「島のうた」はヒトハがフタバを救うためセイレーンに向けた歌である【ちいかわ考察】
※この記事は「映画 ちいかわ」のネタバレを含みます。
公開2日で興行収入15億円・動員100万人を突破したと言われる、映画ちいかわですが、その劇中歌の一つである「島のうた」についての考察です。
一見すると、屋台の美味しい食べ物を歌っているだけの観光客向けの歌ですが、結論からいうと、この歌はヒトハがフタバを救うためセイレーンに向けて作った歌です。
順を追って説明します。
歌を縦読み
まず第一段階ですが、この歌を縦読みします。
先程の画像を元に、すべての区切りを改行に変更して並べるとこうなります。
おいしい屋台がてんこもり
わたあめ
ビールに
じゃがバター
たこやき
すきやき
ケバブに
てりてりソースの焼きそば
単純に縦読みすると↓
[お]いしい屋台がてんこもり
[わ]たあめ
[ビ]ールに
[じゃ]がバター
[た]こやき
[す]きやき
[ケ]バブに
[て]りてりソースの焼きそば
「おわビじゃたすケて」
となります。
後半の「助けて」は意味が分かりますが、前半の「お詫びじゃ」は意味が通らないので、おそらくこうするのが正しいでしょう。
↓
[お]いしい屋台がてんこもり
[わ]たあめ
[ビ]ール[に]
じゃがバター
[た]こやき
[す]きやき
[ケ]バブに
[て]りてりソースの焼きそば
「おわビにたすケて」
↓
「お詫びに助けて」
これが「島のうた」のメッセージです。
お詫びするのは誰?
「お詫びに助けて」
これは誰が誰にどのような意味で言っているのでしょうか。
それを紐解くために「お詫び」をしうる候補を考えます。
「お詫び」とは、悪いことをしたあと謝罪の気持ちと共に何らかの利益を返す行為です。
つまり、作中で「悪いこと」をした人物が、お詫びをする主体となるはずです。
作中「悪いこと」をした人物を挙げてみましょう。
3組います。
1.島民:ちいかわ達にウソをついて島に呼び寄せた
2.ヒトハ:人魚を殺した
3.セイレーン:フタバをヒレで殴った
「助けて」が成り立つのは誰?
次に、上記の3組に対して、後半の「助けて」という言葉が成り立つか、順に確認していきます。
1.島民:ちいかわ達にウソをついて島に呼び寄せた
現在、ネットで最も主流とされる説ですが、これは間違いです。
なぜなら、「ウソをついたお詫びに助けろ」というのは理屈が合わないからです。
ウソをついた、つまり悪いことをしたのは島民ですから、その謝罪として「助ける」のであれば、島民がちいかわ達を助けなければいけません。
しかし、作中ではむしろ助けるのはちいかわ達ですから、メッセージが矛盾してしまいます。
したがって、「島民がちいかわ達へのお詫び」として「助ける」説は否定されます。
https://x.com/ngnchiikawa/status/1671764842309632000 より
2.ヒトハ:人魚を殺した
次に、ヒトハが人魚を殺したお詫びに助ける、という可能性について考えます。
人魚を殺されたことで損害をこうむったのは、セイレーンと人魚たちなので、この場合、ヒトハがセイレーンと人魚たちを助けることになります。
確かに作中、セイレーン達は「仲間の人魚を殺した犯人探し」という困りごとを抱えています。
しかし、その犯人に対して「犯人探しを助けろ」と言うのはおかしな話です。
また、ヒトハではなく島民全体に対してセイレーンが
「お前らのうちの誰かが人魚を殺したんだから、(お詫びに)犯人探しに協力しろ(=助けて)」
と言っている、と考えると理屈の上では辻褄が合いますが、どうもセイレーンのキャラと合いません。
セイレーンは島民の協力を仰ぐまでもなく、むしろ島民たちが非協力的なことを前提に、自分たちで犯人を見つけ出そうとしているからです。
「協力しろ」という言葉と「助けて」という言葉のニュアンスも一致しないので、しっくりきません。
したがって、この可能性も否定するべきでしょう。
https://x.com/ngnchiikawa/status/1721488062268764181 より
3.セイレーン:フタバをヒレで殴った
最後に、セイレーンがフタバをヒレで殴り半殺しにした(人魚を食べなければおそらく死んでいた)ことへのお詫びとして「助けて」という可能性。
ヒトハとフタバが作中で抱えた困りごとは二つ。
下記の二つの可能性が考えられることになります。
一つは、今セイレーン達のやっている犯人探しをやめてくれ、という意味である可能性。
しかし、これは変です。
セイレーン達は犯人探しをしている主体なのに、その主体に対して「助けて」というのは、言い方がおかしいです。
「やめて」ならともかく「助けて」はちょっと変ですね。
もう一つは、(今死にかかっている)フタバの命を助けてくれ、というもの。
これは変なところはありません。
お前が殴ったせいで死にかけているんだから、その命を助けてくれ。
真っ当な要求です。
「お詫びに助けて」は、このような意味だと考えられるでしょう。
https://x.com/ngnchiikawa/status/1721145916034633760 より
「島のうた」は、いつ、誰がどう作ったのか?
