリーズだと思っているんですが、今回は母体となるレーベルが存在しないので、イチから作っていたら単騎で一番槍になってしまいました。
続けばそのうち、〈パノラマ観光公社〉以外の制作ラインも立ち上がると思うけど、しばらくは〈官能小説の新しい実験室〉シリーズがそのまま〈GOT Night Novel〉ということになりそうですよ。
Q/この出版不況のご時世に、文庫レーベル創刊なんて珍しいですよね。
A/ぼくもびっくりしたよ。
前にも言ったと思うけど、景気が良かったら、そもそも〈マドンナベリー文庫〉は予定通り、2年間ですべて実験完了していたし。
今回のジーオーティーは『アンスリウム』『E×E』などの成年コミックから、一般向けの『COMIC MeDu』まで幅広くマンガを扱っている出版社だけど、その流れで小説(ライトノベル)も作りたいという意向があって、ぼくに話が来た……ということらしいですよ。
もともと「現在進行形の成年コミックのように官能小説を書いてみたい」というのが〈官能小説の新しい実験室〉シリーズの企画動機だったから、そのあたりは、成年コミックの版元のほうが合っていると思うよ。
特にイラストレーションの実験性、という点で。
ちなみに、ジーオーティーの担当部長さんは英知出版で『ビデオボーイ』を作っていたひとなんだけど、ぼくはその頃、某社で競合誌の仕事を手伝っていたんだよね。
地下流通ビデオに出演していたアイドル声優の首実検とか……。
なので、同期の桜というか、お互いどっこい生きてた感がありました。
Q/嫌な同期の桜ですね。
A/90年代エロ本業界人は、生き残っていればみんな同期の桜なんだよ。
消息不明なひとが多いから。
〈官能小説の新しい実験室〉の刊行予定。
Q/(無視して)……ええと、今後のラインナップは?
A/とりあえず、休刊時に告知していたラインナップを出していきます。
本当は月刊ペースで出したかったんだけど、如何せん完全ワンオペの企画編集なので、連続で出たり、隔月になったりの不定期刊になると思いますが、第二弾は高橋徹さん×MGMEEさん『都会のメンエス嬢、静かな街で淫蜜純愛性活はじめました』、第三弾は夜ノ杜零司さん×ひげたさん『ゲーミング少女と俺の夢を叶えるAV編集 百回射精撮影会』の予定です。
発売予定はあくまで予定ですが、詳しくは続報を待て、ということで。
Q/そういえば、第一弾の山野さんは休刊告知のときには名前がなかったですが……他にもそういう隠し玉があったりするんですか?
A/いや、隠し玉でもなんでもなくて、『ノクターナルプレイグラウンド』を作っていたら、飛び込みで『からっぽでエロい関係』のプロットが届いたんですよ。
正直、「休刊するんだけどなあ……」と困ったんですが、まったく同じタイミングでジーオーティーから〈GOT Night Novel〉の話をいただいたので、見切り発車でOKを出してしまったんですね。
そうしたら、当たり前だけど、専業小説家のほうが執筆が早いし、執筆陣の中で一番若かったので、第一弾になりました。
結局、若い順から書き上がるんだよね。
〈官能小説の新しい実験室〉の新しい実験。
ちなみに、今のところ、積極的に持ち込みを募集しているわけではなくて、『からっぽでエロい関係』は偶然の産物です。
〈官能小説の新しい実験室〉と銘打っているレーベルなので、既存の官能小説やエロラノベのレーベルでも書ける作品なら、そっちで書いたほうがいいと思うんですよ。
Q/剣と魔法とビキニアーマーは禁止、でしたっけ?
A/ああ……そういう『スレイヤーズ』のエロ同人誌みたいなのは、二次元ドリームノベルスで書いたほうがいいと思うんですよね。
創刊のとき、担当さんに「『スレイヤーズ』のエロ同人誌みたいな小説を書いて」と言われて、苦手なので無視したら「この純文学くずれが!」と怒られたんだけど、そんなぼくが作ったレーベルに剣と魔法とビキニアーマーを持ってこられても、こっちが困っちゃうよ。
というか、〈パノラマ観光公社〉以外の制作ラインでは、剣と魔法とビキニアーマーを積極的に扱うようなので、たぶんそっちを紹介します。
今のところ〈官能小説の新しい実験室〉は現代劇のレーベルということにしているので。
Q/「今のところ」?
A/実験レーベルだけど、なんでもありにしてしまうと、たぶん、際限なく内容がとっ散らかってしまうんだよね……。
昔、雑誌の編集に関わっていた頃の教訓というか、小説レーベルもその点は同じだと思うから、一応、そういう枠組みを設定している、という感じかな。
SFやホラーやミステリは混じるかも知れないけど。
Q/SFやミステリも別に好きじゃないですよね?
A/いや、SFやミステリも、めっさ読者だよ。
つーか、『SFが読みたい!』の国内・海外ベストのアンケート、10年以上書いているんだけど……。
好き嫌いの話をすると、ジャンルをクロスオーバーするスリップストリームな作品が好きだけど、ジャンル原理主義的な作品は苦手なんですよ。
それでいつも、周囲から「お前は信仰心が足りない!」と怒られたり、干されたりしているんだけど、官能小説はスリップストリームな実験を書いても、エロ=他者との関係性という核があるから、物語がとっ散らからずに済む美点があるんだよね。
Q/そんなわけわからん理由で官能小説を書いているんですか?
