最大震度7を観測した熊本地震では、陸上自衛隊北熊本駐屯地(熊本市)に所在する第8師団を中心に約5100人(30日時点)が災害派遣で出動している。同市在住の防衛問題研究家、桜林美佐氏が緊急寄稿した。
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昨年夏から始まった私の熊本暮らしは、残すところあと数日となっていた。自衛官の知人には同じように引っ越し準備を進めていた人も多い。8月は人事異動の時期であることから連日が送別会になるのが通例だ。令和8年7月28日午後5時の課業終了に合わせて、自衛隊の隊員クラブでは心づくしの料理が並べられていた。
「揺れてないか?」
少しずつ不気味な感覚が始まった(28日午後4時27分発生)。揺れは次第に大きくなり、けたたましく緊急速報が鳴り響いた。この瞬間から自衛隊では即座に状況把握に向けた動きが始まり、災害派遣へ。長い夜に入ることになった。
北熊本駐屯地に所在する第8師団の師団長は、10年前の熊本地震発生時は板妻駐屯地(静岡県御殿場市)に駐屯する第34普通科連隊の連隊長だった。この時も翌日の記念行事に向けて準備が整った瞬間、静岡から熊本に夜間の前進が始まった。その日のことが蘇った。
ヘリ部隊の被害確認
阿蘇くまもと空港(熊本県益城町)に隣接する陸自高遊原分屯地(同町)に駐屯する西部方面航空隊でも、送別会ムードが一転した。地震の被害状況を最も早く把握して伝えることができるのは、ほかでもない自分たちヘリ部隊であることを十分に分かっているからだ。西方航空隊長はすぐに意識を被災地に切り替えた。