もう少し深堀りしていきます。
まず「島のうた」を作ったのが誰なのか、というのは明確にヒトハです。
フタバが殴られたことを知り、フタバの命を助けてくれと願うのは、ヒトハ以外にいません。確定です。
次に、この歌がいつどのように作られたのかですが、これは歌詞を見ると分かります。
おいしい屋台がてんこもり
わたあめ
ビールに
じゃがバター
たこやき
すきやき
ケバブに
てりてりソースの焼きそば
ポイントなのは「屋台」というキーワード。
屋台は、人を呼び寄せるためのもの。
つまり、この歌は、観光客を呼び寄せたときに歌う歌として、作られたものでしょう。
セイレーン達が島民を襲い始め、観光客を呼び寄せてセイレーンを討伐する案が持ち上がった。
そこで歌を作ることになったとき、ヒトハが作詞し、メッセージを込めた。
こんな流れです。
時系列の矛盾
ただ、もし「島のうた」が、「セイレーン達を倒してもらうため観光客を呼び寄せたときに歌うための歌」だとすると、先程の推測と矛盾が生じます。
なぜなら先程、「島のうた」は「フタバの命を助けて」という意味の歌だと考えたからです。
一方では、「フタバの命が助かったあとセイレーン達が島民を襲い始めてから作った歌」だと言い、もう一方では「フタバの命を助けてもらうための歌(フタバの命が危なかったときに作った)」だと言うのは、矛盾しています。
その矛盾を解消する答えはこれ。
ヒトハが言いたかったメッセージがこう↓だと考えると辻褄が合います。
「自分のことはどうしてくれても構わない。でもフタバだけは見逃してくれ」
つまり、二人が永遠の命を手にし、セイレーン達が島民を襲い始めた後、フタバだけでも見逃すようヒトハがメッセージを込めたのが、「島のうた」だというわけです。
「二人とも見逃してくれ」
だと
「助けて」
という言い方には違和感がありますが、
「フタバだけは見逃してくれ」
であれば
「(フタバだけ)助けて」
という言い方で意味が通り、違和感はなくなります。
セイレーンには伝わったが伝わらなかった
本来であれば、観光客に聞かせるために作られたはずの「島のうた」。
しかしヒトハは、秘密裏にその歌にセイレーンへのメッセージを込め、願いが伝わることを祈りました。
セイレーン達はもともと歌が好き。だから、島民の歌う歌にも注目してくれるはず。
そして実際、ヒトハのもくろみ通り、島民たちの歌う「島のうた」はセイレーン達にも届きました。
その証拠として、セイレーン達は「島のうた」を覚え、自らも歌うようになっています。
しかし最終的にその思いが伝わらなかったのはご存知の通り。
二人は仲良く…
https://x.com/sometimes524/status/1991865638672121860 より
今回は以上です。
追記
いや、セイレーンが来た直後から歌っとるやないかい。
全部台無しだよ。
「島のうた」の縦読みは、作中のキャラクターが意思を持ってメッセージを込めたものではなく、物語の外の世界にいる者(ナガノ先生)が戯れで込めたメッセージ、という解釈が自然かもしれない。
(ただし作中の誰かの思いを代弁している可能性はある)



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