A/まあ、ぼくは前述の担当さんに怒られたあと、本格的にエロラノベから追い出されて、何故か一般向けライトノベルで再デビューして、好き好んでまた戻ってきた、おかしな経歴の持ち主ですから、官能小説とエロラノベの保守本流はやっぱり分からないんですよ。
やっぱり分からないからこそ、文藝の実験をやっているというか……。
Q/実験と言えば……マドンナベリー創刊のときから、名前だけがずっと載っているひとがいますけど……〈GOT Night Novel〉で出るんですか?
A/書き上がれば出しますよ。書き上がらないだけで。
というか、そのひとの作品を出すまではレーベルを続けたいんだよね。
夜ノ杜零司さんやぼくもかなり、奇妙な官能小説を書いていると思うけど、実験性だけならたぶん極北だと思うので。
Q/ああ……執筆は進めているんですね。
でも、それって完全に枷じゃないですか?
A/まあ、学生時代からの長い友人でもあるので……。
しかし、レーベルをやっていると自分の小説を書く暇がないという構造的問題があってね……。
もともと、マドンナメイト文庫に持ち込んだ『葉名と伯父さん』のプロットがカテゴリエラーを喰らったから、自分でレーベルを作る羽目になったんですが、ワンオペ編集だと、新作小説を書く時間がまったくない。
完全に日曜(しか書けない)小説家ですよ。
まあ、それでも奇蹟的に書いたけど。
たぶん第四弾で出ると思う。
Q/やっぱりあんたが一番イカれてるじゃねえか。
なんだこのあらすじ。
令和の世に「世界の終わり」って、ふざけてんのか。
ゼロ年代から出てくるな。
A/うるせえな。
そこはレーベル創刊の事情というか……実験レーベルを企画した張本人である以上、実験性の限界値を提示しておく必要があったんですよ。
〈官能小説の新しい実験室〉の変わらないコンセプト。
なので、これよりイカれた作品を書いたら、さすがに没にする可能性が高いからね、という小説を書いております。
たぶん、別方向に突き抜けるハジケリストが出てくるんだろうけど……。
Q/嫌なレーベルだな……。
まあ、レーベルの基本コンセプトは〈マドンナベリー文庫〉から変わらないんですね。
A/さっきも話したけど、そこはまったく変わらないですよ。
もともと、「現在進行形の成年コミックと同じノリで小説を書きたい」というのが、『葉名と伯父さん』のプロットを書いた動機で、そのプロットがマドンナメイト文庫でカテエラになってしまったから、受け皿を作ろうということで始まったレーベルなので、そこは変わりようがないんです。
まあ、第二期シリーズの新しい方針として「もう少しエロの塩梅を増やそうかな?」とか思ったりもしたんだけどね。
電子書籍ストアを見ると『葉名と伯父さん』だけ18禁扱いになっていて、他のタイトルは一般向け扱いという、おかしな事態になっていたから。
Q/なんでそんなことに……。
A/まったく分からない。『葉名と伯父さん』のカバーイラストが上下とも下着で露出度が高かったからなのかな。
他のタイトルもそんなに違いはないと思うんだけど……。
ちなみに「エロの塩梅を増やそうかな?」と言ったら、とあるひとから「だったら描かないよ」と言われてしまったので、そのあたりも変わらないと思う。
Q/官能小説レーベルなのに?
A/官能小説レーベルである以前に、文藝レーベルで、実験レーベルだから描いたんだよ、ということなんでしょうな。
そういう曖昧さが大事なんだよ、というのは、それはそう。
でないと、それこそつまらないカテエラが発生してしまうからね。
まあ、今回は明確に18禁扱いで販売することが決まっているんですが、逆に『旅路の果てまで突いてくる』のカバーイラストで陰毛を出したらさすがに呆れられてしまったので、エロの匙加減に関しては、作品ごとに塩梅が変わると思います。ちゅ、多様性。
Q/……というか、カテエラ関連の話、聞くたびに疑問符が浮かぶんですけど、そんなにカテエラって発生するものなんですか?
A/しないと思うんだけど、ぼく個人に関しては頻繁に遭遇しているし、今回の第一弾『からっぽでエロい関係』も他のレーベルではカテエラだったみたいなんだよね。
山野さんは、ぼくよりよっぽど本職の官能小説家だから、そう言われたら「ま……まあ、あんたほどの実力者がそういうのなら……」と答えざるを得ないよね。
カメハメに騙されてるスーパー・フェニックス感もあるけどさ。
あと、伏黒甚爾に殺されるオガミ婆。
Q/……それでいいのか?
A/それがレーベルを企画編集する、ということだと思うよ。
全裸で大の字になって「さあ!俺の屍を越えてゆけ!むしろ踏んでくれ!」という境地に至らないと、何が楽しいのかさっぱり分からなくなってしまうからね。